参加した学生自身が負担を言葉にしている
募集ページに並ぶのは得られるものの話で、失うものの話は参加した後に出てくる。判断の材料にするなら、まず規模から押さえたい。2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方(令和7年12月26日、就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議)は、インターンシップ等には学生の約七割が参加しており、参加は卒業・修了前年度の七月から本格化しているとしている。
同じ文書には、大学等からの受け止めも引用されている。採用・選考活動が早期化・長期化している現状は、学生の学業・研究活動の時間を奪い、学生の成長を妨げ、ひいては我が国の将来にとっても損失になるのではないか、という強い懸念が示されたと記されている。負担は参加者が個人で飲み込む話ではなく、日程ルールを議論する場の論点になっている。
以下では、その負担がどこに数字として現れるかを順に見ていく。制度そのものの前提はインターンとは何かで確認しておくと、ここから先の話が読みやすくなる。
日数が延びると支障の出方も大きくなる
内閣府の学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果(2025年度調査)は、参加日数で回答者を分けて効果と悪い影響を集計している。半日または1日を最長とする参加者が764人、5日以上の参加者が1,011人という内訳である。
「学業に支障が生じた」に「そう思う」と答えた割合は、半日・1日で8.5パーセント、5日以上で12.8パーセントだった。「どちらかといえばそう思う」まで含めた合計で見ると21.0パーセントと31.6パーセントになり、差は10ポイントを超える。
影響がより大きく出ているのは課外活動のほうである。部活動・サークル活動に支障が生じたは、「そう思う」で11.6パーセントと20.3パーセント、合計では26.5パーセントと44.1パーセントまで開く。5日以上の参加者の四割強が、何らかの形で課外活動を削っている計算になる。
| 項目 | 半日・1日(そう思う) | 5日以上(そう思う) | 半日・1日(合計) | 5日以上(合計) |
|---|---|---|---|---|
| 学業に支障が生じた | 8.5% | 12.8% | 21.0% | 31.6% |
| 部活動・サークル活動に支障が生じた | 11.6% | 20.3% | 26.5% | 44.1% |
| 自分の将来設計を考えるのに役だった | 23.9% | 50.9% | 66.0% | 87.2% |
| 採用選考上の優遇が受けられた | 33.9% | 50.1% | 55.9% | 64.8% |
この表の読み方には注意がいる。悪い影響だけが伸びているのではなく、得られるものも同じ方向に伸びている。日数は損得の両方を拡大する変数であって、短ければ安全という整理にはならない。
無給であること自体が違反になるわけではない
報酬が出ないと聞くと搾取を疑いたくなるが、法令の立て付けはそこまで単純ではない。厚生労働省の採用日程の設定関係Q&A(労働関係法令等との関係で留意すべき事項)は、一般にインターンシップ参加者への報酬の支払いが禁止されているものではなく、一義的には参加者と実施主体となる企業の間の契約内容に準じることとなる、と答えている。
線が引かれるのは労働者性のところである。同じ資料は、実習が見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条で定義する労働者には該当しないとする。一方、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が企業に帰属し、かつ使用従属関係が認められる場合には労働者に該当し、最低賃金額以上の賃金の支払いや、労働基準法第24条が定める賃金支払いのルールが適用される。
つまり問題になるのは、無給かどうかではなく、実態が労働なのに無給で置かれていないかである。見分ける手がかりは募集要項にある。インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方は、情報開示要件として実施時期・期間、場所、募集人数、選抜方法、無給か有給かを募集要項等に記載し公表することを挙げている。ここが空欄の募集は、条件面を詰めてから判断したい。金額の相場はインターンの給料・報酬で扱っている。
拘束される時間は実施日数より長く伸びる
カレンダーに入るのは実施日だけだが、実際に削られる時間はもっと広い。同じ内閣府調査では、参加したうちの最長日数は5日から10日が29.9パーセントで最も多く、5日以上を経験した学生の割合は40.1パーセントと、前年の34.6パーセントから増えている。1日以内で済ませる学生は減り、まとまった日数を取る方向に動いている。
就職活動そのものの長期化も重なる。先の関係省庁連絡会議の資料は、就職・採用活動に9カ月間程度以上の期間を要している学生の割合が、令和2年度の約3割から令和6年度では約5割へ増加したと記している。インターンシップ等への参加がその入口になっていることも、同じ資料が指摘している。
企業側の配慮も万全ではない。説明会や個別面接等の日程について、授業や試験等の妨げにならないよう多くの企業またはある程度の企業で配慮があったと感じた学生は74.2パーセントで、2024年度調査の79.9パーセント、2023年度調査の82.5パーセントから下がっている。四人に一人は配慮が乏しいと受け止めている状況である。長い形態を選ぶ前提は長期インターンとは何かで整理している。
選考に直結しているぶん断りにくさが生まれる
体験の場だと思って参加すると、途中で性格が変わっていることがある。内閣府調査によれば、参加したものが採用のための実質的な選考を行う活動を含んでいた割合は58.6パーセントで、昨年度の53.7パーセントからさらに上がった。参加後のアプローチも、早期選考の案内が73.5パーセント、採用説明会・セミナーへの参加が58.0パーセント、採用試験や面接等が52.3パーセントとなっている。
接続が強いほど、断る側の負担は重くなる。意思に反して他社への就職活動の終了を強要されるハラスメントを受けたとする学生は8.3パーセントで、2023年度・2024年度のいずれも9.4パーセントだったことを踏まえると水準は横ばいである。内容としては、内々定を出す代わりに他社への就職活動をやめるように強要されたという回答が約6割で最も高い。
困ったときの行き先も、想定と実際がずれている。経験のない学生の70.1パーセントは大学のキャリアセンターに相談すると答えるが、実際の経験者で同センターに相談した割合は11.2パーセントにとどまり、相談するところはわかっていたが相談しなかったという回答が35.5パーセントを占める。関係省庁連絡会議の資料は、都道府県労働局・ハローワークでも学生からの相談を受けつけ、大学のキャリアセンター等の窓口と事例の共有等の連携を行うとしている。地域の企業との接点から探したい場合はFLASPOのような窓口も候補になる。
よくある質問
無給の募集は避けたほうがよいか。無給それ自体は違反ではないため、作業の中身で判断したい。社員の指揮命令のもとで生産活動に組み込まれるのに無給であれば、労働者性の疑いが出る。見学と体験が中心で、終了後にフィードバックがある設計なら、無給でも制度の想定内である。
学業との両立が不安なときの目安はあるか。三省合意の実施期間要件と実施時期要件が参考になる。汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上とされ、実施時期は大学の正課および博士課程を除き、学部3年・4年ないし修士1年・2年の長期休暇期間に行うこととされている。学期中に平日を数日空けさせる募集は、この整理から外れている。
参加を途中で辞退すると選考で不利になるか。辞退を理由に不利益を与える扱いは公正な採用選考の考え方に反する。前述のとおり相談先は大学のキャリアセンターだけでなく労働局やハローワークにもあるため、強要があった場合は記録を残して相談するほうがよい。
負担が重くなりやすいのはどの形式か。日数が長く、就業体験の比率が高いものほど時間を取られる。一方で得られるものも大きいため、短い形式を数多く重ねるか、長い形式を一つに絞るかという配分の問題として考えたい。短期側の特徴は短期インターンの違いと活用法にまとめている。
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