物品のリターンを用意できないと、クラウドファンディングは始められないのか。この壁にぶつかった学生が行き着く先のひとつがREADYFORである。運営はREADYFOR株式会社で、同社は「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」というビジョンのもとにサービスを提供していると会社情報に記している。公式ページは自社を日本初のクラウドファンディングサービスと位置づけ、累計2万件の支援実績を挙げている。
料率は一つの数字ではなく、二つの足し算である
掲載希望者向けのページに載っているプランは3種類で、料率の内訳まで書かれている点が特徴だ。ベーシックプランは運営手数料9パーセントと決済手数料5パーセントを合わせた合計14パーセント(税別)。サポートプランは運営9パーセントと決済5パーセントに加えてサポート手数料が乗り、合計14パーセント以上(税別)。コンサルティングプランも同じ9パーセントと5パーセントにコンサルティング手数料が加わり、合計14パーセント以上(税別)となる。サポート手数料とコンサルティング手数料の額は公開されておらず、別途の問い合わせが必要だと注記されている。
内訳が分かれていることには実用的な意味がある。決済手数料5パーセントはカード会社などに支払われる原価に近い部分で、プランを変えても動かない。差がつくのは運営側の取り分と、追加のサポート料だ。どのプランでも掲載自体は無料で、成立した場合にのみ支援総額から差し引かれる完全成功報酬型だと説明されている。ただし、サポートプランとコンサルティングプランでは、サポート開始に同意した後で掲載を取りやめるとキャンセル料が発生するという条件が付く。
ここで注意が要る。同じ公式ドメイン上の別のランディングページには「業界最安水準の手数料(12%〜)」という表記と、シンプルプラン・フルサポートプランという旧プラン名が残っている。プラン表のページとランディングページで数字と名称が揃っていないので、料率を自分の計算に取り込むなら、掲載希望者向けのプラン表側を見て、問い合わせの段階で最新の条件を書面で確認したい。古い表記をもとに目標金額を決めると、受け取る額が想定より少なくなる。
物品を用意できないプロジェクトが集まる理由
リターンの設計が最初の難所になるという前提に、このサービスは正面から向き合っている。公式ページは、READYFORに掲載されるプロジェクトの多くが物品リターンの準備を必要としない寄付型だとし、金銭的な価値のあるリターンがなくても応援したいという支援者が集まっていると説明する。研究、医療、福祉、文化財の保存といった、商品に変換しにくい活動が並ぶのはこの設計の帰結だ。
呼び方にも独自の整理がある。同社は寄付型と購入型を明確に区別せず、支援者が税制上の寄附金控除を受けられる場合を「寄付金控除型」、それ以外を「通常型」と案内している。そのうえで、支援先が寄付金控除の対象となる団体であり、かつ対価性のないリターンへの支援であった場合に支援者は税制優遇を受けられるとし、集めた支援を寄付金として扱えるかは担当の税理士にも相談するよう促している。
学生がここから読み取るべき点は一つに絞られる。「寄付型で募る」と書いただけでは、支援者の控除は発生しない。控除の可否は、受け取る側がどういう団体かと、返す物に対価性があるかで決まる。任意団体のままなら、支援者は控除を受けられない前提で設計することになる。リターンに何を置くかを詰める段では、企画の目的を人数と単価に分けて考える手順が役に立つ。イベントの目的設定|人数と単価に分け、実数か推定かも決めるの考え方はそのまま使える。
募集期間には、方式ごとに違う上限が引かれている
長く掲載すれば多く集まる、という直感は公式ページに否定されている。期間は際限なく伸ばせるものではなく、方式ごとに上限が決まっている。All or Nothing型は公開当日を含まず10日から59日の範囲、All In型は10日から90日の範囲で設定できるとされ、期間が長いほど多くの支援が集まるわけではないと明記されている。目標金額が100万円のプロジェクトでは35日から45日が平均だという目安も示されている。
| 項目 | All or Nothing型 | All In型 |
|---|---|---|
| 募集期間の範囲 | 公開当日を含まず10日〜59日 | 10日〜90日 |
| 目標未達のとき | 全額を支援者に返金 | 集まった分を受け取る |
| 未達時の手数料 | 一切かからない | 集まった額に対して発生 |
| 目標100万円の期間目安 | 35日〜45日が平均 | |
入金の時期は、学生の予定表にとって最も影響が大きいかもしれない。通常は支援募集終了日の翌々月10日に指定口座へ振り込まれる。早期振込オプションを選ぶと支援募集終了日の翌週第3営業日まで前倒しでき、終了日が土日祝日にあたる場合は翌々週の第3営業日になる。通常のスケジュールだと、10月末に募集を終えた企画の資金が届くのは12月10日である。年度内に使い切る必要がある助成や、会場費の支払期限が先に来る企画では、この2か月弱の空白をどう埋めるかを先に決めておく必要がある。学園祭の予算はどう組むか|内訳の立て方と現金を扱わない管理で扱われている立て替えの考え方が参考になる。
申し込んでも掲載されるとは限らない
ここを読み落とすと計画が崩れる。公式のよくある質問は、申請後に審査があり、この審査を通過した段階で掲載が確定すると明言している。応募すれば必ず掲載されるわけではなく、各プランの利用にも審査があり、希望に添えない場合があると注記されている。
準備期間の目安も示されている。応募後に要する期間は、シンプルプランで約2週間、フルサポートプランで約3週間から4週間だという。この記載は旧プラン名のまま置かれているので日数そのものは現行プランと対応しないが、伴走の度合いが濃いほど着手までの時間が延びるという関係は読み取れる。申請前の相談については、内容を記入して送れば担当者から3営業日を目安に連絡があるとされている。公開希望日から逆算するなら、相談に3営業日、審査と準備に2週間から4週間、そして募集期間に35日から45日という積み上げになる。
機能面の制約も申込前に把握しておきたい。ベーシックプランとサポートプランでは、プロジェクトページ編集のうちトップ画像のスライド機能やHTML編集機能など一部の機能に利用制限があると注記されている。ページの見た目を細かく作り込む前提で企画を立てていると、使える範囲が想定と食い違う。なお募集期間中に目標金額を達成した場合は、第2の目標金額であるネクストゴールを設定できる。目標を低く置いて達成し、そこから積み増すという進め方が公式に用意されている。
Makuakeと並べると、向き不向きが見える
2つの場を同じ軸で見ると、選び方が単純になる。株式会社マクアケが運営するMakuakeは応援購入総額に対して税抜20パーセントを取り、プロジェクトごとに担当キュレーターが付く。READYFORはベーシックプランなら運営9パーセントと決済5パーセントの合計14パーセント(税別)で、プロによるサポートはサポートプランとコンサルティングプランに限られると明記されている。料率が低いほうは、自力で進める前提の分が反映されている。
分かれ目は、売る物があるかどうかだ。試作品や完成品があり、買ってくれる人を探すテストマーケティングとして使うなら前者の性格に合う。研究費、遠征費、調査費のように、支援者に渡す商品を用意しにくい使途なら、物品リターンを前提としない後者の設計に合う。学生の企画は後者に寄りやすい。ただし寄付型として募ったからといって支援者の控除が自動的に生じるわけではないという点は、前の節で見たとおりである。
どちらを選んでも、集める前に実績と知名度を作っておいたほうが到達は伸びる。コンテストへの応募で企画を外部の目に通しておく方法もあり、FLASPOのような学生向けコンテストの場で成果を積んでから資金集めに移る順番は現実的だ。主催の形態と責任の所在を先に整理したい場合は、学生イベントとは何か|主催の形態と責任の所在から整理するが下敷きになる。
よくある質問
結局いくら引かれますか。ベーシックプランなら運営手数料9パーセントと決済手数料5パーセントの合計14パーセント(税別)です。サポートプランとコンサルティングプランは、この14パーセントに追加の手数料が乗ります。
不成立だったら費用はかかりますか。All or Nothingの仕組みでは不成立の場合に全額が支援者に返金され、運営側への手数料もかからないと記載されています。ただしサポートプランとコンサルティングプランでは、サポート開始に同意した後の取りやめにキャンセル料が発生します。
いつお金が入りますか。通常は支援募集終了日の翌々月10日です。早期振込オプションを選んだ場合は終了日の翌週第3営業日で、終了日が土日祝日なら翌々週の第3営業日になります。
募集期間は何日に設定すべきですか。All or Nothing型は公開当日を含まず10日から59日、All In型は10日から90日の範囲です。目標100万円のプロジェクトでは35日から45日が平均と案内されています。
支援してくれた人は税金が安くなりますか。支援先が寄付金控除の対象となる団体で、かつ対価性のないリターンへの支援であった場合に限られます。任意団体のままでは対象外になるため、取り扱いは税理士に確認するよう公式にも促されています。
参照した一次資料は次のとおりです。READYFOR クラウドファンディング掲載希望の方へ、READYFOR はじめてのクラウドファンディング、READYFOR株式会社 会社情報、Makuake 料金・手数料。
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