相談できる相手を、場所ごとに数え直してみる
友達が多いか少ないかという話とは別に、若者が実際に何を誰に持ち出せているのかを、相手の種類ごとに数えた調査がある。こども家庭庁の「こども・若者総合調査(令和7年度)」は10歳から39歳の2万人を対象に郵送とオンラインの併用で行われ、9,648人から回答を得た。有効回収率は48.2%、調査期間は2025年11月25日から12月12日で、15歳から39歳の回答者は8,012人である。
この調査の強みは、家族・親族、学校で出会った友人、職場・アルバイト関係の人、地域の人、インターネット上の他者という五つの相手に、まったく同じ設問を当てている点にある。15歳から39歳で「何でも悩みを相談できる人がいる」に肯定的だった割合は、家族・親族75.0%、学校で出会った友人62.1%、職場・アルバイト関係の人46.8%、インターネット上の他者15.0%、地域の人11.2%だった。
相談という行為は、家族と学校由来の友人という二つの経路でほぼ説明がついてしまう。職場は半分を切り、地域は一割強しかない。悩みの相手がその二つの中にいるとき、持ち出す先が消えるという構造がここにある。
助けてもらえることと、本音を話せることは別の数字
同じ五つの相手に対して、三つの項目を並べると、関係の性質が分かれて見える。いずれも「そう思う」と「どちらかといえば、そう思う」を合わせた割合である。
| 相手 | 何でも悩みを相談できる人がいる | 困ったときは助けてくれる | 他の人には言えない本音を話せる |
|---|---|---|---|
| 家族・親族 | 75.0% | 92.3% | 73.3% |
| 学校で出会った友人 | 62.1% | 72.3% | 64.9% |
| 職場・アルバイト関係の人 | 46.8% | 73.6% | 36.6% |
| インターネット上の他者 | 15.0% | 16.5% | 18.1% |
| 地域の人 | 11.2% | 27.4% | 9.9% |
職場・アルバイト関係の人は「困ったときは助けてくれる」が73.6%で、学校で出会った友人の72.3%をわずかに上回る。それでいて本音の項目は36.6%にとどまる。実務の支えになる相手と、弱みを置ける相手が一致していない。
インターネット上の他者は向きが逆で、助けてくれるの16.5%より本音を話せるの18.1%が高い。手を貸す相手としては期待されていないが、口に出せないことの置き場にはなっている。令和4年調査と比べると、職場・アルバイト関係の人で相談の項目が42.9%から46.8%へ、「いつもつながりを感じている」が41.5%から45.8%へ上がった。職場の関係はやや厚くなっているが、本音の項目は34.8%から36.6%と動きが小さい。
10代前半を抜けると、距離の詰め方が変わる
この調査は10歳から14歳にも別の調査票を使っており、回答者は1,636人である。「誰とでもすぐ仲良くなれる」にあてはまると答えた割合は10歳から14歳で70.6%、15歳から39歳では53.4%で、17ポイントの差がついた。
10歳から14歳では、「何でも悩みを相談できる人がいる」が家族・親族87.5%、学校で出会った友人84.4%と、どちらも8割を超える。15歳から39歳の75.0%と62.1%を並べると、落ち方は学校由来の友人のほうが大きい。「こまったときは助けてくれる」も家族・親族96.5%、学校で出会った友人94.2%から、それぞれ92.3%と72.3%まで下がる。毎日顔を合わせる枠が外れた時点で、友人関係は手間をかけて維持する対象に変わる。会う頻度が年代でどう落ちるかは友人関係と若者で数字を追っている。
地域の人の変化はもっと急だ。10歳から14歳では「こまったときは助けてくれる」が72.7%あるのに、15歳から39歳では27.4%まで落ちる。子どものうちは見守られる側として地域に数えられているが、大人になると同じ相手が関わりの薄い他人に戻るということである。
居場所の数が、生活満足度と連動している
ほっとできる場所になっているかを六つの場所について聞いた結果では、15歳から39歳の肯定回答は家庭86.9%、自分の部屋84.2%が上位で、インターネット空間59.8%、地域50.1%、学校46.5%、職場44.3%が続いた。10歳から14歳では家庭91.9%、自分の部屋80.7%に続いて学校が74.5%を占めるので、学校が居場所から外れていく変化がそのまま差に出ている。
肯定した場所の数を足した「安心できる場所の数」は、1つ以上が98.1%で令和4年調査と変わらない。ただし6個すべてと答えた割合は12.6%から15.3%へ増え、0個は1.9%で横ばいだった。年齢別では20歳から24歳で6個が21.3%と最も高く、35歳から39歳では12.7%に下がる。
この数は生活満足度と連動する。現在の生活満足度を11段階で聞いて7点以上と答えた割合を見ると、安心できる場所が0個の層では2割弱、6個の層では7割半に達した。尊重してくれる人が1人以上いる層の58.5%に対し、いない層は33.0%で、約26ポイントの開きがある。場所の数も人の数も、多いほどよいという単純な話ではなく、ゼロと1の間に大きな段差がある。
困難の経験は増え、相談先に求める条件も動いた
社会生活や日常生活を円滑に送る上での困難について、経験があったと答えた15歳から39歳は59.5%だった。令和4年調査の45.1%から14ポイント以上増えている。経験者のうち71.6%は改善した経験を持ち、そのきっかけは家族や親戚の助け56.1%、友人の助け41.7%、時間がたって状況が変化したこと40.4%、自分の努力で乗りこえたこと30.9%の順だった。
悩み事の中身を見ると、自分自身についての項目で最も多いのが「人づきあいが苦手」の40.3%である。学校については「友達との関係が悪い」が15.6%、仕事・職場については「上司や同僚との関係が悪い」が16.8%を占めた。領域をまたいで、人との距離の取り方が悩みの中心に居座っている。
相談先に求めることでは、「相手が同じ悩みを持っている、持っていたことがある」が51.3%で首位、次に「相手が同世代である」34.2%、「無料で相談できる」29.8%、「匿名で相談できる」29.2%が並ぶ。「相手がカウンセラーなど心理学の専門家である」は23.7%で、専門性より近さが優先されている。同世代で費用がかからないという条件を同時に満たすのは、窓口よりも関心を共有する場に近い。FLASPOのような場が、相談の前段として機能しうるのはこの位置である。
よくある質問
若者は人間関係の悩みが多いほうなのですか。経験があったという回答は15歳から39歳で59.5%と前回より増えています。ただし悩みが増えたのか、答えやすくなったのかは調査からは切り分けられません。
ネット上の関係は人間関係として数えてよいのでしょうか。本音を話せるという項目では18.1%で、助けてくれるの16.5%を上回ります。役割が違うので、対面の関係の代わりではなく別の層として数えるのが実態に近いです。
相談相手がいないと感じたら、どこから手をつけますか。安心できる場所が0個の層で生活満足度7点以上が2割弱という結果を踏まえると、相談相手を探すより先に、ほっとできる場所を1つ確保するほうが効きます。
社会人になってから友人が減るのは自分だけですか。「誰とでもすぐ仲良くなれる」は10歳から14歳の70.6%に対し15歳から39歳で53.4%です。年代別の変化は社会人の友人関係でも確認できます。
孤独を感じる若者はどのくらいいますか。直接質問では15歳から39歳で「決してない」が16.5%、「ほとんどない」が33.1%、「しばしばある・常にある」は6.1%でした。10歳から14歳の「まったくない」42.8%と比べると、年齢が上がるほど孤独を自覚する割合が増えます。悩みの種類ごとの分布は人間関係の悩みとはで整理しています。
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