いちばん多い世帯の形が、ひとり暮らしになった
家族との関係に悩むとき、前提にしている家族像が40年前のものになっていることがある。厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」によると、2025年6月5日現在の全国の世帯総数は5,505万8千世帯で、世帯構造で最も多いのは「単独世帯」の1,947万7千世帯だった。全世帯の35.4%にあたる。
続くのが「夫婦のみの世帯」1,362万6千世帯(24.7%)、「夫婦と未婚の子のみの世帯」1,340万6千世帯(24.3%)である。1986年には「夫婦と未婚の子のみ」が41.4%で首位、「単独世帯」は18.2%にすぎなかった。1世帯あたりの平均人員も3.22人から2.17人へ下がっている。
世帯類型で見ると、65歳以上の者のみで構成するか、それに18歳未満の者が加わった「高齢者世帯」が1,754万6千世帯で、全世帯の31.9%を占める。ひとり親と未婚の子のみの世帯は6.7%で、1986年の5.1%から微増している。家族の構成は分散する方向に動いていて、標準的な形と呼べるものが消えた。
最も縮んだのは三世代世帯で、1986年の15.3%から2025年の3.1%になった。祖父母と親と子が同じ屋根の下にいる形は、20世帯に1つを下回る。家族の人数が減れば、関係の数も減る。衝突も減るが、頼れる先も同時に減るという両面がある。
高齢の親と子が同居する確率は、半分になった
変化がはっきり出るのは高齢の世代である。同じ調査で65歳以上の者は4,024万5千人、その家族形態を見ると「夫婦のみの世帯」が1,638万7千人(40.7%)で最も多く、「子と同居」が1,296万6千人(32.2%)、「単独世帯」が933万5千人(23.2%)となっている。
1986年には「子と同居」が64.3%だった。4割近く減って3分の1になった計算になる。内訳を見ると減ったのは子の夫婦と同居する形で、46.7%から6.3%まで落ちた。代わりに配偶者のいない子との同居が17.6%から25.9%へ増えており、同居の中身そのものが入れ替わっている。
| 65歳以上の者の家族形態 | 1986年 | 2004年 | 2016年 | 2025年 |
|---|---|---|---|---|
| 単独世帯 | 10.1% | 14.7% | 18.6% | 23.2% |
| 夫婦のみの世帯 | 22.0% | 36.0% | 38.9% | 40.7% |
| 子と同居 | 64.3% | 45.5% | 38.4% | 32.2% |
| (うち)子夫婦と同居 | 46.7% | 23.6% | 11.4% | 6.3% |
| (うち)配偶者のいない子と同居 | 17.6% | 21.9% | 27.0% | 25.9% |
高齢者世帯の内側でも、単独世帯が53.2%で夫婦のみの43.1%を上回る。その単独世帯の性別構成は男37.6%、女62.4%である。ひとり暮らしの高齢者という像は、実際には女性のほうに寄っている。
誰と住んでいるかで、孤独感の出方が変わる
では家族と暮らしているかどうかは、気持ちの側にどう効くのか。内閣府の「人々のつながりに関する基礎調査(令和7年)」で、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人の割合を属性別に見られる。全体は4.5%である。
同居人の有無で割ると、いる人が3.4%、いない人が9.8%で、約3倍の差がつく。配偶者の有無ではもっと動く。有配偶が2.4%と最も低く、死別が3.9%、未婚が9.0%、離別が9.1%だった。死別と離別のあいだに5.2ポイントの差があるのは、関係が終わった事情まで数字に出ているということである。
性別で見ると孤独感が「しばしばある・常にある」のは男性5.3%、女性3.7%である。ひとり暮らしの高齢者は女性に多いのに、孤独感を強く答えるのは男性のほうが多い。暮らしの形と気持ちの出方が一致しないので、同居か別居かだけで判断すると読み違える。
ただし同居そのものが効いているとは限らない。同じ調査で、頼れる人が「いない」人は25.1%、「いる」人は2.7%である。相談相手の有無では23.4%と2.5%、気軽に話せる相手の有無では25.0%と2.5%だった。家族がいるかどうかの差が3倍なのに対し、頼れる相手がいるかどうかの差は9倍を超える。同じ家にいることと頼れることは、別に数えたほうが実態に合う。相談先の偏りは人間関係の悩み解消法で詳しく見ている。
家族が近いほど安全とは言えない
同居を勧める話にしないために、反対側の統計も置いておきたい。厚生労働省が高齢者虐待防止法に基づいて毎年度まとめている「令和6年度の対応状況等に関する調査結果」では、養護者による高齢者虐待の相談・通報件数が41,814件で、前年度から1,428件増えて過去最多となった。増加は12年連続である。虐待と判断された件数は17,133件で横ばいだった。
ここで養護者とは、高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等を指す。主な虐待者の続柄は息子が38.9%、夫が23.0%、娘が19.3%だった。虐待の種別では身体的虐待が64.1%、心理的虐待が37.2%、介護等放棄が19.7%、経済的虐待が16.4%を占める。死亡に至った事例も26件あった。
注目したいのは発生要因である。被虐待者の認知症の症状が58.1%で最も多く、虐待者側の介護疲れ・介護ストレスが57.2%、虐待者側の理解力の不足や低下が49.6%と続く。性格の悪さではなく、介護の負荷が一人に集まる配置のほうが先に挙がっている。関係が壊れる条件は家の外からも作られるという読み方は人間関係の悩みとはにも通じる。
家族だけに頼る設計をやめておく
ここまでの数字を並べると、方向が一つ見えてくる。世帯は小さくなり、三世代は3.1%まで減った。それでも介護や相談の受け皿としては家族が期待され続けているので、残った少数の人に負荷が集まる。介護疲れが57.2%で挙がるのはその帰結である。
打てる手は、関係の本数を増やしておくことに尽きる。孤独感の差が同居人の有無で3倍、頼れる相手の有無で9倍以上という並びは、同居を増やすより相談先を1本足すほうが効率が良いことを示している。家族以外に1人でも話せる相手がいれば、家庭内の一つの関係に全部を背負わせなくて済む。
その1本は、血縁や職場とは別の軸で作るほうが長持ちする。役割や上下の関係が持ち込まれないぶん、言いにくいことを言える余地が残るからである。地域の活動でも趣味の集まりでもよく、FLASPOのように関心でつながる場もそこに入る。若い世代での同じ構図は人間関係と若者で確かめられる。
よくある質問
いまいちばん多い世帯の形は何ですか。2025年の国民生活基礎調査では単独世帯が35.4%で最多です。1986年には18.2%で、夫婦と未婚の子のみの世帯が41.4%を占めていました。順位が入れ替わっています。
親と同居する人は減っているのですか。65歳以上の者のうち子と同居しているのは32.2%で、1986年の64.3%から半分になりました。とくに子の夫婦と同居する形が46.7%から6.3%へ減っています。
家族と住めば孤独感は減りますか。同居人がいる人で孤独感が「しばしばある・常にある」のは3.4%、いない人は9.8%です。ただし頼れる人がいない人では25.1%に跳ね上がるので、同居より関係の中身のほうが数字を動かしています。
離婚した人のほうが孤独なのでしょうか。離別が9.1%、死別が3.9%、有配偶が2.4%、未婚が9.0%です。離別と未婚が並んで高く、死別はそれより低いという順番になっています。
高齢の親に強く当たってしまうのは自分のせいですか。令和6年度の調査で挙がった発生要因は、被虐待者の認知症の症状58.1%、介護疲れ・介護ストレス57.2%、理解力の不足や低下49.6%です。負荷の配分の問題として扱われています。
家族と距離を取るのは悪いことですか。統計から言えるのは、関係の本数が多いほど孤独感が低く出るということだけです。一つの関係を薄くする代わりに別の接点を増やすなら、合計としては減らない設計になります。
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