体験の場という説明と、実際の中身が合っていない
選考ではないと案内されたのに、志望動機を詰めて聞かれて戸惑う。この食い違いは珍しいことではなく、調査にも表れている。内閣府の学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果(2025年度調査)によれば、参加したものが採用のための実質的な選考を行う活動を含んでいた割合は58.6パーセントで、昨年度の53.7パーセントから上がり、年々その割合は高まっている。
半数を超えているということは、含んでいないほうが例外に近づいているという意味になる。参加の申込みをする時点で、これは選考であると想定して準備したほうが実態に合う。
ただし、含んでいるかどうかを学生の側が判別できない場合も同じ区分に入っている。調査の選択肢は、含んでいなかった場合と、含んでいるかわからなかった場合をまとめて集計している。つまり残りの41.4パーセントが安全だという読み方はできない。制度上の建て付けはインターンとは何かを押さえてから見るとずれが掴みやすい。
選抜方法は本来開示されている項目である
何をもって選ばれるのかは、要項に書かれているはずの情報である。三省合意の本文は情報開示要件として、プログラムの趣旨、実施時期・期間、場所、募集人数、選抜方法、無給か有給かなどを募集要項等に記載しHP等で公表することを求めている。選抜方法が明示されていない募集は、この要件を満たしていない。
公正さの基準も採用と同じ線が引かれている。厚生労働省の採用日程の設定関係Q&A(労働関係法令等との関係で留意すべき事項)は、性別、年齢、障害の有無による差別が法律で禁止されていることから、参加者の決定に当たっても差別的な取扱いを行うべきではないとし、広く門戸を開いた上で本人の適性と能力に基づいた選考が行われるよう求めている。
具体的に避けるべき質問の範囲も示されている。同資料は、就職差別につながるおそれがある14事項への配慮が募集に当たっても必要だとする。本籍・出生地、住宅状況、家族の職業や収入、宗教、人生観、支持政党、購読新聞や愛読書といった項目がここに含まれる。面接でこれらを問われた場合、答える義務のある情報ではない。
参加中の扱いにも法令の線がある。同じQ&Aは、職場におけるパワハラやセクハラについて、労働施策総合推進法と男女雇用機会均等法が事業主に方針の明確化や相談窓口の整備といった防止措置を義務づけており、参加者も労働者に該当する場合はその対象に含まれるとしている。労働者に該当しない場合は措置義務までは課されないが、それぞれの法律に基づく指針で、防止措置を講ずることが望ましいとされている。選考の場で不適切な扱いを受けたときに、持ち込める先がある前提で臨んでよい。
参加中の評価がいつ採用に回るかは学年で決まる
その場での評価がすぐ採用判断に使われるわけではない。三省合意は、取組で取得した学生情報を広報活動・採用選考活動に使えるかどうかを、実施時期で三つに区切っている。参加した時期によって、同じ評価の扱いが変わるという構造になっている。
| 実施(開始)時期 | 学生情報の基本的な取扱い | あらかじめ趣旨が示された場合 |
|---|---|---|
| 3学年次2月末まで(広報活動開始前) | 広報活動・採用選考活動に使用できない | 広報活動・採用選考活動の趣旨を含むことはできない |
| 3学年次3月〜4学年次5月末(広報活動開始後かつ採用選考活動開始前) | 原則として採用選考活動には使用できない | 学生情報を広報活動に使用できる |
| 4学年次6月以後(採用選考活動開始後) | 採用選考活動の期間に入る | 学生情報を採用選考活動に使用できる |
例外として、学生が自ら提出したエントリーシートや成績表に参加の事実やフィードバックの結果が記載されている場合は、他の成績書類と同様に広報活動・採用選考活動に使用できるとされている。夏の回で受けた評価が選考に効いてくる経路は、多くの場合この自己申告の側にある。体験を書き起こす段取りはガクチカとインターンの整理が使える。
参加後に届くものが選考の実質になる
選考らしい手続きは、参加が終わった後から動き出す。同じ内閣府調査では、参加後に受けたアプローチとして早期選考の案内が73.5パーセント、2025年2月以前に開催された採用説明会・セミナーへの参加が58.0パーセント、同年5月以前に実施された採用試験や面接等が52.3パーセントとなっている。
効果の実感にも日数の差が出ている。採用選考のプロセスが一部省略されるなどの優遇が受けられたと「そう思う」と答えた割合は、半日または1日の参加者で33.9パーセント、5日以上の参加者で50.1パーセントだった。参加した企業から内々定を受けることにつながったは24.4パーセントと39.9パーセントである。
裏を返せば、短い回だけを重ねても接続は細い。日数のある形態に一つ入るか、短い回を入口にして後の工程へつなぐかという設計の問題になる。質問の内容そのものへの備えはインターンの面接対策で扱っている。地域の企業と関わる形から探す場合はFLASPOのような窓口も候補に入る。
面接の場はウェブと対面に割れている
どこで受けるのかも準備に関わる。内閣府調査では、採用面接の参加方法はウェブ等のみが34.6パーセントで昨年度から減り、対面とウェブ等の両方が昨年度の45.3パーセントから47.6パーセントへ増えている。対面のみは17.7パーセントである。
インターンシップ側の参加方法も動いている。対面のみでの参加が43.4パーセント、ウェブ等のみでの参加が51.1パーセント、両方が5.5パーセントで、過年度と比べると対面のみが増え、ウェブ等のみが減る傾向にある。遠方の企業を受けるなら、往復の時間と費用を含めて日程を組む前提になってきている。
もう一つ、知られていない例外がある。関係省庁連絡会議の資料は、専門活用型インターンシップに参加した人材についての採用選考活動開始の例外を従前どおりとしている。これは採用プロセスの複線化と呼ばれ、実施期間2週間以上で半分を超える日数の就業体験があり、卒業・修了年次直前の春休み以降に実施され、社員が指導してフィードバックを行い、求める学修成果水準と採用計画が開示されているものが対象になる。同調査では、この仕組みを知らなかったと答えた学生が62.7パーセントで、よく知っていたとある程度知っていたの合計は18.7パーセントだった。
この例外に対する学生側の評価は定まっていない。同調査で考えを尋ねた結果は、賛成が29.9パーセント、どちらでもないが30.0パーセント、反対が15.4パーセント、よくわからないが24.7パーセントだった。専門性を示せる学生にとっては早く決まる道になり、そうでない学生にとっては日程がさらに前へ動く材料になる。立場によって損得が逆を向くため、評価が割れたまま残っている。
よくある質問
選考なしと書かれていれば落とされないのか。募集人数が決まっていれば、書類による絞り込みは起きる。要項の選抜方法の記載を見て、抽選なのか書類審査なのかを確かめるのが先になる。
落ちた場合、その企業の本選考に影響するか。三省合意の区分では、広報活動開始前に実施された取組で得た学生情報は広報活動・採用選考活動に使用できないとされている。したがって、不参加や不通過がそのまま本選考の判断材料になる建て付けにはなっていない。
家族の職業を聞かれたときはどう答えるか。前述の14事項に該当する項目であり、本人に責任のない事項の把握として配慮が求められている。答えにくい場合は差し支えると伝えてよく、やり取りが続くなら大学のキャリアセンターや都道府県労働局の窓口に記録を添えて相談するほうがよい。
選抜方法が書かれていない募集はどう扱うか。情報開示要件に含まれる項目が抜けているため、問い合わせて確認するのが筋になる。回答が得られない場合は、評価の基準が参加者に示されない運用だということであり、見送る判断の材料になる。
複数社を同時に受けてよいか。参加経験のある学生のうち複数回参加したと答えた割合は63.7パーセントで、1回のみは10.9パーセントだった。同時並行が前提の分布であり、日程の重なりを避ければ問題にならない。
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