47の県名を人口の多い順に並べた表は、見慣れているつもりでも五年ごとに書き換わる。2026年5月29日に公表された令和7年国勢調査の人口速報集計では、人口が前回より増えた県がわずか2つになった。どこが増え、どこがどれだけ減ったのか。数字の並びを追うと、地域ごとに違う速度で進んでいる変化の形が見えてくる。
上位8都府県に、日本の人口の半分が乗っている
総務省統計局の令和7年国勢調査 人口速報集計結果によると、2025年10月1日現在の日本の人口は1億2,304万9,524人だった。都道府県別で最も多いのは東京都の1,424万6,219人で、全国の11.6パーセントを1都だけで占める。
2位以下は神奈川県919万3,657人、大阪府876万4,578人、愛知県744万9,403人、埼玉県728万7,169人と続く。上位8都府県を合わせると6,360万5千人になり、全国の51.7パーセントに達する。残りの39道府県で残り半分を分け合っている計算だ。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県からなる東京圏だけで3,698万6千人、全国の30.1パーセントを占める。最も少ないのは鳥取県の52万3,732人で、東京都の27分の1にあたる。
| 都道府県 | 2025年の人口 | 2020年からの増減率 | 人口密度 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 14,246,219人 | +1.4% | 6,475.7人/km2 |
| 神奈川県 | 9,193,657人 | -0.5% | 3,804.5人/km2 |
| 大阪府 | 8,764,578人 | -0.8% | 4,600.2人/km2 |
| 愛知県 | 7,449,403人 | -1.2% | 1,440.0人/km2 |
| 沖縄県 | 1,468,220人 | +0.1% | 643.4人/km2 |
| 秋田県 | 882,100人 | -8.1% | 75.8人/km2 |
| 鳥取県 | 523,732人 | -5.4% | 149.3人/km2 |
| 全国 | 123,049,524人 | -2.5% | 329.9人/km2 |
増えたのは東京都と沖縄県だけで、45道府県が減った
五年前と比べて人口が増えたのは、東京都と沖縄県の2都県にとどまった。東京都は19万8,621人増えて増加率1.4パーセント、沖縄県は740人増えて0.1パーセントである。沖縄県の増加はほぼ横ばいと言ってよい水準まで細くなった。
残る45道府県は減少している。減った人数が最も大きいのは北海道の23万9,195人で、次いで静岡県16万4,357人、兵庫県14万1,177人と続く。都市圏を抱える県でも実数の目減りは大きい。
率で見ると順番は入れ替わる。減少率が最も高いのは秋田県の8.1パーセントで、青森県7.9パーセント、岩手県と山形県と高知県がそろって7.0パーセントと並ぶ。東北と四国の一部では、五年間で20人に1人以上が県からいなくなった。全国の減少幅は309万6,575人、率にして2.5パーセント、年平均では0.50パーセントの減少である。全国の人口が前回調査を下回ったのは2010年から2015年の期間が最初で、そのときの減少率は0.8パーセントだった。減り方の勾配は明らかに急になっている。
前回まで増えていた6県が、減少側へ回った
五年前の調査との比べ方を変えると、もうひとつの動きが浮かぶ。2015年から2020年には増えていたのに、今回は減少に転じた県が6つある。埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、滋賀県、福岡県である。
たとえば愛知県は0.8パーセントの増加から1.2パーセントの減少へ、埼玉県は1.1パーセントの増加から0.8パーセントの減少へ、福岡県は0.7パーセントの増加から1.0パーセントの減少へ振れた。三大都市圏と地方中枢の県が同時に向きを変えたことになる。
さらに39道府県では、もともとあった減少幅が広がった。島根県は3.3パーセント減から6.2パーセント減へ2.9ポイント、静岡県は1.8パーセント減から4.5パーセント減へ2.7ポイント、広島県は1.6パーセント減から4.2パーセント減へ2.6ポイント、それぞれ拡大している。逆に減少幅が縮まった県は1つもない。増えた2都県も伸びは鈍り、東京都は3.9パーセントから1.4パーセントへ、沖縄県は2.4パーセントから0.1パーセントへ増加幅を縮めた。
人口密度に置き換えると、別の地図が現れる
総数の順位と、土地の広さで割った密度の順位は一致しない。全国平均の人口密度は1平方キロメートルあたり329.9人である。最も高い東京都は6,475.7人で、全国平均の19.6倍にあたる。
次に高いのは大阪府の4,600.2人、神奈川県の3,804.5人で、全国平均を上回っているのは15都府県しかない。人口2位の神奈川県が密度では3位になるのは、面積が2,416.55平方キロメートルと小さいためだ。
最も低いのは北海道の63.6人で、岩手県73.7人、秋田県75.8人が続く。全国平均を下回るのは32道県にのぼる。北海道は人口では9位だが、8万3,422.27平方キロメートルという面積がそれを薄く広げる。同じ「人口が減る」という現象でも、密度が3,000人を超える地域と、100人を切る地域では、生活の中で表れる形がまったく違う。買い物や通院の距離、路線の維持、除雪の担い手といった課題は密度の側に紐づく。地域を数字で語るときは、総数と密度のどちらを見ているのかを分けておく必要がある。
市町村まで降りると、増えたのは9.4パーセントだけ
都道府県の枠を外して1,719市町村で見ると、様相はさらに厳しくなる。人口が増えたのは161市町村で全体の9.4パーセント、減ったのは1,558市町村で90.6パーセントを占める。5パーセント以上減った市町村は全体の62.4パーセント、10パーセント以上減った市町村は27.7パーセント、実数では476市町村にのぼる。
政令指定都市と東京都特別区部を合わせた21大都市では、8市が増加、13市が減少した。増加率が最も高いのは福岡市の3.2パーセントで、特別区部2.3パーセント、千葉市2.1パーセントが続く。減少率が最も高いのは静岡市の4.9パーセントで、新潟市3.8パーセント、北九州市3.7パーセントの順だった。人口100万人以上の市は12で変わらない。
規模の分布も動いている。人口5万人未満の市は291から312に増え、人口5千人未満の町村は290から319に増えた。自治体の数は同じでも、一つひとつの器が小さくなっている。国が言う「人口減少を正面から受け止めた上での施策展開」が何を指すのかは、この階級別の表を見ると具体的につかめる。地方創生とは?2014年の法制定から地方創生2.0まで徹底解説で扱った政策の転換も、背景にはこの数字がある。都市に住む人が地域と関わる形については「関係人口」とは何か?意味・定義・交流人口との違いを図解でやさしく解説、地方の暮らしの実像は「田舎」とは何か?行政の定義から若者移住のリアルまで徹底解説が入口になる。
よくある質問
速報値と確定値はどう違うのか。速報集計は市区町村から提出された要計表をもとに、男女別人口と世帯数だけを先に集計したものである。調査票の記入内容の審査を経て集計される確定数とは必ずしも一致しない。令和7年調査の確定値は2027年9月の公表が予定されている。
男女の人数はどうなっているのか。男性5,977万9千人、女性6,327万1千人で、女性が349万2千人多い。女性100人に対する男性の数を示す人口性比は94.5である。1940年までは100.0から101.0の間で推移していたが、戦争による男性の死亡で1945年に89.0まで下がり、その後は高齢者の増加につれて緩やかに低下している。
人口が最も増えた市町村はどこか。増加数では東京都特別区部の22万人、大阪市の5万6千人、福岡市の5万2千人が上位に並ぶ。増加率では福島県大熊町の81.1パーセント、富岡町の35.8パーセント、浪江町の33.8パーセントが高い。これらは避難指示の解除にともなう帰還が反映されたもので、他の地域と同じ意味では読めない。減少率が最も高かったのは石川県珠洲市の34.0パーセントで、令和6年能登半島地震の影響が表れている。
この数字を地域の活動にどう使えばよいか。自分の関わる市町村が全国のどの階級に属するのかを押さえると、参考にすべき事例の範囲が絞れる。人口5千人未満の町村が人口10万人規模の市の施策をそのまま持ち込んでも噛み合わないことが多い。FLASPOでは大学生が地域の課題に関わるプロジェクトを扱っているが、そこでも最初に確認するのは規模と密度である。統計表の一次データは統計局の令和7年国勢調査のページから辿れる。
アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。
FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。
賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。


