勤めながら別の地域に通うとき、最初に足りなくなるのは意欲ではなく日数だ。年に何回、何泊できるのかは、勤務先の休日の形と年次有給休暇の実績でほぼ決まる。厚生労働省の統計には、その前提になる数字が企業規模や産業ごとに並んでいる。
使える日数は、休日の形と年休の実績から出る
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査は、常用労働者30人以上の民営企業6,448社を対象に調査し、3,820社から回答を得ている。ここで何らかの週休2日制を採っている企業は92.6%、完全週休2日制は65.5%だった。前年調査の56.7%から8.8ポイント上がっており、土日が揃って休める職場は増えている。
年次有給休暇のほうは、労働者1人平均で付与18.1日に対し、取得が12.1日、取得率は66.9%となった。いずれも昭和59年以降で最も高い水準で、前年の取得11.0日、取得率65.3%を上回っている。付与された日数のうち6日分は、まだ使われずに残っている計算になる。
| 項目 | 令和7年調査 | 令和6年調査 |
|---|---|---|
| 完全週休2日制の企業割合 | 65.5% | 56.7% |
| 何らかの週休2日制の企業割合 | 92.6% | 90.9% |
| 年次有給休暇の平均付与日数 | 18.1日 | 16.9日 |
| 年次有給休暇の平均取得日数 | 12.1日 | 11.0日 |
| 年次有給休暇の取得率 | 66.9% | 65.3% |
同じ年休でも、産業によって24.5ポイント開く
平均の数字だけで自分の持ち分を見積もると外れる。取得率を産業別に見ると、最も高い電気・ガス・熱供給・水道業の75.2%から、最も低い宿泊業・飲食サービス業の50.7%まで24.5ポイントの開きがある。製造業は72.8%、金融業・保険業も72.8%で高い側に入り、卸売業・小売業は59.9%、建設業は60.7%だった。
企業規模でも差が出る。取得率は1,000人以上で69.0%、300人から999人で66.8%、100人から299人で65.5%、30人から99人で64.9%と、規模が小さくなるほど下がっていく。取得日数にすると12.8日と11.3日の差になり、1年で1泊2日の滞在が1回半ほど違ってくる。
宿泊業・飲食サービス業の取得日数は8.0日で、全体の12.1日とは4日以上離れている。この水準の職場にいるなら、年休を軸にした計画は立てにくい。休日の並びと勤務のシフトから滞在の枠を取るほうが現実的だ。
1週間以上の長期休暇の制度は、まだ16.7%にとどまる
長く滞在するなら、法定の年休以外の休暇も確かめておきたい。特別休暇の制度がある企業は60.3%で、中身は夏季休暇が41.5%、病気休暇が28.4%、リフレッシュ休暇が15.4%と続く。1週間以上の長期の休暇の制度があるのは16.7%で、6社に1社という水準だ。
この制度も規模によって手に入りやすさが変わる。1,000人以上では27.8%にあるが、30人から99人では15.6%にとどまる。夏季休暇も1,000人以上の40.1%に対し、小さい規模では41.9%と逆転していて、休暇の種類ごとに傾向が違うことがわかる。
長期の休暇が制度として無い職場では、年休を連続して当てる形になる。取得率が6割台という実績を踏まえると、連続3日を年に3回ほど確保するのが無理のない上限だろう。地域の行事や繁忙期に合わせて、どの時期に寄せるかを先に決めておくと申請も通りやすい。
年休をいつ取るかを会社が決める仕組みもある。年次有給休暇の計画的付与制度がある企業は40.8%で、前年調査の40.1%から微増した。この制度がある職場では、休める日があらかじめ決まっている分、滞在の時期を自分で選びにくい。付与の予定が出る時期を確かめ、そこを起点に滞在の計画を立てる順番になる。
足りない日数は、勤務の制度で埋める余地がある
休暇だけで滞在日数を作ろうとすると上限に当たる。国土交通省の令和7年度テレワーク人口実態調査では、雇用型就業者3万6,391人のうち、勤務先にテレワーク制度等が導入されていると答えた人は34.1%で、そのうち実際に経験した人は64.8%だった。制度に基づいて働く雇用型テレワーカーは全体の22.1%である。
勤務時間の側の制度も使える。就労条件総合調査では、変形労働時間制がある企業は60.2%で、内訳は1年単位が30.3%、1か月単位が26.4%、フレックスタイム制が8.3%となっている。みなし労働時間制がある企業は15.8%で、うち事業場外みなし労働時間制が13.8%を占めた。
滞在の前後に半日ずつ時間をずらせれば、金曜の夜から月曜の朝までを使う形が成り立つ。どの制度に根拠を置くかで申請先も変わるため、就業規則の該当条文を印刷して、承認者と費用の負担を確かめておきたい。勤務の形と滞在の型の対応は二地域居住の働き方と滞在目的の内訳で整理している。
年間の滞在日数を決めてから、宿と移動を選ぶ
順番を逆にすると費用が膨らむ。完全週休2日制の職場で月に1回の週末を当てれば、年に12回で24泊になる。ここに連続3日の年休を3回足すと、合計は30泊を超える。年休の取得実績が12.1日という平均に収まる範囲でも、1か月分に近い滞在は組める。
30泊前後なら、通年で家を借りるより都度の宿泊で足りる場合が多い。借りる形に切り替える境目は、滞在日数と1泊あたりの単価、荷物を置けることの価値をどう見るかで決まる。費用の積み上げ方は二地域居住の費用を家賃・税金・移動で積み上げるにまとめた。
自治体の支援を使う場合も、年間の滞在日数が申請の説明に必要になることが多い。制度の対象や窓口の違いは二地域居住の支援制度の使い分けで確かめられる。受け入れ側の体制づくりの実務はFLASPOが扱う領域で、滞在の頻度を伝えておくと紹介される選択肢も変わってくる。
滞在の日数が増えると、住民票や税の扱いも気になってくる。生活の中心が移らない範囲では転出入の手続きは発生しないが、自治体の支援を使うときは滞在の実績を聞かれることがある。何月に何泊したかを手元に記録しておくと、相談のときの説明が短く済む。
よくある質問
質問 有給休暇を使い切る前提で計画してよいですか。
回答 平均の取得率は66.9%で、付与18.1日のうち12.1日が使われている状態です。全部を滞在に充てる計画は、病気や家族の事情の余地を潰します。付与日数の3分の2を上限の目安にして、残りは手を付けずに置くほうが続きます。
質問 テレワーク制度が無い職場では難しいですか。
回答 制度がある職場は34.1%で、多数派ではありません。制度が無くても、週休2日と年休を組み合わせれば年に30泊前後は確保できます。滞在の理由を仕事に寄せず、休日の過ごし方として組むほうが早く始められます。
質問 上司への伝え方で気をつける点はありますか。
回答 滞在先と期間、連絡が取れる時間帯、戻る日を先に示すことです。移住の相談と受け取られると話が大きくなるので、休日と年休の範囲で行う前提をはっきりさせてください。勤務時間中に働く日がある場合は、勤務の扱いを人事に確認しておく必要があります。
質問 家族がいる場合は日数の組み方が変わりますか。
回答 学校や保育の予定が先に決まるため、長期の休暇の制度があるかどうかの比重が上がります。該当する制度は16.7%の企業にしかないので、無い場合は夏季休暇と年休を続けて当てる形になります。
出典
厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」/国土交通省「令和7年度 テレワーク人口実態調査結果」
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