Uターン先は三大都市圏で違う|東京圏は全道府県、大阪圏は35道県から

戻る先は県単位では比べられない

地元に戻るか、近い都市で働くか。就職活動でこの二択を考えるとき、手に入る統計は県単位で出てくる。ところが人の流れは県境ではなく通勤圏で動いているため、県の数字だけを並べると判断を誤りやすい。総務省統計局が令和8年2月3日に公表した2025年の住民基本台帳人口移動報告は、都道府県別と3大都市圏別の両方を出している。

全国の動きはわずかに縮んでいる。2025年の市区町村間移動者数は519万548人で前年より0.3%減り、都道府県間移動者数は251万5731人で同じく0.3%減った。一方で国外からの転入者数は78万2165人と6.3%増えている。国内で動く人の総量は増えていないのに、特定の圏に集まる構図だけが残っているという状態である。

そこで比べたいのは、どの圏がどこから人を集めているかという範囲だ。Uターン就職の人数そのものは公表されていないため、戻る先を選ぶ材料は転入超過の分布から読むことになる。

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集める範囲が圏ごとに違う

日本人移動者でみた3大都市圏全体は11万680人の転入超過で、前年に比べ614人の縮小だった。全体ではほとんど動いていないが、中身は3つで大きく違う。

圏 2025年の転入超過数 連続記録 転入超過となっている相手
東京圏(埼玉・千葉・東京・神奈川) 11万2738人 30年連続の転入超過 4年連続で全ての道府県
名古屋圏(愛知・岐阜・三重) 9561人の転出超過 13年連続の転出超過 静岡県など33県
大阪圏(大阪・京都・兵庫・奈良) 7503人 3年連続の転入超過 広島県など35道県

東京圏は、どの道府県に対しても人を引き出す側にいる。この状態は4年続いており、前年に比べて転入超過が拡大したのは長野県など16県、縮小したのは兵庫県など27道府県だった。大阪圏は広島県から2807人を集め、岡山県など21県で超過を広げている。ただし東京都に対しては1万2361人の転出超過で、西から集めて東へ送る中継点のような位置にある。名古屋圏は静岡県など33県から集めながら、東京都など11都道府県に対しては出す側で、合計では13年続けて出超である。

圏の中でも行き先は一つに寄る

圏の合計が増えていても、圏内のどこでも人が増えているわけではない。大阪圏の内訳は、大阪府が1万7489人の転入超過で、京都府は4681人、兵庫県は3617人、奈良県は1688人の転出超過だった。3府県はいずれも前年より転出超過を縮めているが、符号は変わっていない。大阪圏に戻るという選択は、実際には大阪府に入ることを指している。

名古屋圏も同じ形をしている。愛知県は1806人の転入超過で前年の転出超過から転じた一方、三重県は5938人、岐阜県は5429人の転出超過で、どちらも前年より超過が拡大した。圏の合計が出超なのは、愛知県の増加分を両県の流出が上回っているからである。

この構造は、Uターン就職の候補地を「地元の県庁所在地」と「圏の中心都市」に分けて考える必要があることを示す。実家から通える範囲に求人があるかどうかと、圏の中心に部屋を借りて通うかどうかは別の問題になる。住居の条件まで含めて比べるならUターン先に借りる部屋はあるのかという観点も先に確かめておきたい。

県単位で見ると出している側が40ある

都道府県別の転入超過数をみると、超過になっているのは7都府県しかない。最も多いのは東京都の6万5219人で、次が神奈川県の2万8052人、埼玉県の2万2427人、大阪府の1万5667人と続く。前年に比べて最も拡大したのは神奈川県で1089人、最も縮小したのは東京都で1万4066人だった。滋賀県は前年の転出超過から転入超過へ転じている。

残る40道府県は出している側である。転出超過が最も多いのは広島県の9921人で、福島県7197人、静岡県6711人、新潟県6379人が続く。前年より転出超過が拡大したのは18県あり、最も拡大したのは宮崎県の1960人だった。縮小したのは21道府県で、最も縮小したのは兵庫県の5185人である。山梨県は前年の転入超過から転出超過へ転じた。

ただし、国内の移動だけで県の人口が決まるわけではない。国外との出入りと職権消除などを加えた社会増減数でみると、全国は33万7234人の増加で、前年に比べ5548人拡大している。都道府県別では東京都12万5457人、大阪府5万8524人、千葉県4万2629人など23都道府県が社会増加で、最も拡大したのは愛知県の9298人だった。

国内の移動で出している県が、国外からの転入で人口を保っている場合がある。求人の多さは地域の就業者数に左右されるため、国内移動の符号だけで働き口の増減を判断すると見立てがずれる。地元の求人を調べるときは、県全体の社会増減と、自分が狙う業種の事業所数を別に見ておくほうが確実である。

広島県が最も多く出している一方で、大阪圏が最も多く集めている相手も広島県だった。出ていく先が特定の圏に偏るなら、戻る求人を探すときの競争相手も同じ経路をたどってくる。地元に戻る人の多さではなく、どの圏から戻る動きがあるかで求人の集まり方は変わる。

動くのは20代前半に偏っている

年齢で切ると、戻る時期の幅は意外に狭い。東京圏の年齢5歳階級別の転入超過数は20〜24歳が8万443人で最も多く、次が25〜29歳の2万3546人、15〜19歳の2万1469人である。10〜29歳の各階級は、年齢別の集計を開始した2010年以降16年連続で転入超過になっている。進学と就職の時期に集中して入っていることになる。

出る側に回るのは年齢が上がってからだ。東京圏の転出超過が最も多いのは60〜64歳の4562人で、55〜59歳3051人、65〜69歳2900人が続く。0〜4歳と55〜74歳の各階級は2010年以降16年連続の転出超過である。子育ての初期と退職前後に外へ出る流れがあり、その間の30代から50代前半は大きく動いていない。

つまりUターンの機会は、新卒の時期を過ぎると数の上では細くなる。20〜24歳の転入超過は前年より2690人縮んでおり、東京圏に入る流れ自体はわずかに弱まっているが、入る年齢の偏りは変わっていない。進路に起業を含めて考える場合はUターンの進路に起業を並べるという整理もある。地域との関わりを就職の前に作る方法はFLASPOでも扱われている。

よくある質問

東京圏に入る流れは弱まっているのか。日本人移動者でみた東京圏の転入超過は11万2738人で、前年に比べ6599人縮小した。総数では12万3534人で1万2309人の縮小である。縮んではいるが30年続けて超過であり、方向が変わったとは言えない。

大阪圏が3年連続で増えているのはなぜか。報告書は理由を説明していない。数字から読めるのは、大阪府の転入超過が1万7489人ある一方で、京都府・兵庫県・奈良県の転出超過が3府県とも縮小したため、圏の合計が4029人拡大したという内訳である。

地元に戻る人数を直接知る統計はあるか。この報告は転入と転出の差を示すもので、出身地に戻ったかどうかは区別していない。転入超過の数は、戻ってきた人と新しく入った人を合わせた結果である。出身地別の移動を知りたい場合は、自治体が独自に行う卒業生の追跡調査を探すほうが近い。

市区町村の単位で比べられるか。2025年の市区町村別の結果は令和8年4月23日に公表される予定とされている。都道府県と3大都市圏の数字は先に出ているため、現時点で比べられるのはこの2つの単位になる。

出典

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」(令和8年2月3日公表)/結果概要のページ、要約、結果の概要。都道府県別の数値は総数、3大都市圏と年齢階級別の数値は日本人移動者による。


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