ファッションとSNS|高校生は6時間44分を画面に使う

ファッションとSNS|高校生は6時間44分を画面に使う

流れてくる服と、手元にある服のあいだ

指を動かすほど新しい服が出てくる。気づけば十数分が過ぎていて、何を探していたのかもあいまいになっている。買う前の情報源が店頭から画面に移ったことで、服選びの入口は大きく変わった。

どれくらい画面を見ているのかは公的な調査に出ている。こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境実態調査」の令和7年度調査は、満10歳から満17歳の青少年5,000人を対象に令和7年11月1日から12月18日まで実施され、3,060人から回答を得た。平日1日あたりの平均利用時間は約5時間27分で、前年度より約25分増えている。

学校種別では高校生が約6時間44分で、中学生の約5時間24分、小学生(10歳以上)の約3時間54分を上回る。高校生のうち1日5時間以上使っている割合は63.3%である。

この時間に何をしているかというと、高校生では動画視聴が95.3%、コミュニケーション(SNS、メール等)が92.7%と並ぶ。服の情報は、探しに行かなくても向こうから届く状態にある。

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買う場所が画面に移ると相談も画面から来る

同じ調査の利用内容には「買い物」という項目がある。青少年全体では18.6%だが、高校生に限ると38.5%に上がる。高校生の4割近くが、自分の手でネット上の買い物に関わっている。

その先で何が起きているかは、消費生活相談の集計が示している。国民生活センター「2025年度 全国の消費生活相談の状況」によると、2025年度に全国の消費生活センター等へ寄せられた相談は1,006,377件で、2024年度の913,355件から約9万件増えた。販売購入形態では通信販売が38.0%を占め、最も高い。

品目別で目を引くのは洋服である。「紳士・婦人洋服」は21,729件で、前年度の14,925件から6,804件増えた。対前年度比145.6%で、件数が増えた品目の3番目に入る。

商品・役務等 2025年度 2024年度 対前年度比
化粧品 65,382件 60,594件 107.9%
賃貸アパート・マンション 43,148件 34,908件 123.6%
紳士・婦人洋服 21,729件 14,925件 145.6%
エステティックサービス 14,691件 9,807件 149.8%

相談の中身は、注文したのに商品が届かない、偽物が届いたので返金してほしいというものが挙げられている。販売方法・手口別ではインターネット通販が225,388件、定期購入が98,455件で、上位2つを占めた。

画面の向こうに売り手の実体が見えないぶん、支払いの前に確認できる材料は限られる。送料や返品の条件、事業者の所在地と連絡先は、買う前に読めば数十秒で済む。

件数の伸び方にも差がある。上の表のうち化粧品は前年度から107.9%と緩やかだが、洋服とエステティックサービスは1.5倍近い。身につけるものと見た目に関わる役務で、画面発の取引が一気に増えた形である。

その投稿が広告かどうかを見分ける線

気に入った服の投稿が、個人の感想なのか依頼を受けた宣伝なのかは、見た目では区別しにくい。ここには法律上の線が引かれている。

消費者庁「ステルスマーケティングは景品表示法違反です」のとおり、令和5年10月1日から、広告であることを隠した表示は景品表示法の不当表示として規制されている。対象になるのは「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」で、SNSの投稿やレビューだけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌の表示も含まれる。

規制の対象者は商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主である。依頼を受けて投稿した第三者は対象にならない。投稿者を責める仕組みではなく、隠して出した企業側の責任を問う仕組みだと理解しておきたい。

読む側にできることは単純で、宣伝と明記されているかを先に見る。明記のない投稿がすべて宣伝というわけではないが、同じ商品をほめる投稿が短期間に大量に並ぶときは、投稿の数ではなく中身の具体性で判断したほうがよい。

流行の速さに手持ちが追いつかないとき

画面で見る服は、季節ごとではなく日ごとに入れ替わる。流行の寿命が短くなるほど、買ってから着るまでの猶予も短くなる。

そもそも流行がどう生まれ、どう降りてくるのかを一度整理しておくと、追う範囲を自分で決めやすくなる。言葉の成り立ちから見たい場合はファッションとは何か、若い世代の買い方と手放し方を数字で追ったものとしてはファッションと若者がある。

手持ちとのずれを小さくする方法のひとつは、保存した投稿を1週間後に見直すことである。その場の勢いで保存した服のうち、1週間たっても着る場面を思い出せるものは限られる。

もうひとつは、同じ系統の服が何枚あるかを先に数えておくことだ。画面で見た一枚が新鮮に見えるのは、手持ちの似た服が目の前にないからという理由も含まれている。

流行を追う速度は人それぞれでよい。季節に一度だけ入れ替える人と、月ごとに試す人が同じ画面を見ているのだから、同じ頻度で買う必要はない。自分の更新の間隔を決めておくと、間に挟まる投稿は参考情報として扱える。

画面との距離を自分で決める

服の情報を集めること自体に害はない。問題になるのは、見ている時間が生活の別の部分を削り始めたときである。

先の調査では、インターネット上の経験として、高校生の26.2%が「のめりこんで勉強に集中できなかったり、睡眠不足になったりしたことがある」と答えている。迷惑メッセージやメールが送られてきたことがあるのは39.6%、知らない人やお店などからメッセージが来たことがあるのは28.3%だった。

買い物の勧誘が混ざった通知は、見た時間だけでなく判断の余力も削る。心の状態と画面の関係はメンタルとSNSでも扱っている。地域で若い世代の活動を支えるFLASPOの現場でも、発信の勢いと手元の生活の釣り合いは繰り返し話題になる。

具体的な手は2つある。通知を切る時間帯を決めること、そして服を探す目的でアプリを開く日をあらかじめ限ること。どちらも流行から離れる方法ではなく、流行に自分の予定を明け渡さない方法である。

よくある質問

画面で見た服はなぜ届くと違って見えるのか。撮影の光と角度、着ている人の体格、画面の色の出方が重なるためである。素材と寸法の表記を見る習慣があると、ずれの幅は小さくなる。

宣伝の表記がない投稿は信じてよいのか。表記の有無だけでは決まらない。使った期間や合わなかった点まで書かれているかを見て、良い点だけが並ぶ投稿は判断材料をひとつ増やしてから考えたい。

通販で買った服が届かないときはどうするか。まず注文の記録と事業者の連絡先を確認し、消費者ホットライン188(いやや)や最寄りの消費生活センターに相談する。2025年度の洋服の相談でも、未着と偽物が主な中身として挙げられている。

定期購入になっていたと気づいたらどうするか。注文画面と確認メールに記載された契約条件を保存し、解約の手順を確認する。相談全体では定期購入が98,455件で、手口別の2位に入っている。

高校生の利用時間が長いのは問題なのか。調査は時間と内容を示すだけで、良し悪しは判定していない。約6時間44分という平均を目安に、睡眠や食事が削れていないかを自分で見るのが実際的である。

服の相談が増えたのは買う人が増えたからではないのか。通信販売そのものが約4.6万件増えており、取引の総量が増えた影響は含まれる。ただし洋服の対前年度比145.6%は全体の伸びを上回っているため、量の増加だけでは説明しきれない。

数字の出どころはどこか。利用時間と利用内容はこども家庭庁の令和7年度調査、相談件数は国民生活センターの2025年度集計、広告の規制は消費者庁の告示である。調査の対象年齢と集計期間が異なるため、並べて読むときは条件をそろえたい。


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