二地域居住の働き方とは|何のために滞在しているかを割合で読む

二つの地域に暮らしを分けている人は、そこで何をしているのか。住まいや費用の話は先に整理されるのに、滞在中の時間の使い方は「人それぞれ」で終わりやすい。ところが国の調査には、滞在の理由を選んでもらった結果が割合の形で残っている。そこを読むと、働き方の輪郭は想像よりはっきりしている。

数えられているのは「1泊以上・年2回以上」の人である

働き方を見る前に、誰が数の中に入っているかを確かめておく必要がある。国土交通省の二地域居住等の促進に向けた資料によると、主な生活拠点以外に滞在する地域があり、そこへ1泊以上の滞在を年に2回以上している人を実施者として数えている。年2回という線は低く、週末に実家へ帰る人も含まれる。

この定義で一次調査の回答者11万1,793人のうち8,035人が該当し、18歳以上人口のおよそ6.7パーセントにあたる約701万人が実施者と推計された。つまりここでいう働き方は、別荘を構えた一部の人の話ではなく、年に数回の泊まりを含む幅の広い層の話になる。二地域居住の現状で見た規模感がそのまま前提になる。

幅が広いということは、平均を見ても実像に届かないということでもある。同じ701万人の中に、月の半分を別の県で働く人と、盆と正月に実家へ戻るだけの人が並んでいる。だから次に見るべきは人数ではなく、何のために滞在しているかという理由の内訳になる。

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滞在の理由のうち、仕事がらみは三つに割れている

二次調査では実施者5,938人に、滞在する地域での目的を複数回答で選ばせている。最も多いのは家族や親族との交流で36.2パーセント、次が週末や長期休暇に別の地域で暮らすことの29.8パーセントだった。仕事に関わる選択肢はこの下に、三つに分かれて並んでいる。

滞在の目的(複数回答) 全体 都市・まち滞在型
家族又は親族等と交流する 36.2% 38.4%
週末又は長期休暇に別の地域で暮らす 29.8% 23.5%
趣味や娯楽活動を楽しむ 22.4% 22.6%
友人や知人と交流する 18.2% 20.6%
土地又は建物や墓等を管理する 15.9% 12.5%
普段行っている仕事のため 14.6% 20.0%
テレワークのため 11.2% 14.8%
副業のため 8.4% 10.5%
国土交通省「二地域居住に関するアンケート」(令和4年9月実施、二次調査、全体n=5,938/都市・まち滞在型n=1,445)より作成

普段行っている仕事が14.6パーセント、テレワークが11.2パーセント、副業が8.4パーセント。この三つは重なって選ばれている可能性があるので足し上げるのは乱暴だが、少なくとも仕事を理由に挙げる人が二桁の割合でいるのは読み取れる。単身赴任や出張の延長のように、会社の側の都合で二拠点になっている形がここに入ってくる。

注目したいのは、テレワークと副業が別の行に立っていることである。働き方を一つの言葉でまとめると、雇われたまま場所を動かす形と、滞在先で別の収入をつくる形が混ざってしまう。前者は勤務先との取り決めの問題で、後者は仕事そのものを探す問題だ。二地域居住の仕事の組み方で柱ごとに分けたのは、この二つが別の準備を要するためである。

長く滞在する型のほうが、仕事が理由に上がってくる

同じ調査は、滞在先の地域性と滞在日数の組み合わせで実施者を五つの類型に分けている。表の右の列は、市街地や郊外へ比較的長い日数滞在する類型である。全体と見比べると、普段行っている仕事が14.6から20.0パーセントへ、テレワークが11.2から14.8パーセントへ、副業が8.4から10.5パーセントへ、三つそろって上がっている。

資料も、テレワークのために滞在する割合は短期滞在型より滞在型のほうが多いと整理している。逆に農山漁村部に滞在する類型では、土地や建物や墓の管理という理由が目立つ。滞在が長くなる動機として仕事が機能しており、仕事がないと滞在が短く収まる、という関係がここに現れている。

この向きは計画を立てるうえで実用的だ。月に一度の週末だけなら、働き方を変える必要はほぼない。滞在を一週間や二週間に伸ばしたい段階で、はじめて勤務形態の話が避けられなくなる。どれだけ滞在したいかを先に決めると、働き方をどこまで動かす必要があるかが自然に決まる。

働く場所の区分は、すでに勤務形態の名前で決まっている

雇われたまま二拠点で働く場合、新しい制度を発明する必要はない。厚生労働省のテレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインは、業務を行う場所に応じてテレワークを三つに分類している。自宅で行う在宅勤務、メインのオフィス以外のオフィスを使うサテライトオフィス勤務、ノートパソコンなどを使って臨機応変に場所を選ぶモバイル勤務である。

滞在先の住まいで働くなら在宅勤務にあたる。地域のシェアオフィスやコワーキングスペースを使うならサテライトオフィス勤務で、ガイドラインはこの形を、在宅やモバイル以上に作業環境の整った場所で働ける働き方と位置づけている。普段のオフィスと違う場所で余暇も楽しむワーケーションについても、モバイル勤務かサテライトオフィス勤務の一形態として分類できると書かれている。

言い換えると、勤務先に説明するときの言葉はすでに用意されている。二地域居住という生活の形を認めてほしいと頼むより、どの勤務形態で、どの頻度で、どこから働くかを示すほうが話が通る。会社側が判断する材料は、生活設計ではなく勤務形態の運用だからである。

制度の側は「住まい」「なりわい」「コミュニティ」で組まれている

受け入れる地域の側にも、働く場所をつくる仕組みが置かれている。国土交通白書によると、二地域居住等を促進する改正法が令和6年11月に施行され、これを土台に市区町村の特定居住促進計画の策定が後押しされている。地域のコーディネーター役となる特定居住支援法人の育成も並行して進められている。

支援の対象は「住まい」「なりわい」「コミュニティ」の三つの課題に沿って整理され、住宅のほかコワーキングスペースや交流施設の整備が挙げられている。令和6年10月には全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームも発足した。働く場所の整備が住まいと同じ列に置かれているのは、仕事が滞在の長さを決めているという先ほどの関係と符合する。

実務的には、候補地を選ぶときにコワーキングスペースの有無と通信環境を住まいと同時に見る、という作業になる。自治体の計画や支援法人の有無は公開情報で確かめられる。暮らしの設計を地域の情報と突き合わせる段取りは、FLASPOのような移住と地域の情報をまとめた場でも追いかけられる。

よくある質問

年に2回の滞在でも二地域居住になるのか。調査上の定義では、1泊以上の滞在を年に2回以上していれば実施者として数えられる。ただし制度の支援や住まいの契約を考える段階になると、この頻度では検討の必要がないことも多い。数の話と準備の話は切り分けたほうがよい。

テレワークができない職種だと無理なのか。滞在の理由として最も多いのは家族や親族との交流で、仕事を理由に挙げる人は一部である。働き方を変えずに滞在している人のほうが多いので、まず滞在の目的を仕事以外に置く選択はある。業種ごとの事情は別に整理する必要がある。

二拠点にすると仕事の効率は落ちるのか。同じ調査でメリットを聞くと、仕事の効率が上がったと答えた人が10.0パーセントいた。デメリット側で仕事の効率が下がったと答えた人は2.2パーセントだった。回答者は実施している人に限られるので楽観寄りに出る前提はあるが、効率の低下が主要な不満として挙がってはいない。

始める前に何から手をつけるべきか。滞在したい日数を決めるのが先である。その日数が週末に収まるなら勤務形態は動かさずに済み、一週間を超えるなら在宅勤務かサテライトオフィス勤務のどちらで届け出るかを勤務先と決める段取りに入る。費用の見積もりは二地域居住の費用の積み上げ方に沿って別に置くとよい。


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