1,827万人のうち、テレワークで関わる人は182万人
地方で働きながら都市の仕事を続ける、という絵は語られる頻度のほうが先に増えた。実際の人数はどうなっているのか。国土交通省が令和3年3月17日に公表した地域との関わりについてのアンケートに、関わり方ごとの推計が置かれている。
全国の18歳以上の居住者約1億615万人のうち、日常生活圏や通勤圏の外にある特定の地域へ継続的に通っている人は約1,827万人。三大都市圏の居住者では18.4%の約861万人、その他地域では16.3%の約966万人になる。
この1,827万人は、地域での過ごし方で5つに分けられている。そのうち就労型(テレワーク)は、三大都市圏で約88万人の1.9%、その他地域で約94万人の1.6%。合わせて約182万人で、訪問系の関係人口全体に対して1割弱にあたる。
類型ごとに並べると、テレワークがどの位置にあるかが見える。
| 類型 | 三大都市圏居住者 | その他地域居住者 |
|---|---|---|
| 直接寄与型 | 約301万人(6.4%) | 約327万人(5.5%) |
| 趣味・消費型 | 約233万人(5.0%) | 約267万人(4.5%) |
| 参加・交流型 | 約189万人(4.0%) | 約217万人(3.7%) |
| 就労型(テレワーク) | 約88万人(1.9%) | 約94万人(1.6%) |
| 就労型(現地就労) | 約49万人(1.0%) | 約60万人(1.0%) |
最も多いのは産業の創出やボランティア、まちおこしの企画に加わる直接寄与型である。テレワーク型はその3分の1に届かない。調査は令和2年9月に実施され、有効回答は148,831人。新型コロナの感染拡大直前の状態を聞いているため、在宅勤務が一気に広がる前の姿にあたる。
供給側の数字は、令和7年度に増加へ転じた
では、その後テレワークそのものはどうなったのか。国土交通省が令和8年3月に公表した令和7年度テレワーク人口実態調査が最新の実態を示している。2025年10月24日から11月4日までのWEB調査で、有効サンプルは40,000人。雇用型就業者が36,391人、自営型就業者が3,609人という構成だ。
これまでにテレワークをしたことがある人の割合は、雇用型で25.2%、自営型で30.7%。コロナ禍以降は減り続けていたが、令和7年度に増加へ転じた。資料は「コロナ禍前よりは高い水準にあり、定着傾向」と評している。
雇用型を男女で分けると、男性31.7%、女性17.8%で13.9ポイントの差がある。年齢別では男性の50代が前年度から2.6ポイント上がり、自営型では30代から50代で男女とも増えた。全体の数字が持ち直した中身は、特定の層の押し上げによるものだとわかる。
注意しておきたいのは、この25.2%が「経験があるか」を聞いた割合だということである。今も続けているかどうかは別の問いで、そちらを見ると景色が変わる。
地方で続けている人は9.8%にとどまる
同じ調査は、雇用型就業者が直近1年間にテレワークを実施したかも聞いている。令和7年度の全国平均は16.8%。首都圏では28.1%だが、首都圏・中京圏・近畿圏を除いた地方都市圏では9.8%である。
18.3ポイントの開きは、経験の有無で見たときより大きい。経験ベースでは首都圏37.7%に対して地方都市圏17.2%で、こちらの差は20.5ポイント。どちらの指標でも、地方に住んで働く人の多くはテレワークという働き方を持っていない。
関係人口の話に戻すと、ここが効いてくる。都市から地方へテレワークで関わる約88万人と、地方に住みながら別の地域へ関わる約94万人は、ほぼ同じ規模だった。ところが地方側の母数のうちテレワークを続けている人は10人に1人である。つまり地方在住者がテレワークを使って別の地域と関わる経路は、その細い入口を通っていることになる。
業種の偏りも無視できない。雇用型では情報通信業が74.1%と最も高く、学術研究・専門技術サービス業が54.0%で続く。一方で宿泊業・飲食業は6.0%、医療・福祉は6.4%にとどまる。自営型でも農林水産・鉱業が6.6%と最も低い。地方の雇用がこうした業種に厚いなら、テレワーク率の低さは意欲の問題ではなく産業構成の問題だという読みが成り立つ。業種ごとの差は二地域居住の業種を扱った記事でさらに細かく見ている。
制度がある職場は3分の1、あれば3分の2が使う
実施率が低い理由を、働く人の選択だけに帰すのは早い。勤務先にテレワーク制度等が導入されていると答えた雇用型就業者は34.1%で、前年度から約1ポイント上がった。残りの3分の2には、制度がないか、あるかどうか本人が知らない。
そして制度が導入されている人のうち、テレワークをしたことがある人は64.8%。前年度から1.7ポイント増えている。制度があれば3人に2人は使い、なければほとんど使われない。この非対称が、地域ごとの差を作る土台になっている。
この構造は、地域側が打てる手の順番を示している。移住希望者に働き方を変えてもらうより、企業側の制度を増やすほうが効く。地方拠点のサテライトオフィス整備が制度導入の呼び水になるなら、地域の施設投資にも意味が出てくる。
関係人口から移住へ向かう割合そのものは関係人口のうち移住へ向かうのは2割という記事で扱った。制度の有無という変数を重ねると、どの層に働きかけるべきかが絞れてくる。
移住の理由として挙げる人は8%しかいない
テレワークができれば移住が進む、という筋書きは本人たちの言葉と合っているだろうか。先の国土交通省の調査は、首都圏都市部からその他地域へ関わる関係人口に、移住したいと思う理由も聞いている。
就労型(テレワーク)に分類された人の回答で、「テレワーク/副業の制度が活用可能となったため」を選んだのは8%だった。最も多いのは「自然環境が豊かである」の43%、次が「住環境に魅力を感じる」の34%、「生活費が安くなる」が25%と続く。
テレワークで関わっている人ですら、移住の動機としてテレワークを挙げる人は10人に1人に届かない。制度は移動を可能にする条件であって、移動したい理由そのものではない、と読むのが素直だろう。
この順序を踏まえると、地域が用意すべきものの優先順位が変わる。回線とワークスペースは必要条件だが、それだけでは選ばれない。自然や住環境という既にある資源を、滞在して試せる形にして見せるほうが動機に近い。若者が地域に関わる入口を設計するFLASPOの取り組みも、仕事の条件より先に現地での体験を置いている。仕事の組み立て方の実際は二地域居住の仕事はどう組むかにまとめている。
よくある質問
182万人という数字は今も同じですか。
同じとは言えない。推計のもとになった調査は令和2年9月の実施で、感染拡大直前の状態を聞いている。その後の在宅勤務の普及を考えれば増えた可能性は高いが、同じ定義で測り直した推計は公表されていない。関係人口の類型別の人数として参照できるのは、現時点ではこの調査である。
就労型(テレワーク)と就労型(現地就労)は何が違いますか。
前者は本業として普段行っている業務や、訪問地域の外にある仕事を持ち込んで働く形を指す。後者は地元の企業・事業所での労働や農林漁業への就業、農林漁業者へのサポートなど、その地域の仕事に就く形である。前者は仕事を持ち込み、後者は地域の仕事に入る、という違いだ。
テレワーク人口実態調査の「地方都市圏」はどこを指しますか。
首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)、中京圏(愛知県・岐阜県・三重県)、近畿圏(京都府・大阪府・兵庫県・奈良県)を除いた道県である。都道府県単位で見た数字ではないため、県内の都市部と山間部の差はこの区分では見えない。
自営型のほうが割合が高いのはなぜですか。
定義の違いが影響している。自営型は令和3年度に定義が変更され、普段仕事を行う場所が自宅であるテレワークも対象に含めるようになった。会社という通勤先を前提にしない働き方では、自宅作業がそのまま該当する。このため令和2年度以前との直接比較は難しいと資料も注記している。
地域としては何から着手すべきですか。
数字の並びから言えば、企業の制度に働きかける筋と、訪れる理由を作る筋の二つになる。制度がある人の64.8%が実際に使っている一方、制度のある職場は34.1%にとどまる。ここを動かせば実施率は上がる。同時に、移住理由の上位が自然環境と住環境だったことを踏まえると、滞在して確かめられる機会のほうが人を動かす。回線の速さを売りにするより、来て過ごせる形を整える順序のほうが実態に合っている。
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