家族関係と一人暮らし|単独世帯44.3%へ向かう30年と頼れる相手

家族関係と一人暮らし|単独世帯44.3%へ向かう30年と頼れる相手

世帯のかたちで一番多いのは、すでに一人暮らしである

ひとり暮らしは人生の一時期だけの状態、という感覚は、世帯の統計とはもう噛み合わない。総務省の国勢調査によると、2020年の一般世帯5,570万世帯のうち単独世帯は2,115万世帯で、全体の38.0%を占めた。「夫婦と子から成る世帯」の1,401万世帯(25.2%)を大きく上回り、家族類型のなかで最も多い。1980年の単独世帯は710万世帯・19.8%だったので、40年で割合はほぼ倍になった。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)令和6年推計」は、この向きが2050年まで変わらないと見通している。単独世帯は2036年に2,453万世帯でピークを迎え、2050年には2,330万世帯になる。一般世帯の総数が2030年の5,773万世帯から減り始めるため、分母が縮むぶん単独世帯の割合は44.3%まで上がる。平均世帯人員が初めて2人を割るのは2033年で、1.99人と推計されている。

年次 単独 夫婦のみ 夫婦と子 ひとり親と子 その他
1980年 19.8% 12.5% 42.1% 5.7% 19.9%
2000年 27.6% 18.9% 31.9% 7.6% 14.1%
2020年 38.0% 20.1% 25.2% 9.0% 7.7%
2050年(推計) 44.3% 18.9% 21.5% 9.2% 6.1%

この表を縦に見ると、割合を伸ばしているのは単独世帯と「ひとり親と子」だけで、残りはすべて縮む。なかでも落ち方が急なのは「その他の一般世帯」で、1995年には内訳の75.3%が三世代同居だったものが2020年には54.6%まで下がった。三世代世帯そのものの数は524万世帯から234万世帯へと55.4%減っている。祖父母と親と子が同じ屋根の下にいる形は、もう標準の家族像ではない。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

親元を出た時点で、家計はまだ独立していない

住所が分かれることと、お金が分かれることは、同じ時期に起きるとは限らない。同研究所の「2022年 生活と支え合いに関する調査」は、15歳の頃・初めて就いた職のとき・親と離れて暮らし始めたとき・現在という4つの時点について、そのときの生活費用を誰が担っていたかを尋ねている。複数回答で、12,628人が親との最初の別居について答えた。

その結果は、「自分」60.2%、「配偶者」26.3%、「父親」23.2%、「母親」10.6%だった。15歳時点で「自分」と答えた人は7.1%しかいないので、別居という出来事が家計の担い手を大きく入れ替えていることは確かである。それでも、親元を離れた時点で父親か母親が生活費の一部を出していたと答える人は3割を超える。家を出ることは、仕送りや学費の送金が終わる合図ではない。

始める年齢によって景色は変わる。20〜24歳で初めて親と別居した人のうち、生活費用の担い手を「自分」と答えたのは男性56.6%に対し女性38.0%で、差が大きい。これが25〜29歳になると男性67.5%、女性61.9%まで接近する。20代前半の一人暮らしは、親の支えを前提に組まれている場合が多い。実際の送金額については大学生の一人暮らしと仕送りで扱った平均7万4千円という水準が目安になる。

未婚の若い世代は、7割が親と同じ家にいる

単独世帯が増えていると聞くと、若い人がどんどん家を出ている図を想像しやすい。ところが同研究所が2026年9月に公表した「第17回出生動向基本調査」では、18〜34歳の未婚者のうち両親または父母のいずれかと同居している割合は男性66.6%、女性68.3%だった。男性は前回調査から横ばいで、女性は2015年以降下がり続けている。女性のほうが同居割合は高いが、男女の差は縮んできた。

同居するかどうかを分けているのは年齢より働き方である。同じ調査を従業上の地位別に見ると、正規の職員と派遣・嘱託等では男女とも同居割合が下がった。一方でパート・アルバイトや自営業主等、学生、無職・家事では、小幅な上下はあるものの同居割合の高さが続いている。家賃と光熱費を自分の収入でまかなえるかどうかが、そのまま住まいの選択に出ている。

背景として、学校を出た時点で正規の職員だった未婚者の割合は、25〜34歳で男性64.3%、女性68.1%まで上がっている。2010年の調査では男性57.2%、女性56.2%だったので、とくに女性の伸びが大きい。この層が増えるぶん、若い単身世帯も増える余地がある。20代の人口移動とあわせた見通しは若者の一人暮らしと単独世帯で整理した。

頼れる相手の重心が、家族の外へずれる

一人で住むと家族との関係が切れるのか、という問いは、支え合いの調査で部分的に答えが出ている。先の2022年調査は9種類の事柄ごとに頼れる人の有無を尋ねており、そのうち「愚痴を聞いてくれること」を世帯タイプ別に見ると、単独世帯の男性で頼れる人が「いない」と答えた割合は高齢24.9%、非高齢22.3%だった。「そのことでは人に頼らない」も高齢12.0%、非高齢11.1%と高い。

同じ項目で、単独の高齢女性は「いない」が5.4%にとどまる。一人暮らしという条件が同じでも、男女で結果はまったく違う。頼れる相手の内訳はどの世帯タイプでも「家族・親族」が最も多いが、単独の非高齢世帯だけは例外で、「友人・知人」を挙げる割合が家族・親族を上回る。若い一人暮らしでは、話を聞いてもらう相手の重心が家族の外へ移っている。

近所との関係も効いている。「日頃のちょっとしたことの手助け」で頼れる人がいると答えた人のうち、近所の人を挙げたのは単独高齢女性で26.0%、単独高齢男性で19.1%だった。この種類では全体でも近所の人を挙げる割合が1割を超える。家族・親族の次に来るのが「友人・知人」で32.2%という並びになる。家族関係が薄いこと自体より、代わりの経路を持っているかどうかが生活の手触りを決めている。孤独感そのものの数字は人間関係と家族で詳しく見た。

30年後の一人暮らしには、別居の子がいない

いまの高齢単身者は、結婚と出生が多かった時期を通ってきた世代である。ひとり暮らしでも別居の子がいる割合が高く、本人のきょうだいも多い。将来推計はこの前提が崩れると述べている。65歳以上の単独世帯に占める未婚者の割合は、2020年の男性33.7%・女性11.9%から、2050年には男性59.7%・女性30.2%になる。実数では男性が86万世帯から269万世帯へ、女性が57万世帯から191万世帯へ増える。

65歳以上の人口に対するひとり暮らしの比率でも動きは同じ向きで、2020年の男性16.4%・女性23.6%が2050年には男性26.1%・女性29.3%になる。85歳以上に限ると2050年に男性22.4%、女性32.2%がひとりで住んでいる。看取りや生活支援が必要になる年齢層で、近い親族がまったくいない世帯が増えるという見立てである。

日々の接触頻度にも兆しが出ている。2022年調査で毎日誰かと会話する人は全体の85.1%で、前回調査の91.2%から下がった。単独の高齢男性では会話が2週間に1回以下という人が15.0%を占める。単独の高齢女性は2週間に1回以下が5.1%と低いままだが、毎日会話する割合は61.1%から49.6%へ落ちた。地域や住まいの選び方を早い段階から考える意味はここにある。地方での暮らしや仕事の組み立てはFLASPOでも相談を受けている領域である。

よくある質問

一人暮らしを始めると家族との関係は薄くなるのか。統計で言えるのは、頼れる相手の構成が変わるということである。単独の非高齢世帯では愚痴を聞いてもらう相手として友人・知人が家族・親族を上回る一方、重要な事柄の相談では全体として家族・親族が首位を保つ。関係が消えるのではなく、場面ごとの役割が分かれていく。

一人暮らしの費用は結局誰が出しているのか。親と初めて別居した時点では「自分」が60.2%、「父親」が23.2%、「母親」が10.6%という複数回答の結果だった。20〜24歳の女性では「自分」が38.0%にとどまる。学費と生活費を分けて考えると、奨学金の利用状況も関わってくる。制度の規模は奨学金と若者で確認できる。

高齢の一人暮らしで最初に詰まるのは何か。調査の並びでは、介護や看病で頼れる人がいないと答える割合が他のサポート種類より高い。日常の小さな手助けは近所の人で補える場合があるが、病気のときの世話は代わりが見つかりにくい。単独高齢世帯が2020年の738万世帯から2050年に1,084万世帯へ1.47倍になる見通しのもとでは、ここが制度側の課題として残る。

三世代同居に戻る流れはあるのか。推計では「その他の一般世帯」は2020年の430万世帯から2050年に320万世帯まで減る。1995年から2020年にかけて三世代世帯が55.4%減った勢いよりは緩やかになるが、向きは変わらない。同居に代わる形として、同じ市区町村内で別居する近居が現実的な選択肢になっている。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。