人間関係の悩み解消法|相談先が家族と友人に偏る前提から

人間関係の悩み解消法|相談先が家族と友人に偏る前提から

効くと分かっているのに、言わないまま止まる

人間関係の悩みをどうにかしたいと思ったとき、やることは大きく二つに分かれる。相手との距離を変えるか、自分の外に相談を持ち出すかである。後者については、効果の実感が統計に残っている。

内閣府の「令和7年 人々のつながりに関する基礎調査」では、不安や悩みを相談することについて「相談することで解決しなくとも気持ちが楽になる」と答えた人が68.9%、「相談することで解決できる、または解決の手掛かりが得られる」が55.3%だった。否定的な受け取りは少数で、「相談しても無駄である」10.0%、「相談すると相手の負担になる」10.1%、「相談することが面倒である」8.2%、「相談することが恥ずかしい」5.4%にとどまる。

相談相手がいるかという問いには90.2%が「いる」と答え、「いない」は9.2%だった。つまり多くの人は、相手も持っていて、効くとも思っている。それでも悩みが残るのは、持ち出す先の種類が狭いからである。

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相談先は家族と友人の二択に寄っている

同じ調査で、相談相手がいると答えた1万708人に誰に相談するかを尋ねた結果が次の表である。複数回答なので合計は100%を超える。

相談する相手 割合
家族・親族 92.9%
友人・知人 58.9%
仕事・学校関係者 18.2%
病院・診療所の医師 14.9%
自治会・町内会・近所の人 5.3%
行政機関(国や自治体) 3.5%
社会福祉協議会 1.7%
NPO等の民間団体 1.0%

困った時に頼れる人がいるという回答は91.6%で、頼る先も家族・親族95.3%、友人・知人54.2%が中心だった。職場や学校の関係者が20.6%、病院の医師が17.4%と続く。ここで問題になるのは、悩みの相手が家族や職場の人である場合だ。相談先の上位二つが、そのまま当事者になってしまう。

だから解消法の最初の一手は、相手を増やすことよりも「悩みの当事者と重ならない相談先を一つ確保する」ことになる。関係を作るところから始める手順は友人関係の作り方で扱っている。

職場の窓口は、あるのに使われていない

働く場面に絞ると、用意されている経路と実際に使われた経路の差がはっきり出る。厚生労働省の「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、ストレスを相談できる人がいる労働者は94.8%に達する。相談できる相手は「家族・友人」74.8%、「上司」63.8%、「同僚」62.5%が並び、「人事労務担当者」は10.7%、「産業医」は7.1%、「公認心理師等の心理職」は1.1%だった。

実際に相談したことがある人は、相談できる人がいる労働者のうち71.2%である。前年の74.7%から3.5ポイント下がっており、相手がいても使っていない層が3割ほどいる。専門職まで届く例はさらに少ない。

ハラスメントの局面になると数字はもっと落ちる。「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」では、パワーハラスメントを受けた後の行動として最も多いのが「何もしなかった」36.9%で、「家族や社外の友人に相談した」19.3%、「社内の同僚に相談した」18.3%、「社内の上司に相談した」17.9%が続く。「社内の相談窓口に相談した」は4.5%、「公的な機関(労働基準監督署や都道府県労働局など)に相談した」は3.1%だった。会社の仕組みを通る前に、私的な関係だけで処理されている。

経路の細さは年齢にも出る。相談できる人がいると答えた割合は20歳未満で72.6%、60歳以上で88.1%と、全体の94.8%より低い。20歳未満では「相談できる人はいない」が26.8%に上る。相手の選び方にも差があり、女性は家族・友人79.1%の次に同僚68.6%、男性は家族・友人71.0%の次に上司66.6%を挙げていた。職場の誰に話が向かうかで、その後の扱われ方も変わる。

公的な支援は「知らない」で止まっている

行政やNPOの支援は、使われていないというより知られていない。内閣府調査で不安や悩みがあると答えた8,399人のうち、行政機関やNPO等から支援を受けていると答えたのは6.8%で、87.0%が受けていないと答えた。

受けていない7,305人に理由を聞くと、「支援が必要ではないため」63.1%が最も多い一方、「どのような支援があるのか知らないため」27.7%、「支援の受け方がわからないため」17.4%、「支援を受けるための手続が面倒であるため」9.7%が挙がった。必要かどうかの前に、存在と入口が見えていない人が四分の一を超えている。

実際に受けている568人の内容を見ると、「相談支援(助言や情報をもらう)」が54.2%で最も多い。支援元は行政機関52.1%、社会福祉協議会24.6%、NPO等の民間団体9.3%だった。つまり入口は自治体の相談窓口と社会福祉協議会に集まっている。市区町村の福祉相談窓口、都道府県の労働局、学校なら教育支援センターと、場面ごとに対応する機関が決まっているので、悩みの場面から逆に引くと探しやすい。

相手の負担を気にして言わない人には、聞く側の数字も参考になる。まわりに悩んでいる人がいたら積極的に声掛けや手助けをしようと思うと答えた人は48.4%、「わからない」が39.6%、「しようと思わない」が10.7%だった。後者の理由は「不安や悩みの内容によると思う」48.1%、「自分が何をすればよいかわからない」42.5%、「どのように接したらよいかわからない」27.6%が上位で、関わりたくないという理由ではない。何をしてほしいかを先に言えば、受け手の迷いは減る。

距離を変えるときは、関わりの本数で考える

相手との距離を変える側の手も、数字から組める。内閣府調査では、人と交流する活動に「特に参加はしていない」と答えた人が53.3%を占めた。参加している活動はスポーツ・趣味・娯楽・教養などが30.5%、PTA・自治会・町内会などが16.9%である。半数以上が、家庭と職場や学校だけで関わりを完結させている。

その状態だと、一つの関係が詰まったときに逃げ場がない。週に1回以上外出している1万826人に目的を聞くと、「人とのつきあい・交流」を挙げたのは24.6%で、「食事・買い物・日常の用事」69.4%や「仕事・学校」57.7%より大幅に低い。誰かと食事をするのが「ほとんど毎日」という人は64.0%いるが、「ほとんどない」も8.2%いた。

子どもの場合は、外部の場が制度として用意されている。文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、不登校の小・中学生のうち61.7%が学校内外の機関等で専門的な相談・指導を受けていた。学校外では教育支援センターが3万2,240人、民間団体・民間施設が1万8,566人を受け入れている。学級以外の居場所を足すという考え方は、大人の側にも応用が利く。頼り先を広げる手順は友人関係の悩みで詳しく触れている。

よくある質問

まず誰に相談すればよいですか。悩みの相手と重ならない人を選ぶのが原則である。相談先の上位は家族・親族92.9%と友人・知人58.9%だが、家庭内の悩みならこの二つは外して、医師や自治体の窓口を先に当てたい。

職場の相談窓口は使って大丈夫ですか。使った人は4.5%と少ないが、ハラスメントの予防・解決に取り組んでいる職場では被害経験率が低く出ていた。窓口があること自体が取組の指標になるので、まず経路として試す価値はある。

相談しても解決しない気がします。「相談することで解決しなくとも気持ちが楽になる」と答えた人は68.9%で、「相談しても無駄である」の10.0%を大きく上回る。解決と負担の軽減は別に数えたほうが実態に近い。

公的な窓口はどこから探せばよいですか。支援を実際に受けている人の支援元は行政機関52.1%、社会福祉協議会24.6%だった。住んでいる市区町村の福祉相談窓口から入るのが最短である。

相手との距離を取ること自体は逃げではありませんか。人と交流する活動に参加していない人が53.3%を占める状況では、関係の本数を増やすほうが距離を取る余地を作る。FLASPOのように関心でつながる場は、既存の関係を切らずに足せる選択肢になる。


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