人間関係とメンタル|こころの状態10点以上が30代で16.2%

人間関係とメンタル|こころの状態10点以上が30代で16.2%

気分の落ち込みを点数にすると、分布の端が見える

人との関係がうまくいかない時期に眠れなくなったり、何をしても気が晴れなくなったりする。その感覚を本人の言葉ではなく点数で拾っている公的統計がある。厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」は、12歳以上の世帯員について過去1か月間のこころの状態を6つの質問で聞き、それぞれ0点から4点で点数化した合計を集計している。入院者は含まない。健康票の調査客体は30万1,221世帯、集計できたのは18万7,633世帯で、調査日は2025年6月5日だった。

点数階級別の構成割合は、「0~4点」が71.1%で最も多く、「5~9点」が16.2%、「10~14点」が6.9%だった。すべての年齢階級で「0~4点」が最多という形は崩れていない。つまり多数派は落ち込んでいないが、1割前後が10点以上の側に残る。

この点数は原因を聞いていないので、人間関係が理由かどうかは直接わからない。だからこそ、原因の側を数えている別の統計と突き合わせる必要がある。

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年齢で山が動き、30代がいちばん厚い

同じ図を年齢階級で割ると、落ち込みの分布が一様でないことがはっきりする。

年齢階級 0~4点 5~9点 10~14点
12~19歳 80.7% 10.2% 5.0%
20~29歳 69.3% 15.8% 9.1%
30~39歳 64.9% 17.9% 10.2%
40~49歳 68.4% 17.4% 8.7%
50~59歳 69.7% 17.8% 8.0%
60~69歳 76.3% 15.6% 4.7%
70~79歳 75.3% 14.4% 4.2%
80歳以上 63.6% 18.3% 7.2%
総数 71.1% 16.2% 6.9%

30歳から39歳は「0~4点」が64.9%で、80歳以上を除けば最も低い。「10~14点」が10.2%、「15点以上」が6.0%で、10点以上を合わせると16.2%になる。20歳から29歳も9.1%と4.9%で14.0%に達する。一方で12歳から19歳は「0~4点」が80.7%と突出して高く、60歳から69歳の76.3%、70歳から79歳の75.3%がそれに続く。落ち込みが薄いのは学校にいる年代と、仕事から離れた年代である。

30代は、職場で役割が重くなる時期と、家庭を持つかどうかの判断が重なる年代である。人間関係の種類が同時に増え、どれも降りにくくなる。若者側の相談経路の細さは社会人の友人関係でも触れた論点で、落ち込みの分布と並べると位置が揃う。

原因・動機の詳細項目に、関係の名前が残る

落ち込みの原因を人間関係の側から数えた統計として、厚生労働省と警察庁が公表する「令和7年中における自殺の状況」がある。令和7年の自殺者数は19,188人で、前年から1,132人減った。原因・動機は遺書などの資料や家族の証言から、1人につき4つまで計上される方式なので、件数の合計は人数と一致しない。

区分別の件数は家庭問題4,201件、勤務問題2,390件、交際問題875件、学校問題524件だった。詳細項目まで下りると、関係の種類が名前で出てくる。家庭問題では「夫婦関係の不和(その他の原因)」が784件、「親子関係の不和」が518件、「その他の家族関係の不和」が394件。勤務問題では「職場の人間関係(その他)」が476件、「職場の人間関係(上司とのトラブル)」が184件を占める。

学校問題では「学友との不和(いじめ以外)」が80件、「いじめ」が20件、「教師との人間関係」が8件だった。さらに「その他」の区分には「孤独感」が607件あり、前年の652件から減ってはいるが依然まとまった数である。多くの背景は複合的で単一の原因に還元できないと公表資料も注意を促しているが、関係の不和が集計項目として立っていること自体は押さえておきたい。悩みが重いときの公的な窓口は厚生労働省の「まもろうよ こころ」に一覧がある。

職場の備えは、規模でくっきり分かれる

働く場では、落ち込みに気づく仕組みが制度として用意されている。ただし行き渡り方には差がある。厚生労働省の「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.0%で、前年の63.2%とほぼ同じだった。

規模別に見ると、労働者50人以上の事業所で93.7%、30人から49人で72.0%、10人から29人で54.6%となる。1,000人以上の事業所では99.8%に達する。50人以上はストレスチェックが法律上の義務なので、差はほぼそのまま義務の線引きを映している。取組内容では「ストレスチェックの実施」が64.0%で最も多く、「職場環境等の評価及び改善」が52.8%、「労働者への教育研修・情報提供」が35.6%と続いた。

ストレスチェックの実施率も規模で開く。50人以上の事業所で89.8%に対し、30人から49人で58.4%、10人から29人で55.9%である。管理監督者への教育研修は29.1%、産業保健スタッフへの教育研修は13.8%にとどまり、気づいた後に動く側の訓練は手薄だ。小規模な職場に勤めているなら、仕組みが自分に届く前提で考えないほうが現実的である。

心の状態は、場所と人の数で押し返せる

では何が効くのか。こども家庭庁の「こども・若者総合調査(令和7年度)」は、15歳から39歳の8,012人について生活満足度と他の変数のクロス分析を行っている。11段階で7点以上と答えた割合を比べると、心の健康状態が「よい」層と「よくない」層の差は約53ポイントで、身体の健康状態による差の約39ポイントより大きい。

そして心の状態と並んで効いているのが、関係の本数である。尊重してくれる人が1人以上いる層では58.5%が7点以上と答えたのに対し、いない層は33.0%で約26ポイント低い。相談できる人がいる場所の数で見ると、0個から3個まで増えるほど割合が上がり、3個以上では6割半から約7割で頭打ちになる。

三つ確保できれば十分という読み方ができる。家庭と職場のほかに一つ、当事者と重ならない関係を持っておけばよい。関心でつながる場なら既存の関係を切らずに足せるので、FLASPOのような使い方は現実的な選択肢になる。悩みの種類ごとの分布は人間関係の悩みとはで整理している。

よくある質問

こころの状態の点数は何点から心配したほうがよいのですか。国民生活基礎調査は点数階級で集計しているだけで、基準値を示していません。ただし「10~14点」が6.9%、「15点以上」が2.9%という分布なので、10点以上なら上位1割に入ると分かります。

人間関係の悩みが心の不調につながるという因果は証明されていますか。公的統計で言えるのは、原因・動機の詳細項目に「親子関係の不和」518件や「職場の人間関係(その他)」476件という形で計上されているという事実までです。個人の因果はそこから直接は導けません。

30代が最も厳しいのはなぜですか。調査は理由を聞いていないので断定できません。10点以上が16.2%で他の年代より高いという結果と、職場の役割と家庭の判断が重なる時期という状況を並べて読むのが限界です。

小さな会社では相談できる仕組みがないのでしょうか。労働者10人から29人の事業所でメンタルヘルス対策に取り組んでいるのは54.6%です。社内にないことを前提に、市区町村の窓口や公的な電話相談を先に調べておくほうが早く動けます。

ストレスチェックを受けたことがありません。実施している事業所はメンタルヘルス対策に取り組む事業所の64.0%で、規模が小さいほど下がります。受けていないこと自体は珍しくないので、代わりの経路を自分で持っておくのが現実的です。

関係を増やすことと、距離を取ることのどちらが先ですか。相談できる人がいる場所の数が3個以上で7点以上の割合が頭打ちになる結果を踏まえると、まず本数を足すほうが距離を取る余地も生まれます。心理的な測り方の違いは友人関係と心理学で扱っています。


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