大学生の一人暮らしの家賃相場|全国平均と地域差、予算の立て方

大学生の一人暮らしの家賃相場|全国平均と地域差、予算の立て方

部屋探しを始めた学生がまず詰まるのは、家賃の上限をいくらに置くかという一点である。賃貸情報サイトに並ぶ相場は物件単位の表示で、学生が毎月実際に払っている額とは重ならない。総務省統計局と大学生協の調査から、下宿生が負担している住居費の実額、住宅の種類による差、地域でどこまで開くのかを順に並べてみる。

下宿生が払っている住居費は月5万5千円台

相場より先に見ておきたいのは、現に一人暮らしをしている学生の家計である。全国大学生活協同組合連合会の第61回学生生活実態調査(2025年10〜11月実施、有効回答13,277人)では、下宿生の住居費が月額55,452円だった。同じ調査で収入合計は138,070円、うち仕送りが74,652円、アルバイト収入が37,620円、食費は29,853円である。

前年の第60回調査では住居費が56,090円で、支出合計131,710円の42.6%を占めていた。家計の4割強が一つの費目に固定されるため、入居時の判断がそのまま在学中の余裕を決めてしまう。食費や娯楽費は月ごとに調整できるのに対し、家賃は契約期間が終わるまで動かせない。

自宅生と並べると重さがさらに際立つ。第61回調査の自宅生は収入合計72,648円、支出合計70,760円、食費15,044円で暮らしている。下宿生が住居費だけに払う55,452円は、自宅生の支出合計の8割に近い。一人暮らしで増える負担の中心が家賃であることは、この一点を見れば足りる。

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市場全体の平均は5万9,656円、民営でも1万4千円の差

相場の土台になるのは5年ごとの大規模調査である。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(2023年10月1日現在)によると、借家(専用住宅)の1か月当たり家賃は59,656円で、2018年から7.1%上がった。

学生の選択肢になるのは民営借家である。木造が54,409円、非木造が68,548円で、同じ民営でも14,139円の開きがある。鉄筋コンクリートや鉄骨の物件は遮音性と設備で有利な半面、上昇率も木造の4.5%に対して7.0%と大きい。公営の借家は24,961円と格段に安いが、入居には収入や世帯の要件があり、学生の単身世帯が使える前提にはならない。

借家の種類 1か月当たり家賃 2018年からの増減率 1畳当たり家賃
総数 59,656円 7.1% 3,403円
公営の借家 24,961円 7.6% 1,246円
UR・公社の借家 71,831円 2.8% 3,633円
民営借家(木造) 54,409円 4.5% 2,916円
民営借家(非木造) 68,548円 7.0% 4,151円
給与住宅 37,993円 11.6% 2,071円
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査(確報集計)」より作成

1畳あたりに直すと東京の重さが見える

月額だけを並べると、狭い部屋を選んで総額を抑えたときに安く住めたと錯覚しやすい。単価に直すと評価は反転する。全国の借家は1畳当たり3,403円で、民営借家の非木造が4,151円と最も高く、木造は2,916円だった。

東京都の集計では1畳当たりが5,692円で、都の資料はこれを全国の約1.7倍と記している(東京都「令和5年住宅・土地統計調査」結果の概要)。内訳は民営借家の非木造が6,687円、木造が5,278円。昭和58年の2,902円と比べると約2倍で、所有の関係のすべての区分が全国を上回っている。都内で総額を抑える手段は面積を削ることになり、1畳当たりの負担はむしろ重くなる構造にある。

東京圏・京阪神・その他で年の負担はどこまで開くか

地域差を年単位で押さえると、進学先を決める段階の判断材料になる。日本学生支援機構の令和4年度学生生活調査は、通学先の所在地を東京圏・京阪神・その他の3区分に分けて集計している。アパート等に住む国立大学生の年間生活費(学費を除く)は、東京圏1,322,700円、京阪神1,163,100円、その他1,065,100円だった。東京圏とその他の差は257,600円で、月に直すと2万1千円ほどになる。

区分(アパート等) 東京圏 京阪神 その他
国立・生活費 1,322,700円 1,163,100円 1,065,100円
国立・学費と生活費の合計 1,923,900円 1,736,100円 1,646,400円
私立・生活費 1,205,700円 1,123,400円 969,300円
私立・学費と生活費の合計 2,709,100円 2,466,800円 2,211,500円
日本学生支援機構「令和4年度学生生活調査」大学学部(昼間部)年額より作成

私立でアパート等に住む場合、学費を含む年間合計は東京圏で2,709,100円、その他の地域では2,211,500円となり、差は497,600円に達する。同じ調査では大学学部(昼間部)全体の住居・光熱費が年177,500円と出ているが、これは自宅生を含む平均値で、アパート等だけを取り出せば水準は大きく上がる。

住まいの種類を変えるという選択肢もある。同じ調査の全国平均で国立大学生の年間生活費を比べると、自宅が425,400円、学寮が824,800円、アパート等が1,099,400円。学寮は自宅とアパート等の中間にあたり、アパート等より27万円以上低い。食事付きの寮であれば食費も圧縮できるため、募集枠があるうちに申し込んでおく価値はある。

上限は収入の何割かで決める

家賃は手取りの3分の1までという言い方が広く使われるが、学生については実額で確かめたほうが早い。第61回調査の下宿生は、収入合計138,070円に対して住居費55,452円を払っている。比率は40.2%で、3分の1より重い。仕送り74,652円との対比では、4分の3近くが住まいに吸われている計算になる。

自分の条件に当てはめるなら、仕送り見込み額とアルバイトで確実に稼げる額を足し、そこから家賃の天井を逆算する順序になる。奨学金を家賃の原資に組み込むと、返還の負担が住まいの選択に連動してしまうため、固定費は仕送りとアルバイトの範囲に収めておくほうが安全である。費目ごとの内訳は大学生の一人暮らしとはの記事、自宅通学との収支の違いは一人暮らしのメリットとデメリットの記事で扱っている。地域ごとの住まいや暮らしの選び方はFLASPOでも調べられる。

よくある質問

全国平均をそのまま目安に使ってよいか。借家全体の59,656円は家族向けの広い物件を含む数値なので、単身の学生向け物件の目安としては高めに出る。下宿生の実額55,452円と、住む地域の1畳当たり単価を併せて見るほうが誤差が小さい。

木造と非木造のどちらを選ぶべきか。全国平均で14,139円の差があり、年に換算すると17万円近くになる。騒音や断熱を優先して非木造を選ぶなら、その差額を食費や交通費のどこから回すのかを先に決めておきたい。

募集図面の賃料と調査の家賃は同じものか。調査は家賃又は間代等として支払額を聞き取るため、図面の賃料だけを見るのとは範囲が違う可能性がある。契約の段階では管理費・共益費・更新料・保証会社の費用まで合算した年額で比べると、判断を誤りにくい。

敷金や仲介手数料は相場に含まれるか。統計の家賃はいずれも毎月の支払額を聞き取った数値なので、契約時に一度だけ払う一時金は別枠で見込む必要がある。月額の上限を決めたあとに、初期費用として家賃の4〜6か月分に相当する現金が動くことを前提に資金計画を立てたい。

東京で費用を抑える手はあるか。1畳当たりが全国の約1.7倍である以上、都内で面積を確保すると割高になる。通学時間と引き換えに隣県まで範囲を広げるか、学寮を検討するのが現実的で、国立大学生の学寮の年間生活費は824,800円と、アパート等の1,099,400円より27万円以上低い。


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