大学生が地域活性化でできること|関わり方の型と始め方を数字から整理

「何かしたい」で止まるのは、関わり方に名前がついていないからである

ゼミで過疎地域の話を聞いた帰り道や、帰省先の駅前で閉まった店が増えているのを見たあとに、気持ちだけが残ることがある。ところが調べはじめると、出てくるのは自治体の分厚い計画書か、移住した人の体験記で、在学中の生活のまま踏み出せる入り口が見えない。国土交通省が2025年6月27日に公表した地域との関わりについてのアンケート調査結果では、全国の18歳以上の居住者およそ1億275万人のうち、約2,263万人、2割強が、移住でも観光でもない形で特定の地域と継続的に関わっていると推計されている。有効回答は118,963人、調査が行われたのは2023年9月から10月である。5人に1人を超える規模ですでに成り立っている行動なので、足りないのは覚悟ではなく、自分がどの位置に立てるかという見取り図のほうである。

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関わりは三つの型に分けて数えられている

この調査は、地域に足を運ぶ関わり(訪問系)と、足を運ばない関わり(非訪問系)を分けて推計している。訪問系が約18%(約1,884万人)、非訪問系が約4%(約379万人)という内訳である。訪問系の中身を複数回答で見ると、最も多いのが「趣味・消費型」、次が「参加・交流型」、その次が「直接寄与型」という並びになる。関わりが浅い型ほど人数が多く、深くなるほど細くなる。学生が最初に立てるのは人数の多い側で、右へ進むほど地域に対して負う責任が増えていく。

型 関わりの中身 学生の入り方の例 人数
趣味・消費型 地域の産品を買う、通って楽しむ 特産品を取り寄せる、同じ町へ二度行く 訪問系で最多
参加・交流型 住民と交わる、行事に加わる 祭りの運営補助、ワークショップ、住民との意見交換 訪問系で二番目
直接寄与型 地域の課題解決そのものに関わる 空き家の実態調査、産品の販路づくり、政策提案 訪問系で三番目
非訪問系 訪れずに関わる ふるさと納税、寄附、オンラインでの手伝い 約379万人

滞在の量も測られている。訪問系の年間訪問日数は、1日以下が約20%、2日から7日が約49%、8日以上が約31%である。関わっている人の半分近くは、年に2日から7日しか現地にいない。長期休みの数日あれば成り立つ範囲だと分かると、見積もりがずいぶん軽くなる。型ごとの具体像は関わり方別に読む関係人口の事例にまとめてある。

数日で試す枠は、すでに制度として置かれている

いきなり移住を考えなくてよいように、総務省は短い期間で地域に入る枠を用意している。地域おこし協力隊の関連制度として示されているうち、「おためし地域おこし協力隊」は主に2泊3日で、移住条件はなく、行政や受け入れ地域の関係者との顔合わせ、地域の案内や交流会が活動の例に挙げられている。もう一つの「地域おこし協力隊インターン」は2週間から3か月で、これも移住条件はなく、現役の隊員と同じ地域協力活動に実際に従事する。住民票を動かすという重い手続きを後回しにしたまま、現地の空気を確かめられる設計になっている。

働いて収入を得ながら滞在する枠もある。ふるさとワーキングホリデーは、都市部の若者などが概ね2週間から1か月のあいだ地方に滞在し、働きながら住民との交流や学びの場を通じて暮らしを体感する総務省の事業で、2016年4月から2026年3月までに6,856人が参加した。滞在先の宿や移動費は受け入れ自治体が特別交付税措置の対象経費として組めるため、交通費の壁が下がる。授業期間を外して長期休みに寄せられるかどうかが、学生にとっては最初の判断材料になる。学期を止めて長く入るかどうかは、短い枠を一度通してから考えても遅くない。

担い手として入る道は、思っているより若い人が多い

卒業後まで視野を広げると、地域おこし協力隊そのものが進路になる。総務省が2026年4月7日付で示した地域おこし協力隊についての資料では、隊員数は令和6年度に7,910人、取組自治体数は1,176団体となっている。この自治体数は、制度を使える1,461団体の約8割に当たる。やっていない自治体を探すほうが難しい段階まで来ている。隊員の約6割が20歳代と30歳代、約4割が女性で、政府は隊員数10,000人を目標に置いている。活動期間は概ね1年以上3年以下で、令和8年度からは最大5年とする特例も加わった。

任期の先も調べられている。2019年4月1日から2024年3月31日までに任期を終えた隊員のうち、およそ69%が同じ地域に定住した。同一市町村内に定住した4,477人の内訳では、約46%の2,077人が起業し、約34%の1,542人が就業している。ただしこの制度は住民票を移すことが条件なので、在学中に飛び込む対象ではない。先に挙げたインターンやおためしの枠で距離を測り、卒業の時期に重ねて考えるのが順序である。地域側が何に困っているかを先に知りたい場合は、人口流出対策で国・自治体・大学生ができることから入ると役割が整理しやすい。

続かない原因は、志の弱さではなく時間と交通費である

同じ国交省の調査は、これから関わりを持ちたいと考えている人に、何が変われば動けるのかを尋ねている。多い順に、仕事やプライベートでの時間的な余裕の確保が27.4%、移動や滞在に伴う金銭的な負担の軽減が26.7%、地域に行くための交通の利便性の改善が26.4%だった。上位三つがそろって、気持ちの問題ではなく段取りの問題を指している。

交通手段の回答も効いてくる。訪問系が地域まで使う主な手段は自家用車が約58%で最も多い。ただし新幹線以外の鉄道、新幹線、旅客機、都市間高速バス、一般路線バス、旅客船・フェリーを合わせると自家用車を上回る。車を持たない学生の場合、行き先を選ぶ段階で公共交通の便そのものが条件になる。だからこそ、滞在費や移動費を自治体が持つ枠を使い、授業のない時期に寄せ、同じ地域へ二度三度と通う形にしたほうが続く。一度の遠出で成果を出そうとするほど、三つの壁が同時に立ち上がる。

よくある質問

活動は単位になるのか。大学の制度によるが、法令の側には受け皿がある。大学設置基準は、教育上有益と認めるときに他の大学などで修得した単位を60単位を超えない範囲で認められるとし、大学以外の教育施設等における学修についても合わせて60単位までと定めている。地域での活動が授業科目や実習として組まれているかどうかで扱いが変わるため、参加を決める前に教務の窓口で確かめるのが早い。

個人やサークルでも受け入れてもらえるのか。制度の枠を通る場合は自治体の募集に個人として応募する形が基本で、団体まるごとの受け入れは相手の事情に左右される。先に挙げた国交省の類型でいえば、参加・交流型までは個人で入りやすく、直接寄与型は受け入れ側に調整の手間がかかる。最初から課題解決を名乗らず、行事の運営補助や調査の手伝いから入ると話が通りやすい。

どこから探せばよいか。総務省の制度を使う場合は、各自治体が出す募集要項が一次情報になる。地域おこし協力隊、おためし、インターン、ふるさとワーキングホリデーのどれで募っているかで、期間も費用負担も変わる。募集の時期は年度の前半に偏るので、長期休みに合わせるなら2か月から3か月前に動き出す必要がある。ふるさとワーキングホリデーには専用のポータルサイトがあり、複数の自治体と参加希望者が集まる合同説明会も年4回程度オンラインで開かれている。制度名から探すと、同じ地域の複数の枠がまとめて見つかる。

就職活動で語れる経験になるのか。日数そのものより、何を頼まれて何を返したかが残る。年に2日から7日という標準的な関わりでも、二度目に行ったときに前回の続きを任されていれば、それは実績として説明できる。逆に一度だけの訪問は旅行と見分けがつかない。すでに動いている取り組みの形を知りたいときは若者・大学生が主役の地域活性化の事例を、学生と地域をつなぐ仕組みづくりの側はFLASPOの取り組みを見ておくと、自分の立ち位置を決めやすい。


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