2040年に大学進学者は46万人になる|地域連携の枠組みはどう変わるか

募集停止の報せが、連携の話を急がせている

大学の地域プロジェクトに関わっていると、数年のうちに連携先の大学名や事業名が変わる場面に出会う。受け入れ側の自治体が替わったわけではなく、大学の側で学部の改組や学生募集の停止が起きていることが多い。個々の事情のように見えるが、背景にある数字は全国で共通している。

中央教育審議会は令和7年2月21日に我が国の「知の総和」向上の未来像(答申)をまとめた。急速な少子化のもとで高等教育の規模をどう適正化するかが主題で、地域との連携も、その規模の話と切り離さずに扱われている。手交の経過は文部科学省の発表に残っている。

答申が最初に置いた見通しは厳しい。2040年度ごろの大学・短期大学への進学者数の減少は年間2万3355人と推計され、2023年度の入学定員の中央値が270人であることから、中間的な規模の大学が1年に90校程度ずつ消えていくのに相当する速さだと書かれている。地域プロジェクトの担い手が、これから入れ替わり続ける前提で設計されているということになる。

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18歳人口と進学者数を並べてみる

規模の話は、二つの線を並べると見通しやすい。進学する年齢の人口と、実際に大学へ進んだ人数である。答申はこの二つを長い期間で示している。

年 18歳人口 大学進学者数
昭和41年(1966年) 約249万人(ピーク) 約29万人
平成4年(1992年) 約205万人 ー
令和6年(2024年) 約106万人 約63万人
2040年(推計) 約74万人 約46万人
2050年までの10年間 ー 45万人前後
出典:中央教育審議会「我が国の「知の総和」向上の未来像(答申)」(令和7年2月21日)。18歳人口の推計は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」の出生低位・死亡低位にもとづく。

18歳人口は1966年のピークから2024年までに半減し、2040年には現在の約67パーセントになる見込みだ。一方で進学率が上がり続けたため、大学進学者数は同じ期間に約29万人から約63万人へ倍増した。この増加分が効かなくなるのが2040年で、進学者数は約17万人減の約46万人、いまの定員規模のおよそ73パーセントにあたる。

注意したいのは、推計そのものが下方に動いてきた点である。2018年のグランドデザイン答申は2040年の進学者数を約51万人と見ていた。今回の試算は、平成30年度から令和3年度までの都道府県別・男女別の進学率の伸びを機械的に当てて46万人を出している。5万人の差は、1学年あたりで見れば中規模大学180校分に近い幅になる。

いま動いている枠組みは、数で言えばこれだけ

では、大学と地域をつなぐ器はどれだけ用意されているのか。答申は二つの数字を挙げている。一つは地域連携プラットフォームで、全国に少なくとも273件あることが確認されている。文部科学省が令和6年6月にまとめた「地方公共団体と高等教育機関の連携の状況に関するアンケート結果」が出所である。

もう一つは大学等連携推進法人で、令和6年10月時点で8法人、26大学と2団体が認定されている。こちらは複数の大学が科目を共同で開設できる仕組みで、件数の桁が一つ小さい。273という数は多いように見えるが、連携開設科目の設置まで進んだ例はその一部にとどまる、という読み方になる。

受け入れる自治体の側の体制も調べられている。域内の高等教育機関との連携を担当する部署は9割以上の団体が設置しているが、その部署の業務量に占める連携業務の割合は平均で4割弱、最も多い回答は2割程度だった。連携を主たる業務とする部署がある例は全国的に限られる。連携を強化する必要があると答えたのは自治体で9割前後、高等教育機関で7割。必要性の認識は揃っているのに、課題として双方が挙げたのは専門人材とコーディネーターの不足だった。なお調査の回答率は、都道府県と指定都市で83.6パーセント、大学・短期大学・高等専門学校・専門課程で41.9パーセントである。

答申が置こうとしている二つの新しい器

既存の枠組みでは足りない、という判断から、答申は新しい協議体を二段で提案している。一段目が地域構想推進プラットフォーム(仮称)で、地域内の高等教育機関、地方公共団体、産業界、金融機関が継続して議論する場として国と連携して構築するとされる。原則として地域のすべての高等教育機関を含むことが望ましいと書かれており、一部の大学だけが参加する従来の形から広げる意図が読める。

二段目は地域研究教育連携推進機構(仮称)で、大学等連携推進法人の制度を発展させたものと位置づけられている。科目の共同開設にとどまらず、研究と教育の実務を束ねる受け皿にしようという構想だ。協議体で議論が進んだ地域が、この機構の取組へ移っていく流れも想定されている。

制度の側に効きそうな記述が一つある。設置認可審査や財政支援に当たって、この協議体での議論の内容を考慮することも必要だ、という一文である。参加しているかどうかが申請や補助の判断材料になりうるなら、いまプラットフォームに名前だけ連ねている大学も動かざるを得ない。あわせて、地域ごとの人口予測や産業分野別の人材需要を国が詳しく集めて提供することも求められている。

学生が関わる側から見て何が変わるか

ここまでは制度の話だが、学生の立場に引き寄せると三つの変化が予想できる。一つめは、科目の形で地域に関わる入口が増えること。大学等連携推進法人の仕組みでは、他大学が開いた科目を自分の大学の単位として履修できる。県内の全大学が参加する協議体が立ち上がれば、地域をテーマにした科目が共同で置かれる余地が生まれる。

二つめは、窓口が大学の外に移ること。いまは研究室や特定の教員が自治体とつながっている形が多く、担当者が替わると接点が消える。協議体が常設になれば、学生が入る先は個人ではなく場になる。現状の探し方は学生が地域プロジェクトを始める順番|8,587の受け皿から探すに整理してあり、研究として扱う場合は卒論で地域を扱うには|大学の地域プロジェクトを研究テーマにする手順が近い。

三つめは、関わった経験の説明の仕方が変わること。答申はコーディネーターとなる人材を高等教育の関係者に限らず、さまざまな業界に裾野を広げて求めることが重要だと述べ、協議体の進み方に応じて配置と育成を戦略的に進める必要があるとしている。地域の事業を回した経験が職種として言語化されていく方向なので、就職活動での扱いも変わりうる。その見立ては大学の地域事業は就活でどう効くか|SPARCと交付金の骨組みにまとめた。地域と学生の接点を広く見たいときはFLASPOも参照できる。

よくある質問

地域連携プラットフォームに学生は参加できるのか。構成員として想定されているのは高等教育機関、自治体、産業界、金融機関で、学生の参加は制度上の要件になっていない。ただし会議の公開資料は自治体のサイトに載ることが多く、どの大学がどの課題を担当しているかはそこから読める。

2040年の46万人という数字は確定したものか。確定ではなく、過去4年間の都道府県別・男女別の進学率の伸びを機械的に当てた試算である。答申自身が条件を置いた試算だと書いており、進学率がさらに上がれば結果は変わる。ただし18歳人口の推計のほうは出生の実績に強く縛られるため、幅は小さい。

大学が募集を停止したら、進めていたプロジェクトはどうなるのか。答申は、機関の存続より先に、その地域での学びの機会が確保されているかが重要だという立場を取っている。撤退や統合の支援を国が担う方向と、地域の協議体で受け皿を話し合う方向が同時に示されており、個別の事業の引き継ぎ先は協議体の側に寄っていくと読める。

東京の大学に進むと地域の事業には関われないのか。地方大学・産業創生法にもとづいて東京23区内の大学学部の収容定員は平成30年10月から令和10年3月まで原則として増やせない。定員の側は抑えられているが、関わり方の制約ではない。地方大学・地域産業創生交付金による産学官連携の事業は各地で動いており、他大学の学生が入る枠を持つものもある。

いつから変わり始めるのか。協議体の構築は着実に段階を踏んで進めることが前提とされ、期限は示されていない。手がかりになるのは自治体側の体制整備で、連携の窓口を明確にする動きが先に出る。志望する地域の自治体サイトで、高等教育との連携を担当する部署名が変わったかどうかを見ておくと早い。


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