料理の楽しみ方|飽きずに続く工夫と誰かと食べる時間のつくり方

料理の楽しみ方|飽きずに続く工夫と誰かと食べる時間のつくり方

面倒だと感じる原因は、味ではないところにある

作るのが楽しい日もあるのに、翌週にはもう台所に立ちたくない。この波の正体は料理の好き嫌いではなく、台所に向かうまでの条件が整っていないことにある。何が邪魔をしているのかが分かれば、同じ手間でも受け取り方が変わる。

農林水産省の食育に関する意識調査報告書(令和6年3月)食育への関心についてでは、食育に関心がある人は合わせて78.1%で、関心がない人は20.9%だった。注目したいのは関心がない理由の内訳で、「食費を安くすることの方が重要だから」が32.1%、「他のこと(仕事、趣味など)で忙しいから」が31.9%、「食育自体についてよくわからないから」が30.8%と並んでいる。

上位の三つは、どれも味や腕前の話ではない。お金、時間、そして言葉の分かりにくさである。言い換えれば、安く済む、短く済む、意味が見える、この三つのどれかが満たされれば入口は開く。

以下では、楽しみ方の入口を五つに分け、季節と地域の入れ方、誰かと食べる時間の作り方、上達を実感に変える方法という順で見ていく。

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楽しみ方は五つの入口に分かれている

台所の楽しさを「おいしく作れること」だけに置くと、腕が上がるまで報酬が来ない。実際には、作る以外にも入口がいくつもある。どれか一つが開いていれば、続ける理由は足りる。

入口 何が面白いのか 最初の一歩
作る 手順が体に入り、迷う時間が減る 同じ一品を3回続けて作る
味わう 違いが分かるようになる 塩だけ替えて食べ比べる
選ぶ 旬と産地が結びつく 直売所で知らない野菜を1つ買う
分ける 反応が返ってくる 作ったものを持ち寄りに一品出す
記録する 自分の変化が見える 材料の組み合わせを書き留める

この五つのうち、最も見落とされやすいのが「味わう」である。同じ豆腐に塩、しょうゆ、オリーブ油を別々にかけて食べ比べるだけで、調味料の役割が舌で分かる。手順を覚える前に違いが分かるようになると、レシピから離れても手が動くようになる。

「選ぶ」も負担が軽い入口だ。買う段階で面白さが発生するので、台所に立つ前に一区切りついている。道具をそろえる段階から整えたい場合は、料理の始め方|最初にそろえる道具と調味料、一品目の選び方までが下地になる。

季節と地域を入れると、献立が勝手に動き出す

毎週同じものを作っていると、味に不満がなくても手が止まる。献立が動かない原因は発想力ではなく、変化を外から運んでくる仕組みがないことにある。季節と地域は、その役を黙って引き受けてくれる。

先の調査では、今後1年間に食育として実践したいこととして「地域性や季節感のある食事をとりたい」を挙げた人が42.2%%いた。上位には「栄養バランスのとれた食生活を実践したい」66.7%%、「健康に留意した食生活を実践したい」57.1%%、「食べ残しや食品の廃棄を削減したい」56.0%%が並ぶ。健康と無駄の削減に続いて、季節と地域が四割を超えている。

同じ報告書の食文化についてを見ると、郷土料理や伝統料理を月1回以上食べる人は54.5%、2〜3か月に1回程度が15.8%、それより少ない人が19.8%で、食べたことがないという人も7.5%いた。地域の料理は、意識して取りに行かないと食卓に上がらないところまで来ている。

一方で、食文化を次の世代に受け継ぐことが大切だと考える人は86.9%に達し、実際に受け継いでいると答えた人は65.4%だった。大切だと思う気持ちと実践の間には二十ポイント以上の開きがある。この差は、作り方を知らないのではなく、作る機会が生活に組み込まれていないことから生まれている。

対処は難しくない。月に一度、産地が書かれた野菜を基準に一品決める。夏なら冬瓜、秋ならきのこ、冬なら根菜。品目から入ると、調べる手間が調べる楽しさに変わる。

誰かと食べる時間は、意図して作らないと生まれない

一人で食べる食事が続くと、作ること自体の張り合いが薄れていく。農林水産省の共食の状況についてによると、家族と同居している人のうち、朝食をほとんど毎日一緒に食べる人は43.8%で、ほとんどないと答えた人は27.7%だった。夕食ではほとんど毎日が63.1%、ほとんどないが6.3%となっている。

同居していても、朝は四分の一以上が別々に食べている。働く時間も通学時間もそろわないのだから当然ではあるが、放っておけば一緒に食べる回数はゼロに近づく。回数を保つには、曜日を決めて予定として置くほうが確実である。

家の外にも場はある。同じ調査では、地域や職場などで食事を共にする機会に参加したいと答えた人が30.2%で、そのうち過去1年間に実際に参加した人は62.8%だった。参加したい人のうち六割強は行動に移しており、場があれば動く層は薄くないことが分かる。

持ち寄りは、作ることと分けることが同時に起きる形なので効率がよい。一品だけ持っていけばよく、他人の味付けを知る機会にもなる。食事と気分の関わりはメンタルと食事|野菜256gと共食19.0%が示す二つの不足でも扱っている。

上達は、放っておくと自分では見えない

半年前より確実に手際はよくなっているのに、本人にはその変化が見えない。これが続ける気力を削る。見えるようにする仕掛けを、小さく一つだけ入れておくとよい。

有効なのは、料理名ではなく材料の組み合わせで記録することである。「鶏もも、しめじ、バター、しょうゆ」のように残しておけば、次の買い物でそのまま再現できる。三か月もすれば、自分がどの組み合わせを好むかという傾向が見えてくる。

もう一つは、やめる基準を先に決めておくこと。疲れた日は主菜を買い、副菜だけ作る。この線を引いておくと、作らなかった日が失敗にならない。全部やるか何もしないかの二択をなくすだけで、年単位では作る回数が増える。

食費や栄養という実利の面から見直したいときは、自炊のメリットとは?食費と栄養、続けやすさの三つで整理するが参考になる。地域の生産者や季節の品目から献立を広げたい人は、FLASPOのように地域とつながる場を入口にすると、調べる相手が人になり、情報が記憶に残りやすくなる。

よくある質問

料理が面倒に感じるときは何から変えればよいですか。手順を増やすのではなく、入口を替えるのが早道です。食育に関心がない理由の上位は、食費32.1%と多忙31.9%でした。つまり安く短く済む形に寄せれば入口は開きます。主菜を買って副菜だけ作る日を作ると、台所に立つ回数自体は落ちません。

レシピをなぞるだけで上達しますか。再現はできますが、応用は別の力です。同じ食材に別の調味料をかけて食べ比べると、どの調味料が何をしているかが舌で分かります。味の違いを言葉にできるようになると、レシピから外れても判断ができるようになります。

一人暮らしでも共食の効果は得られますか。同居が前提の数字ではありますが、家の外の機会も使えます。地域や職場で食事を共にしたいと答えた人は30.2%で、そのうち62.8%が過去1年間に実際に参加していました。持ち寄りや直売所の催しは、一人でも入りやすい入口です。

郷土料理は難しそうで手が出ません。月1回以上食べている人が54.5%いる一方、食べたことがない人も7.5%います。構えずに始めるなら、地域の定番の汁物か炊き込みご飯が入りやすいでしょう。出汁と具材を替えるだけで形になるものが多く、特別な道具も要りません。

続けるための記録は何を書けばよいですか。味の感想より、材料の組み合わせと量を残すほうが役に立ちます。料理名で書くとレシピを探し直す手間が戻ってきますが、材料で残せば買い物の段階で再現できます。うまくいかなかった組み合わせも書いておくと、同じ失敗を繰り返しません。


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