ロジカルシンキングと若者|情報があふれる時代の考える型と練習法

ロジカルシンキングと若者|情報があふれる時代の考える型と練習法

「なんとなく正しそう」で止めると、あとで説明できなくなる

画面をなぞっているうちに意見が固まり、理由を聞かれるとうまく答えられない。そんな経験は珍しくない。総務省情報通信政策研究所が令和7年6月27日に公表した令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書によると、平日の全年代平均でインターネットの利用時間は181.8分、テレビのリアルタイム視聴は154.7分だった。前回の調査からインターネットは8.2分増え、テレビは同じだけ減っている。

この調査は2012年から毎年続いていて、令和6年度分で13回目になる。利用時間だけでなく、利用の時間帯や各サービスの利用率、情報源としての信頼度までを同じ枠組みで追っている。年ごとの数字を並べると、人の情報の取り方が短い期間でも動いていることが分かる。休日については、40代でインターネットの利用時間がテレビのリアルタイム視聴を初めて上回ったとされている。

1日3時間ぶん流れてくる情報のうち、どれを根拠として採用したのかを自分で言えるかどうか。ここが分かれ目になる。主張と根拠を切り分け、つながりを点検する作業がロジカルシンキングであり、言葉の定義そのものはロジカルシンキングとは?意味・定義をわかりやすく解説【若者向け】に譲る。この記事では、覚える型を絞り込み、毎日の中で鍛える手順に落とすところを扱う。

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学校の授業にすでに組み込まれている

論理的に考える力は、課外の自己啓発ではなく教育課程の中に位置づけられている。文部科学省の平成29・30・31年改訂学習指導要領では、育成を目指す資質・能力が「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱に整理されている。真ん中の柱が、理解していることをどう使うかに当たる部分だ。

高校では令和4年度から共通必履修科目の「情報Ⅰ」が始まり、文部科学省の説明によれば、すべての生徒がプログラミングに加えてネットワークやデータベースの基礎を学ぶことになった。手順を分けて書く、条件によって処理を変える、データから言えることと言えないことを区別する。こうした作業はそのまま論理の訓練になっている。

つまり、ゼロから特別な勉強を始める話ではない。授業で触れた型に名前をつけ直し、教室の外でも使える形に持ち出すだけで足りる。必要とされる背景のほうを詳しく知りたいときは若者こそロジカルシンキングが必要な理由と鍛え方を解説も合わせて読める。

覚える型は4つに絞ってよい

関連する用語を並べ始めると切りがないが、日常で使う頻度が高いものは限られている。次の4つを押さえると、話の筋を点検するのにはおおむね足りる。

型 何をする作業か 使う場面の例 崩れやすいところ
前提から結論へ下ろす 広く通る決まりを個別の事例に当てる 校則や応募条件を自分の状況に当てる 前提そのものが間違っていると結論も崩れる
事例から言えることを引き上げる 複数の観察から共通点を取り出す 志望先を3社見て傾向を見つける 手元の事例が少ないと言いすぎになる
重なりと漏れをなくして分ける 対象を同じ水準の区分に切り分ける 支出を固定費と変動費に分ける 区分が重なって二重に数えてしまう
原因と結果を確かめる 順番と他の説明の有無を点検する 成績が落ちた理由を探す 同時に起きただけの事柄を原因と見なす

4つは別々に使うものではなく、順番に重ねて使う。たとえば志望先を考える場面では、まず条件を固定費のように動かせないものと動かせるものに分け、次に見学した数社から共通点を引き上げ、そこで見つけた傾向を自分の状況に当て、最後にその傾向が本当に原因と結果の関係なのかを確かめる。分ける、引き上げる、当てる、確かめる、という流れになる。

4つ目は特に間違いやすい。同じ時期に起きた2つの出来事があると、人は片方をもう片方の原因として読みたくなる。順番が逆ではないか、両方を引き起こした別の事情がないかを声に出して確かめる癖をつけておくと、この取り違えはかなり減る。

1日5分、同じ手順を繰り返す

型を知った翌日から使えるようにはならない。短くても毎日続く手順に落としたほうが残る。順番は次の3段で足りる。

まず、その日に目にして気になった投稿や記事を1つ選び、主張を1文で書き写す。次に、その主張を支えている根拠を箇条で2つか3つ挙げ、書かれていない根拠は空欄のままにしておく。最後に、空欄があるなら何が足りないのかを一言つけ加える。ここまでで5分に収まる。

実際の書き方を1つ示す。「この資格は取っておいたほうがよい」という投稿を選んだとする。主張はそのまま1文で写す。根拠として書かれていたのが「募集要項に書かれている職種がある」「先輩が取っていた」の2つだったなら、それを並べ、3つ目は空欄にする。足りないものとして「自分が受ける職種で実際に要件になっているか」と書き添えれば、その日の分は終わりだ。

この練習の肝は、賛成か反対かを決めないことだ。結論を出そうとすると、根拠を数える前に立場が固まり、都合のよい材料だけが目に入る。評価を保留したまま構造だけを見る時間を作るから、判断力のほうが伸びていく。1週間ぶん書きためると、自分がどの型でつまずきやすいかも見えてくる。

地域の活動や社会に関わる現場では、立場の違う人に短時間で説明する場面が何度も来る。FLASPOのような入口を通じて外に出てみると、紙の上で整えた筋が本当に伝わるかどうかを確かめられる。

論理だけでは動かない場面を知っておく

筋が通っているのに話が進まないことがある。多くの場合、前提が共有できていない。自分が当然だと思っている条件を相手は採っていないので、結論だけが衝突する。そういうときは結論を言い直すより、どの前提に立っているかを先に確認したほうが早い。

前提の確認は、相手を問い詰める形になりやすいので言い方に気をつける。「それは違う」と返すのではなく、「自分は費用を先に見ていたけれど、どこから見ていたか」と置き換えると、同じ確認が共同作業になる。前提がそろった時点で、結論の違いが自然に小さくなることも多い。

もうひとつ、正しさと納得は別に動く。相手が気にしているのが損得や面目であれば、筋の通った説明は材料のひとつにしかならない。何を心配しているのかを聞いてから並べ直すと、同じ内容でも受け取られ方が変わる。

前提そのものを疑う作業は、論理を組み立てる作業とは別の技能として扱われている。両者の線引きはロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違いを徹底解説で整理されている。組み立てる側と疑う側を行き来できるようになると、同じ材料から出せる結論の幅が広がる。

よくある質問

本を何冊か読めば身につくか。読むだけでは定着しにくい。手を動かして主張と根拠を書き分ける回数のほうが効く。1冊で型の名前を覚えたら、残りの時間は前の節の5分練習に回したほうが進みが早い。

理屈っぽいと言われるのが気になる。筋を通すこと自体が原因なのではなく、相手が求めていない場面で持ち出していることが多い。相談を聞いてほしいだけの相手に構造の指摘を返すと噛み合わない。使う場面を選べば、同じ技能が助けになる。

数学が苦手でも大丈夫か。問題ない。計算の速さとは別の力で、必要なのは言葉のつながりを見る根気のほうだ。文章を読んで「だから」と「しかし」の位置に印をつける練習から入ると、入口のつまずきは小さくなる。

鍛えられたかどうかは何で分かるか。人に説明したあとの質問の数が目安になる。筋が整ってくると、相手の質問は細部の確認に寄っていく。前提や言葉の意味を何度も聞き返されるときは、まだ組み立ての段で抜けが残っている。

就職や進学の準備にすぐ効くか。選考や面接のような場面では、短い時間で理由を並べる必要があるので効きやすい。ただし即効を期待すると続かないので、日々の5分を半年ぶん積む前提で考えるのがよい。


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