新卒就活と若者|オワハラ8.3%と学業の両立から見る負担の所在

新卒就活と若者|オワハラ8.3%と学業の両立から見る負担の所在

就活の話は企業の採用計画や内定率の側から語られることが多い。しかし実際に時間と判断を使っているのは学生である。授業と選考が重なったとき、どちらを削るのか。内々定を出す代わりに他社を受けるなと言われたとき、誰に相談するのか。内閣府が毎年実施している学生調査には、こうした場面の数字が残っている。若者の側から見た就活の負担が、どこに集まっているのかを確かめる。

授業と選考が重なるとき、削られるのは学業の側

内閣府の学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査は、令和七年度に大学四年生と大学院二年生から四四一五名分の有効回答を得ている。この調査には、就活が学業にどう食い込んでいるかを測る設問が複数ある。

まず企業側の配慮についてである。説明会や個別面接等の日程や時間帯が授業や試験の妨げにならないよう配慮されていたと感じた学生は約七割で、前年度調査よりやや減っている。留学経験者向けのスケジュールや情報が示されていたと肯定する回答は約六割で、こちらは前年度とほぼ同じ水準だった。七割という数字は高いように見えるが、裏返せば三割の学生は配慮を感じていない。

次にインターンシップである。参加したインターンシップと呼称されるもののなかで、授業の欠席を伴うなど具体的な学業への影響があったと答えた割合は約二割で、過年度調査と比べて増加傾向にある。学業が選考でどう扱われるかという問いでは、面接で研究やゼミ、専門分野への取組や成績について質問を受け、その内容が評価に関係していると感じた割合が約五割を占めた。学業は評価される一方で、同じ就活によって削られてもいるという二重の関係になっている。

学生の側で測られた項目 今年度調査の結果
オワハラを受けたことがある 八・三%
オワハラを受けた際に相談した 五〇・八%
日程が授業や試験の妨げにならない配慮を感じた 約七割
留学経験者向けの配慮を肯定した 約六割
面接での学業の質問が評価に関係すると感じた 約五割
インターンシップで学業への影響があった 約二割
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オワハラは八・三%、内容は内々定と引き換えの要求が最多

就活終了の強要は「オワハラ」と呼ばれる。同じ調査では、企業等から自分の意思に反して他の企業への就職活動の終了を強要されるような行為を受けたことがあるかを尋ねており、あると答えた学生は八・三%だった。二〇二三年度調査と二〇二四年度調査ではいずれも九・四%で、水準は大きく変わっていない。

受けた内容で最も多かったのは、内々定を出す代わりに他社への就職活動をやめるように強要されたという回答で、約六割を占めた。早めに内々定を受ける旨の返答をしない場合は内々定を取り消すと言われた例もここに含まれる。次に多いのが、内々定の段階で内定承諾書の提出を求められたという回答である。内々定辞退を申し出たところ引き留めのために何度も説明を受けたり拘束されたという回答、内々定後に長時間の研修が組まれて他社の選考を受けられなくなったという回答も挙がっている。

この集計は内々定を一社以上から受けた学生を対象としており、該当した二三八名の回答にもとづく。割合としては一割弱だが、人数で言えば調査に協力した学生のうち二百人を超える規模で起きている。内々定が早い時期に出るようになった分、本命の結果が出る前に拘束される場面が増えやすいという構造も押さえておきたい。

相談先が、想定と実際でずれている

オワハラを受けた学生のうち、誰かに相談したと答えたのは五〇・八%だった。過年度調査と同じ水準である。半数は誰にも相談せずに自分で処理したことになる。

相談先の分布には、注目すべきずれがある。実際に経験した学生が相談したのは「家族・親戚」と「まわりの友達」がそれぞれ約三割で、ここが上位だった。一方で、オワハラを受けていない学生に、もし受けたらどこに相談すると思うかを尋ねると、「大学のキャリアセンター」が約七割で最も高くなる。ところが経験者が実際にキャリアセンターへ相談した割合は約一割にとどまった。

想定では公的な窓口を使うつもりでいるのに、実際に起きると身近な相手に流れる。この差が生まれる理由は調査からは読み取れないが、起きている最中は時間の余裕がなく、相手を選ぶ手間をかけられないという事情は想像できる。対策になるのは、問題が起きる前にキャリアセンターの場所と相談の方法を一度確かめておくことである。内々定の承諾や辞退の連絡は手順が決まっており、文面の型を持っている窓口に当たったほうが早い。選考の全体像と各段階での判断は新卒就活の流れ|自己分析から内定承諾までの7段階と判断の順番に整理した。

インターンシップは経験であり、同時に選考でもある

若者が最初に企業と出会う場は、いまやインターンシップである。調査ではインターンシップと呼称されるものに参加した学生が約七割を占め、そのうち複数回参加したという回答は六三・七%だった。参加したなかで最も長いものが五日以上だった学生の割合は四〇・一%で、前年の三四・六%から増えている。半日や一日を最長とする人は減る傾向にあり、特に五日から十日の層が増えた。

日数が長いほど、得られたものも変わる。参加した効果として「自分の将来設計を考えるのに役立った」「専門分野における知識、スキルや能力が身についた」「日頃の学修への意欲が上がった」といった項目は、半日または一日の参加より五日以上の参加で肯定する割合が高い。同時に、採用選考上の優遇が受けられた、参加した企業から内々定を受けることにつながったという回答も五日以上の側で高くなる。

つまり長いインターンは、学びの機会であると同時に選考の一部として機能している。実質的な選考を含んでいた割合が五八・六%に達していることはインターンの選考|実質的な選考58.6%という前提に、参加に伴う負担の線引きはインターンのデメリット|学業への支障と無給の線引きにまとめている。参加するかどうかではなく、どの企業にどれだけの日数を使うかという配分の問題として考えるほうが実態に合う。

若者の側が持っている材料を使う

負担の数字ばかり並べたが、学生の側に材料がないわけではない。第一に、ここまで挙げた調査はすべて公開されている。企業の採用担当者が読んでいる資料と同じものを学生も読める。面接で学業について聞かれる割合が高いことを知っていれば、研究やゼミの説明を準備する優先度は上がる。

第二に、強要の類型があらかじめ分かっていることは防御になる。内定承諾書の提出を内々定の段階で求められた場合や、他社の選考を受けられない日程を組まれた場合は、調査で把握されている典型例に当てはまる。その場で返答せず、大学の窓口に確認してから返すという対応が取れる。

第三に、企業と出会う経路は選べる。説明会と選考以外に、地域や業界の課題に取り組む活動を通じて企業の人と話す方法がある。学生がコンテストや現場の課題を通して企業と接点を持つFLASPOのような場は、志望動機を後から作る必要がない点で負担が軽い。入った後の定着まで含めた判断材料としては業界研究と若者のキャリア|3年離職率から考える業界選びの重さが参考になる。就活を若者の側から設計し直すとは、時間の配分と相談先をあらかじめ決めておくことに尽きる。

よくある疑問

内々定を出す代わりに他社の選考をやめろと言われたら、従う必要があるのか。従う義務はない。内々定は労働契約の成立前の段階であり、学生が他社の選考を続ける自由は制限されない。調査でこの類型が最も多く報告されていることは、そういう要求が珍しくないという意味でもある。返答を保留し、大学の窓口に相談してから対応するのが安全である。

内定承諾書を出したら辞退できないのか。提出の時点で就労の義務が確定するわけではないが、企業との信頼関係の問題は残る。内々定の段階で承諾書の提出を求められた例が調査で上位に挙がっているのは、提出をもって引き留めようとする運用があるためである。提出を求められた時期と、他社の結果が出る時期を照らして判断したい。

選考と授業が重なったとき、どちらを優先すべきか。企業が配慮していたと感じた学生が約七割いる以上、日程の変更を相談できる余地はある。試験や必修の実験のように振り替えが効かないものは先に伝え、企業側の候補日を複数もらうほうが確実である。欠席が続けば単位の取得に影響し、卒業できなければ内定自体が意味を失う。

インターンは何日のものを選べばよいのか。目的によって変わる。業界の様子を広く見るなら短いものを複数、選考につなげたいなら五日以上のものを絞って選ぶことになる。五日以上の経験者が四〇・一%まで増えているため、長期のものに参加した学生と比べられる場面は増えている。ただし学業への影響があったという回答が約二割ある点は、日数を決める前に見ておきたい。


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