大学生の節約とは|生活費79.7万円の内訳から削る順番

大学生の節約とは|生活費79.7万円の内訳から削る順番

残高が心もとなくなると、たいてい最初に削られるのは食費だ。自炊を増やし、友人との外食を断り、それで月に数千円が浮く。けれども公的な調査で学生の支出を分解すると、数千円を取りに行く前に見るべき費目が別にあることが分かる。

削る対象を決めるには総額の形が必要

節約という言葉は、我慢の量を増やすことだと受け取られやすい。けれども実際にお金が残るかどうかを決めるのは、どの費目にいくら出ているかという配分のほうである。配分を知らずに我慢だけを増やすと、効き目の薄いところで苦労する。

日本学生支援機構の令和6年度学生生活調査によると、大学学部(昼間部)の学生生活費は年間2,019,100円だった。内訳は学費が1,221,800円で全体の60.5%、生活費が797,300円で39.5%。学費は節約でどうにかなる部分ではないので、手をつけられるのは後者の79.7万円である。

この79.7万円という数字は、前回の令和4年度から119,900円、17.7%増えている。同じ期間に学費は74,500円(6.5%)の増加だったので、家計を押し上げた主因は生活費の側だ。物価の上昇が学生の手元を直撃した2年間だったと言える。

月に直せば生活費は約66,400円。ここから何をどれだけ削れるかが、節約の実務になる。

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79.7万円はどこへ出ているのか

学生生活調査は支出を4つの区分でまとめている。学費側が2区分、生活費側が2区分という粗さだが、おおまかな重心は読み取れる。

区分 年額(平均) 学生生活費に占める割合
授業料、その他の学校納付金 1,012,400円 50.1%
修学費、課外活動費、通学費 209,400円 10.4%
食費、住居・光熱費 412,500円 20.4%
保健衛生費、娯楽・し好費、その他の日常費(通信費を含む) 384,800円 19.1%
合計 2,019,100円 100.0%

生活費79.7万円のうち、食費と住居・光熱費で412,500円。残りの384,800円は、保健衛生費と娯楽・し好費、そして通信費を含むその他の日常費である。後者がほぼ同じ規模を占めている点に目を留めたい。

通信費は、この区分のなかで最も見直しの余地が大きい費目だ。契約を変えるのに一度の手間しかかからず、その後は毎月自動で差が出る。外食を1回我慢する節約と、月額を2,000円下げる契約変更では、1年後に残る額が桁違いになる。

逆に保健衛生費は削る対象にしないほうがよい。歯の治療を先延ばしにして費用が膨らむ例は多く、節約として逆算が合わなくなる。

住む場所で年54万円が動く

同じ調査を居住形態で切ると、差の大きさがはっきりする。自宅から通う学生の学生生活費は1,801,300円、下宿・アパート等に住む学生は2,342,900円。開きは541,600円で、年に54万円ほどになる。

月あたり4万5千円の差であり、これは食費を全額削っても埋まらない水準だ。実家から通える距離に大学があるなら、その選択そのものが最大の節約になっている。

設置者別の生活費を見ると、一見ふしぎな並びが現れる。生活費は国立937,900円、公立857,200円、私立761,200円で、私立が最も低い。学費が最も高いのは私立なのに、生活費では逆転する。理由は居住形態の構成で、自宅から通う学生の割合が国立34.5%に対し私立は66.0%と大きく違うためだ。

家賃は契約時にしか下げられない固定費なので、入居前の判断が後の2年から4年を縛る。地域ごとの水準は大学生の一人暮らしの家賃相場で確かめられる。

月単位で見ると固定費が主役になる

年額は全体像をつかむのに向くが、毎月の判断には月額のほうが使いやすい。全国大学生活協同組合連合会が2025年に実施した第61回学生生活実態調査には、1か月あたりの収支が出ている。

下宿生の収入は月138,070円。仕送りが74,652円で54.1%、アルバイト収入が37,620円で27.2%、奨学金が19,515円で14.1%を占める。支出側では住居費が55,452円、構成比40.2%。食費は29,853円で21.6%だった。

住居費が支出の4割を占めるという構造は、節約の優先順位をそのまま示している。家賃を5,000円下げる交渉や物件の選び直しは、食費を17%削るのと同じ効果を持ちながら、毎月の我慢を伴わない。更新のタイミングは見送らないほうがよい。

自宅生のほうは収入が月72,648円で、うちアルバイト収入が46,377円と63.8%を占める。小遣いは14,228円にとどまる。支出は70,760円で、食費15,044円(21.3%)、貯金・繰越金19,304円(27.3%)。自宅生は住居費がかからないぶん、残った分を貯金に回せている。固定費の内訳と月次の組み立ては大学生の一人暮らしの月生活費にも整理がある。

収入側を動かすときの天井

支出を絞るより働く時間を増やすほうが早い、という判断もあり得る。学生生活調査でもアルバイト収入は年間507,700円まで伸び、収入全体の25.0%を占めるに至った。ただしこの方向には税の区切りという天井がある。

国税庁の扶養控除の要件では、扶養親族に該当するのは合計所得金額が58万円以下の人で、給与収入のみなら123万円以下にあたる。令和2年分から令和6年分までは48万円以下、給与収入では103万円以下だったので、区切りは引き上げられた。19歳以上23歳未満の特定扶養親族であれば、控除額は63万円である。

123万円という線を時間に換算してみる。令和8年度の地域別最低賃金の全国加重平均は1,177円なので、123万円に届くには年間およそ1,045時間、週あたり20時間ほど働く計算になる。授業と課題を抱えながらこの水準を1年続けるのは軽い負荷ではない。

仕送りが減っている流れのなかで、どこまでを自分の労働で埋めるかという判断は避けられない。平均額と10年の推移は大学生の一人暮らしと仕送りにまとめられている。FLASPOが学生の相談を受けてきた経験では、週20時間を超えたあたりから成績と体調の相談が同時に増える。削るべきは支出だけではない。

よくある質問

大学生の生活費は平均でいくらですか。日本学生支援機構の令和6年度調査では、大学学部(昼間部)の生活費が年間797,300円だった。学費を含めた学生生活費は2,019,100円で、前回調査より10.7%増えている。

まず何から削るのが効率的ですか。毎月自動で引かれる固定費から手をつけるのが順序として合理的だ。下宿生なら支出の40.2%を占める住居費、次に通信費。1回の手続きで翌月から差が出るものを先に処理すると、我慢に頼らずに済む。

食費はどこまで下げられますか。生協連の調査では下宿生の食費が月29,853円、自宅生が15,044円だった。下宿生が自炊中心に切り替えれば1万円前後の圧縮は現実的だが、自宅生の水準より下げると栄養が偏りやすい。下限の目安として覚えておきたい。

貯金はできるものですか。自宅生の月次支出には貯金・繰越金が19,304円(27.3%)計上されている。住居費がかからない環境では3割近くを残せている一方、下宿生は住居費と食費で6割を超えるため、収入を増やさずに貯めるのは難しい。

奨学金を借りるのと働く時間を増やすのはどちらがよいですか。学生生活調査では奨学金の受給率が51.1%へ3.9ポイント下がり、代わりにアルバイト収入の構成比が5.9ポイント上がった。全体としては働く選択が増えているが、給付型の奨学金に該当するなら返済が生じない分だけ有利になる。募集要件の確認が先になる。

出典

日本学生支援機構「令和6年度学生生活調査結果」/全国大学生活協同組合連合会「第61回学生生活実態調査」/国税庁タックスアンサー「No.1180 扶養控除」/厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の答申について」


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