登録期間が一週間で閉じるのは、授業が三十五週で動いているから
四月の第一週、掲示板とポータルサイトに同じ締切が並ぶ。履修登録の受付は、多くの大学で数日から一週間ほどで閉じる。短いと感じるのは当然だが、この窮屈さは事務の都合から来ているのではない。授業期間の決まり方をたどると、なぜ先に閉じる必要があるのかが見えてくる。
大学設置基準の第二十二条は、一年間の授業を行う期間を三十五週にわたることを原則としている。第二十三条は、各授業科目の授業を、十分な教育効果を上げることができるよう、八週、十週、十五週その他の大学が定める適切な期間を単位として行うものとしている。一年の枠が三十五週で、その中に十五週の科目や八週の科目が並ぶ構造だ。
学年の区切り自体は各大学が決める。学校教育法施行規則の第百六十三条は、大学の学年の始期及び終期は学長が定めるとし、学年の途中であっても学期の区分に従って学生を入学させ、卒業させることができると定めている。四月始まりが多数でも、九月入学の学部や二学期を半分に割る四学期制の大学がある理由はここにある。
十五週の科目を四月中旬に始めるなら、受講者は三月のうちか四月の最初に確定していなければならない。履修登録の期間が短いのは、授業に充てる週を削らずに時間割を固めるための順番である。締切が動かない前提で、年度が替わる前に候補を決めておく側に回ったほうが楽になる。
第一段階は、すでに公表されている情報を見つけること
ガイダンスで配られた履修要項を、その日のうちに通して読む学生は少ない。もっとも、判断に必要な情報はガイダンスを待たずに外へ出ている。どこに置かれているかは法令で決まっている。
学校教育法施行規則の第百七十二条の二第一項は、大学が十の区分にわたって教育研究活動等の状況についての情報を公表するものと定めている。履修に直結するのは第六号と第七号だ。第六号は「授業科目、授業の方法及び内容並びに年間の授業の計画」に関すること、第七号は「学修の成果に係る評価及び卒業又は修了の認定に当たつての基準」に関することとされている。
つまり、シラバスにあたる情報と、成績評価および卒業認定の基準は、どちらも公表が求められている。同条第五項は、公表を刊行物への掲載、インターネットの利用その他広く周知を図ることができる方法によって行うものとしており、入学前から読める形で置かれている大学が多いのはこの規定があるからだ。
同じ第一項の第九号は授業料や入学料その他の費用、第十号は大学が行う学生の修学、進路選択及び心身の健康等に係る支援を挙げている。登録で行き詰まったときにどこへ相談できるかも、同じ情報公表のページ群に並んでいる。探す順番は、履修要項、シラバス、学年暦の三つで足りる。
第二段階は、シラバスのどこまでが書かれているかを知ること
シラバスを開いても、必要な情報がどこまで載っているかは大学によって違う。文部科学省の「大学における教育内容等の改革状況について(平成二十九年度)」は、国公私立七百七十七大学を対象に調査し、七百六十七大学から回答を得ている。記載状況は項目ごとに差が大きい。
| シラバスの記載項目 | 記載している大学 | 割合 |
|---|---|---|
| 授業の到達目標 | 739大学 | 99% |
| 各回の授業の詳細な内容 | 730大学 | 98% |
| 全科目の成績評価基準 | 728大学 | 93% |
| 担当教員以外が内容を検討・修正する機会 | 629大学 | 85% |
| 準備学習の具体的な指示 | 632大学 | 85% |
| 人材養成の目的や学位授与の方針との関連 | 377大学 | 51% |
| 準備学習に必要な学修時間の目安 | 346大学 | 47% |
到達目標と各回の内容は、ほぼどの大学でも書かれている。この二つを読み比べれば、科目名からは分からない難易度と進み方が判断できる。全科目の成績評価基準を明示している大学も七百二十八大学に達しており、何で評価されるかは登録前に確かめられる。
手薄なのは下の二行だ。準備学習に必要な学修時間の目安を書いている大学は三百四十六大学で、半分に届かない。授業外にどれだけ時間がかかるかは、多くの場合シラバスに書かれていない。ここは自分で見積もるしかない。大学設置基準の第二十一条第二項が一単位を四十五時間の学修で構成することを標準としている点を手がかりにすると、桁を外さずに済む。
人材養成の目的や学位授与の方針との関連を書いている大学が三百七十七大学にとどまる点も、読む側に影響する。その科目が卒業要件のどの区分に当たるかは、シラバスではなく履修要項の科目表で確かめる必要がある。
第三段階と第四段階は、仮登録・抽選と本登録
希望を出せば必ず通るわけではない。語学や実験、演習の科目には定員があり、超えた分は抽選か先着で絞られる。この線引きには根拠がある。大学設置基準の第二十四条は、一の授業科目について同時に授業を行う学生数を、授業の方法及び施設、設備その他の教育上の諸条件を考慮して、教育効果を十分に上げられるような適当な人数とするものとしている。
抽選に外れる前提で第二希望まで決めておくと、発表後の数日が落ち着く。同じ曜日・同じ時限に入る代替科目を、卒業要件の区分ごとに一つずつ控えに置く形が組みやすい。
本登録でもう一つ効いてくるのが、登録できる単位数の上限である。第二十七条の二第一項は、学生が各年次にわたって適切に授業科目を履修するため、卒業の要件として修得すべき単位数について、一年間または一学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定めるよう努めなければならないと大学に求めている。半期や年間の数値は大学ごとに異なるので、履修要項で確かめる。
上限を動かす仕組みも用意されている。同条第二項は、所定の単位を優れた成績をもって修得した学生について、上限を超えた登録を認めることができるとしている。先に挙げた平成二十九年度の調査では、成績の指標に応じて履修上限単位数を設定している大学が二百四十五大学(33%)と報告されており、三校に一校は成績と上限を連動させている。
第五段階と第六段階は、訂正期間と単位が付くまで
本登録のあとに訂正期間が置かれるのは、最初の数回の授業を受けてからでないと判断できないことがあるからだ。教室に入って初めて分かる進度や課題量は、シラバスの文面からは読み切れない。取り消すか差し替えるかの判断は、この期間の中で済ませる必要がある。
期間を過ぎると、登録は成績に変わる。大学設置基準の第二十七条は、一の授業科目を履修した学生に対しては、試験その他の大学が定める適切な方法により学修の成果を評価して単位を与えるものとしている。登録したまま出席しなかった科目も評価の対象として残り、結果が記録に積まれる。
評価のされ方は事前に示されている。第二十五条の二第二項は、学修の成果に係る評価及び卒業の認定に当たっては、客観性及び厳格性を確保するため、学生に対してその基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準にしたがって適切に行うものとすると定めている。基準が後から変わらないという前提があるので、登録前に読む価値がある。
記録の使われ方も広がっている。平成二十九年度の調査では、成績の指標となる制度を導入している大学が六百八十八大学(93%)、それを個別の学修指導に活用している大学が五百八十一大学(78%)だった。訂正期間に動かせた一科目が、翌年の上限や面談の内容まで変えることがある。
時間割を組むときは、授業以外に入れる予定も一緒に置いたほうが見通しが立つ。働く時間との兼ね合いは大学生のアルバイトの種類を比較に、学業との両立で注意したい点はインターンのデメリットに整理した。地域での活動を学びに重ねたい場合はFLASPOのような入口から探す手もある。
よくある疑問
抽選に外れて必要な科目が取れなかったときは、同じ区分の別科目に振り替えるか、次の学期や次年度に回す。第二十三条が八週や十週の授業期間も認めているため、後半のみ開講される科目が受け皿になることがある。履修要項の開講時期の欄を先に見ておきたい。
他大学で履修した科目や入学前に修得した単位は、登録の流れとは別の手続きになる。第二十八条第一項は、他の大学等で修得した単位を六十単位を超えない範囲で自校の履修により修得したものとみなすことができるとしており、申請の期限は大学が定める。入学直後のガイダンスで案内されることが多い。
登録をしないまま期間が終わった場合は、その学期に履修する科目が存在しないことになる。第二十七条は履修した科目に単位を与える仕組みなので、登録がなければ評価も単位もない。学期の途中で気づいたら、まず学務窓口に事情を伝えるのが早い。
登録だけ残して出席しなかった科目は、取り消しではなく不可の評価として残るのが一般的だ。成績の指標を学修指導に使う大学が多数である以上、翌年度の相談や上限設定に跳ね返る。要らないと判断した科目は、訂正期間のうちに外すのが安全である。
出典は電子政府の法令検索と文部科学省の公表資料にある。条文は大学設置基準(e-Gov法令検索)と学校教育法施行規則(e-Gov法令検索)、調査結果は大学における教育内容等の改革状況について(平成29年度・文部科学省)を参照した。
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