三つまで選ばせると、対人関係が三番目に残る
仕事がしんどいとき、原因が業務の重さなのか隣の席の人なのかは、本人にも切り分けにくい。そこを主なもの3つ以内という形で選ばせている調査がある。厚生労働省の「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」の個人調査で、調査対象18,553人のうち8,393人が回答した。有効回答率は45.2%である。
現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は67.5%だった。前年の68.3%からわずかに下がっている。その内容を見ると、「仕事の量」39.5%と「仕事の失敗、責任の発生等」39.5%が同率で最も多く、次に「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が32.9%で並ぶ。「仕事の質」は30.7%だった。
注目したいのは前年との差である。令和6年調査では対人関係は26.1%で、仕事の質の26.4%を下回る4番目の項目だった。1年で6.8ポイント上がり、順位が入れ替わった。ほかに「顧客、取引先等からのクレーム」22.1%、「会社の将来性」20.5%、「役割・地位の変化等」17.7%、「雇用の安定性」7.6%、「その他の事柄」11.1%、「事故や災害の体験」2.9%が続く。強いストレスと感じる事柄がないと答えた労働者は32.1%である。
誰が対人関係を挙げているのか
同じ表を属性で割ると、挙げる人の偏りが出てくる。左の列は強いストレスと感じる事柄がある労働者の割合、右の列はそのうち対人関係を挙げた割合である。
| 区分 | 強いストレスと感じる事柄がある | うち対人関係を挙げた割合 |
|---|---|---|
| 合計 | 67.5% | 32.9% |
| 20歳未満 | 39.7% | 22.5% |
| 20~29歳 | 72.0% | 26.1% |
| 30~39歳 | 69.0% | 37.1% |
| 40~49歳 | 71.5% | 36.8% |
| 50~59歳 | 66.0% | 31.5% |
| 60歳以上 | 54.5% | 28.5% |
| 男 | 67.9% | 29.1% |
| 女 | 66.9% | 37.6% |
| 正社員 | 69.1% | 32.5% |
| 契約社員 | 58.8% | 37.8% |
| パートタイム労働者 | 61.7% | 38.5% |
| 派遣労働者 | 53.5% | 30.1% |
対人関係が最も高いのはパートタイム労働者の38.5%、次が契約社員の37.8%で、正社員の32.5%より高い。年齢では30歳から39歳の37.1%と40歳から49歳の36.8%が上に来て、20歳から29歳は26.1%にとどまる。男女差も8.5ポイントあり、女性のほうが高い。
ストレスの有無と、ストレスの中身は別に動く
表を縦に見ると、二つの列が同じ向きに動いていないことがわかる。20歳未満は強いストレスがある割合が39.7%で最も低いが、内容の内訳では「仕事の失敗、責任の発生等」が74.7%と全年代で突出して高い。覚えることが多い時期に、失敗の重さがそのまま前に出る形である。同じ年代では「仕事の量」が5.2%、「仕事の質」が2.5%と極端に低く、代わりに「顧客、取引先等からのクレーム」が19.4%、「役割・地位の変化等」が17.9%を占めた。
30歳から39歳では「会社の将来性」が28.9%で全年代の最高値になり、60歳以上では「雇用の安定性」が12.9%と最も高い。派遣労働者では雇用の安定性が40.6%に跳ね上がり、契約社員でも23.9%を占める。立場が違えば、同じ職場でも何が最初に気になるかが違う。
言い換えると、ストレスを抱えている人の数と、その人が何に困っているかは別々に数えないと意味を取り違える。正社員は強いストレスがある割合が69.1%で就業形態のなかで最も高いのに、対人関係を挙げる割合はパートタイム労働者より低い。悩みの原因を条件から見る考え方は人間関係の悩みの原因で詳しく追っている。
立場が弱い側で、人の問題が前に出る
パートタイム労働者と契約社員で対人関係が高く出るのには、構造上の理由が見える。どちらも配属や担当の変更を自分から言い出しにくく、仕事の量や質をめぐる交渉の余地も小さい。残るのは人との距離の調整だけになり、それが唯一動かせる変数として意識に上がってくる。
女性で37.6%、男性で29.1%という差も同じ線で読める。令和7年調査では相談できる相手として女性は「同僚」を68.6%が挙げ、男性は「上司」を66.6%が挙げていた。日常の情報が同僚経由で回る働き方だと、関係の不調はそのまま業務の不便に変わる。
逆に派遣労働者は対人関係30.1%で平均より低く、雇用の安定性40.6%が前に出る。契約の期間が区切られていると、関係の問題は時間で解けるものとして処理されやすい。どの立場でも共通して効くのは、職場の外に相談の経路を一つ持っておくことである。関心でつながる場なら職場の力関係を持ち込まずに話せるので、FLASPOのような使い方が選択肢になる。
組織の側で動かせる部分は、三分の一しか使われていない
対人関係のストレスは、本人の心構えより配置の問題であることが多い。そこに手を入れる仕組みは制度として用意されている。同じ調査の事業所調査では、ストレスチェックを実施した事業所のうち74.9%が結果を部や課といった集団ごとに分析し、そのうち78.1%が分析結果を活用していた。
活用の内容を見ると、「残業時間削減、休暇取得に向けた取組」が49.9%で最も多い。規模別に見ると集団分析の実施率は500人から999人の事業所で92.0%、100人から299人で85.8%、1,000人以上で88.7%と、どの層でも8割を超えている。活用率も1,000人以上で91.7%に達する。次が「業務配分の見直し」32.6%、「人員体制・組織の見直し」32.4%、「職場の物理的環境の見直し」22.9%である。誰が誰の隣で働くかに直接触れるのは人員体制と組織の見直しだが、使っているのは3社に1社にとどまる。
つまり集団分析で対人関係の問題が見えても、返ってくる対策は労働時間の調整に寄りやすい。時間を削れば接触も減るので無関係ではないが、配置そのものは残る。個人の側から打てる手として、異動の希望を正式な経路で出しておくことには意味がある。悩みの種類ごとの分布は人間関係の悩みとはで整理した。
よくある質問
職場のストレスの原因で人間関係は何番目ですか。令和7年調査では「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」の39.5%に次ぐ3番目で、32.9%でした。前年は4番目の26.1%だったので順位が上がっています。
パワハラはこの数字に含まれますか。項目名が「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」なので含まれます。通常の相性の問題とハラスメントが同じ枠に入っているため、32.9%の内訳はこの集計からは分けられません。
若いうちは人間関係で悩まないのですか。20歳から29歳で対人関係を挙げたのは26.1%で、30代の37.1%より低いという結果です。ただし20歳未満では「仕事の失敗、責任の発生等」が74.7%を占めるので、悩みの中心が別にあると読むほうが合います。
非正規だと人間関係のストレスが強いのでしょうか。パートタイム労働者38.5%、契約社員37.8%に対し正社員32.5%です。ただし強いストレスと感じる事柄がある割合は正社員69.1%が最も高く、全体の重さとは順番が違います。
産業医に相談するという経路は使えますか。産業保健の取組を行っている事業所は87.9%で、そのうち72.9%が相談体制の整備などを含むメンタルヘルス対策を内容に挙げています。規模の大きい職場ほど整っているので、まず自社に窓口があるかを確認するのが先です。
会社に相談しても配置は変わらないのではありませんか。ストレスチェックの集団分析を活用した事業所のうち、人員体制・組織の見直しに踏み込んだのは32.4%です。確率は高くありませんが、記録として残る経路を使っておくほうが後の交渉で効きます。
アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。
FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。
賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。
