休学のメリットと引き換えになるもの|休学者8.6万人の内訳から

休学のメリットと引き換えになるもの|休学者8.6万人の内訳から

休学は例外的な選択ではなくなっている

同じ学年の誰も休学していないように見えるのは、休学した学生が学内で目に入らなくなるからである。文部科学省が公表した令和6年度の学生の中途退学者・休学者数の調査結果によると、国公私立の大学、短期大学、大学院、高等専門学校を合わせた休学者は86,119人で、学生数に占める割合は2.95パーセントだった。調査の対象期間は令和6年4月1日から令和7年3月31日まで、回答率は90.4パーセントである。

学校種 休学者数 学生数に占める割合
大学 68,239人 2.70%
短期大学 1,526人 2.23%
大学院(計) 15,493人 5.86%
 修士・専門職学位課程 6,954人 3.68%
 博士課程 8,539人 11.31%
高等専門学校 861人 1.53%
合計 86,119人 2.95%

学部で言えば37人に1人、博士課程に進むと9人に1人が一年のうちに休学している計算になる。前年度と比べると、大学、短期大学、高等専門学校では割合が上がり、大学院では下がった。同じ調査の中途退学者は61,441人で2.10パーセントであり、休学者のほうが数で上回る。学籍を離れる前にいったん止める選択が、退学よりも多く使われている構図である。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

理由の内訳が示す実際の使われ方

何のために止めるのかは、同じ調査の理由別の集計に表れている。単一選択で尋ねた休学の理由は、海外留学が13.8パーセントで最も多く、精神疾患が13.0パーセント、経済的困窮が11.7パーセントと続く。以下は転学・進路変更等が8.5パーセント、病気・けが・行方不明が7.4パーセント、就職・起業等が6.6パーセント、学生生活不適応・修学意欲低下が5.8パーセント、学力不振が3.2パーセントで、その他が26.7パーセント、不明が3.4パーセントだった。

上位に並ぶ三つは性質が異なる。海外留学と就職・起業等は、休学の期間を使って何かを足す向きの理由である。精神疾患と病気・けがは、学業を続ける体力が落ちた時期に負担を外す向きの理由にあたる。経済的困窮は、在籍にかかる費用そのものが続けられない状態を指す。休学の利点を一般論で語ると噛み合わなくなるのは、この三つが混ざっているためだ。自分の理由がどの向きにあるのかを先に決めておくと、復学の時期の見当もつけやすくなる。

理由の分布は前年度と大きく変わっていない。文部科学省の資料も、主な休学理由の傾向にあまり変化は見られなかったと記している。制度の使い道が年ごとに揺れているわけではないので、先に休学した学生の事例は今でも参考になる。

授業料が止まるかどうかは大学の規程で決まる

休学で最も分かりやすい利点は、在籍にかかる費用が軽くなることである。ただし国の省令は休学中の授業料を直接定めていない。国立大学等の授業料その他の費用に関する省令にあるのは、その年度の在学期間が12か月に満たない者の授業料は年額の12分の1に在学する月数を掛けて徴収することを原則とするという規定で、休学を理由とした免除の条文ではない。実際の扱いは各大学の規程に委ねられている。

月割の考え方は規程の文面に表れる。国立大学法人東京外国語大学の授業料その他の費用に関する規程では、前半期または後半期の途中で復学した者から徴収する授業料は、年額の12分の1に相当する額に復学の日の属する月から次の徴収の時期前までの月数を掛けた額とされている。さらに、後半期の授業料徴収の時期前に休学する者が前半期分と一緒に後半期分を納付していた場合、申出により後半期分に相当する額が返還される旨も定められている。

ここから読み取れるのは、休学の開始と復学の時期が月単位で金額に跳ね返るということである。学期の途中から休学しても、その月の分がまるごと戻るとは限らない。授業料の徴収の時期をまたぐかどうかで納付と返還の順序も変わる。休学を考え始めた時点で、学費の納付期限と大学の規程を並べて確認しておく価値がある。卒業要件と履修計画を立て直す作業も、この日付の確認と同時に進めることになる。

奨学金は休学しても自動では続かない

学費が止まる一方で、入ってくるお金も止まる。日本学生支援機構の休止・復活の届出では、休学するときは学校の奨学金窓口に連絡して振込を止める手続きを取ることになっている。手続きをしないまま休学した後に口座へ振り込まれた奨学金は、学校の指示に従って速やかに機構へ返金しなければならない。休学の手続きをせずに1か月以上欠席した場合も交付は止まる。

期間にも限度がある。貸与奨学金では、休止の期間が連続して2年を超えると貸与奨学生としての資格を失う。大学院の奨学生で機構が特に認めた場合は3年を超えることもあるとされているが、原則は2年である。休止と停止が連続して2年を超えた場合も同じ扱いになる。給付奨学金には休止期間の制限がないものの、休学中も定められた期限までにスカラACから在籍報告を入力する必要がある。復学した後に復活の手続きを取れば交付が再開されることがあり、再開が不要なら辞退の届出を出す。

返還の側にも手続きが残る。返還期限猶予の案内では、一般猶予と在学猶予の適用期間の上限は通算10年、120か月とされている。在学している間は在学猶予で返還を先送りできるが、こちらも届け出なければ期限が来る。休学は学籍を残す選択であるため、学籍があるからこそ必要な届出が増えるという向きになる。奨学金と履修上限を決める数値と同じく、知らないまま期限を越えると不利が確定する種類の手続きである。

得られる時間と、後ろへずれるもの

休学で手に入るのは、評価される義務のない時間である。留学の準備や療養、資金づくり、進路の作り直しに充てられる期間を、退学という形で学籍を手放さずに確保できる。復学すれば在学生として単位の積み上げを続けられる点が、いったん辞めてから入り直す場合との大きな違いになる。経済的困窮が理由の上位に入っているのは、学費の徴収をいったん止めて働く時間を作る使い方が実際にされていることの裏づけでもある。

後ろへずれるものもはっきりしている。休学した月数の分だけ卒業の時期が動き、就職活動の時期や奨学金の貸与期間の読みも動く。就職・起業等を理由に挙げた6.6パーセントの学生は、採用の年次と自分の卒業年度がずれることを前提に動いていることになる。中途退学者が61,441人いる一方で休学者が86,119人いるという比較は、迷った段階で学籍を手放さずに止める判断が広く取られていることを示している。中退と休学の統計から逆算する見方を履修登録の段階で持っておくと、追い込まれる前に選べる。働く場所を変える選択と組み合わせて考えたい人は、FLASPOのような地域の仕事を扱う場で復学後の進路の相場を確かめておくと見通しが立つ。

よくある質問

休学できる期間に上限はあるか。期間は各大学の学則で定められており、全国で共通の年数は置かれていない。一方で奨学金の側には、休止が連続して2年を超えると貸与奨学生の資格を失うという基準がある。学則の上限と奨学金の上限は別に動くため、長めに休むときは両方を照らし合わせる必要がある。

休学中に納めた授業料は戻ってくるか。東京外国語大学の規程のように、後半期分を先に納付していた場合の返還を定めている例がある。ただし返還の条件や申出の期限は大学ごとに異なり、自動で戻る仕組みではない。納付の前に休学の見込みが立っているなら、納付の時期そのものを窓口に相談するほうが手数が少ない。

休学は就職で不利になるか。調査で理由を尋ねられた項目に海外留学や就職・起業等が並んでいるとおり、休学の期間は目的を持って使われている。不利かどうかを決めるのは期間の有無ではなく、その期間に何を置いたかを説明できるかどうかである。療養が理由の場合も、復学して単位を積み直した経過そのものが説明の材料になる。

休学と退学のどちらを選ぶべきか。学籍を残すか手放すかという違いが決定的で、休学なら復学後に既に取った単位を使い続けられる。進路を変える意思が固まっているなら転学や退学が筋だが、迷っている段階で判断を急ぐ理由はない。休学者が中途退学者を数で上回っている現状は、保留という選択が制度として用意されていることの表れである。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。