関係人口とは?総務省・国交省の定義の違いと5つの分類、ふるさと住民登録制度まで

関係人口の定義とは?総務省・国交省の公式見解と5つの分類を徹底解説

「関係人口」は、地方創生の資料や自治体の総合戦略で必ずと言っていいほど出てくる言葉です。ただ、総務省・国土交通省・内閣府がそれぞれ少しずつ違う言い方で定義していて、どこまでを関係人口と呼ぶのかは意外と知られていません。

この記事では、3つの府省の公式の定義を原文のまま並べて比べ、国土交通省の推計(全国に約2,263万人)、訪問系・非訪問系の分類、交流人口・定住人口との違い、自治体の取り組み状況、そして2026年度中に始まる「ふるさと住民登録制度」で何が変わるのかを、すべて公表資料の出典つきでまとめます。

関係人口の定義|総務省・国交省・内閣府の公式見解を比較

いちばんよく引用されるのは総務省の定義です。総務省は「関係人口・ふるさと住民」のページで、関係人口を「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々」としています。

国土交通省は、実態調査(2025年6月27日公表)で「移住や観光でもなく、単なる帰省でもない、日常生活圏や通勤圏以外の特定の地域と継続的かつ多様な関わりを持つ人」と定めています。内閣府の地域未来戦略本部事務局は関係人口のページで「特定の地域に継続的に多様な形で関わる人」としています。

府省 定義(原文) 言い方の特徴 主な取り組み
総務省 移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々 定住・交流との対比で示す。「人々」との関わりも含む 関係人口創出・拡大事業(2018〜2020年度)、ふるさと住民登録制度
国土交通省 移住や観光でもなく、単なる帰省でもない、日常生活圏や通勤圏以外の特定の地域と継続的かつ多様な関わりを持つ人 帰省を除き、生活圏・通勤圏の外に限る。「継続的」を明記 全国の関係人口の推計(実態調査)、二地域居住の推進
内閣府(地域未来戦略本部事務局) 移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、特定の地域に継続的に多様な形で関わる人 「特定の地域」「継続的」を明記 自治体の取り組み状況調査、官民連携プラットフォーム、中間支援組織のモデル事業

3つとも「定住でも観光でもない」という骨格は同じです。違いは範囲の切り方で、国土交通省の定義は帰省を外し、日常生活圏や通勤圏の外に限っているぶん、数を数えるための定義になっています。自治体の計画で使うときは、どの府省の定義に沿っているかを一言添えておくと、後で成果を測るときに迷いません。

なお、関係人口という言葉は2016〜2017年ごろに民間の書籍や雑誌から広まり、高橋博之氏・指出一正氏・田中輝美氏らの著作がルーツとされています。総務省が2018年度に「『関係人口』創出事業」を始めてから、国の政策用語として定着しました。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

関係人口は何人いる?国土交通省の推計は約2,263万人

国土交通省が全国の18歳以上・約12万人に行ったアンケート(2023年9〜10月実施、2025年6月公表)では、18歳以上の約22%、約2,263万人が関係人口と推計されました。内訳は、実際に地域を訪れている「訪問系」が約18%(約1,884万人)、訪れずに関わる「非訪問系」が約4%(約379万人)です。

項目 結果
関係人口(全体) 約2,263万人(18歳以上の約22%)
訪問系 約1,884万人(約18%)
非訪問系 約379万人(約4%)
年間の訪問日数 2〜7日が約49%、8日以上が約31%、1日以下が約20%
関わるための改善点(上位) 時間の余裕の確保 27.4%、移動・滞在の金銭的負担の軽減 26.7%、交通の利便性 26.4%

改善点の上位に「お金」と「移動」が並んでいるのは、若者向けの施策を考えるうえで大事なポイントです。学生にとっては、交通費や宿泊費の負担が地域に通い続けるときのいちばんの壁になります。

関係人口の5つの分類とは?訪問系と非訪問系の違い

国土交通省は、関係人口をまず「訪問系」と「非訪問系」に分け、訪問系をさらに関わり方で分類しています。2023年度調査では、訪問系の中で「趣味・消費型」が最も多く、次いで「参加・交流型」「直接寄与型」の順でした(複数回答)。

分類 どんな人か 例
趣味・消費型(訪問系) その地域が好きで、何度も訪れて飲食や買い物を楽しむ お気に入りの町に毎年通う
参加・交流型(訪問系) 地域のイベントや体験、交流の場に参加する 祭りの手伝い、農業体験
直接寄与型(訪問系) 産業の創出、ボランティア、まちおこしの企画などに参画する 地域プロジェクトの企画・運営
就労型・現地就労(訪問系) 副業や兼業などで、その地域に行って働く 週末だけ地方の企業で働く
就労型・テレワーク(訪問系) 地域に滞在しながら、ふだんの仕事をリモートで行う ワーケーション
非訪問系 地域を訪れずに継続的に関わる ふるさと納税、クラウドファンディング、地場産品の購入、情報発信、オンライン交流

「関係人口=現地に通う人」だけではない、というのがこの分類のポイントです。オンラインで地域を応援したり、地域の仕事をリモートで請け負ったりするだけでも関係人口に含まれるため、大学生や若者でも始めやすくなっています。

関係人口と交流人口・定住人口の違い

関係人口を理解するには、定住人口・交流人口と並べるのが早道です。

定住人口 関係人口 交流人口
どんな人 その地域に住んでいる人 住んでいないが、継続的に多様な形で関わる人 観光などで一時的に訪れる人
関わりの続き方 住み続ける 続く(通う・オンラインで関わる) 一回きりのことが多い
数の把握 住民基本台帳など 公的な台帳はない(国交省の推計、2026年度からは登録制度) 観光統計など

交流人口は「来てもらう」こと、関係人口は「関わり続けてもらう」ことに重心があります。観光客が何度も訪れるうちに地域の人とつながり、イベントの手伝いをするようになれば、その人は交流人口から関係人口に移った、と考えられます。

自治体の取り組み状況と課題|内閣府の令和7年度調査

内閣府(地域未来戦略本部事務局)が全国の自治体を対象に行った令和7年度の取組状況調査(2025年8〜11月、1,738団体が回答)では、令和6年度に関係人口の創出・拡大に取り組んだ自治体は1,436団体でした。地方版総合戦略に「関係人口」の記載がある自治体は1,328団体にのぼります。

一方で、施策を進めるうえでの課題(複数回答)を見ると、上位は次のとおりです。

課題 団体数
自治体内の人員が不足している 1,176
予算が不足している 771
関係人口の創出・拡大を担う地域主体が少ない、もしくは存在しない 689
関係人口と地域をつなぐ主体(中間支援組織)が見つからない 512
何から始めればよいのかがわからない 347

多くの自治体が取り組んではいるものの、担当する人と、地域外の人を受け止める担い手が足りない、というのが現場の実情です。関係人口づくりを外部の団体と組んで進める自治体が増えているのは、この課題があるからです。

ふるさと住民登録制度で関係人口はどう変わる?

関係人口には住民票のような公的な台帳がなく、規模や地域との関わりが見えないことが長年の課題でした。そこで総務省は、住んでいる地域以外に継続的に関わる人を登録する「ふるさと住民登録制度」をつくり、2026年度中の制度開始に向けてモデル事業を進めています。

基本的な制度設計と自治体向けガイドラインの概要(2026年3月27日公表)によると、登録は2段階です。

ベーシック登録(仮称) プレミアム登録(仮称)
要件 要件なし(自動的に登録できる) 年3回以上、自治体が指定する「担い手活動」を行う
登録できる自治体の数 制限なし 3団体まで
マイナンバーカードでの本人確認 任意 必須
更新 不要(一定期間アクセスが無いと解除) 年1回程度、要件を確認して更新
自治体ができること 地域の情報を届ける、アンケートをとる 活動を支えるサポート施策を用意する(交通・宿泊費の補助など)

担い手活動の例として、ガイドラインには農業や清掃活動などのボランティア、イベントの企画・運営、地域の魅力発信などが挙がっています。ただし、どの活動を担い手活動とするかは自治体が指定します。また、登録の特典として、現地に行かなくても物がもらえるような、いわゆる「返礼品」を設けることは禁止されています。

スケジュールは、2026年4月から担い手活動の実績の記録が始まり、2026年秋に自治体からのシステム利用申請の受付、2026年度内に制度開始の予定です。登録に使う「ふるさと住民アプリ(仮称)」は年度末のリリース予定とされています。モデル事業には7道県と21市町村が参加しています。

これまで「関わっている人」としか言えなかった関係人口が、ベーシックとプレミアムという形で初めて数えられるようになるのが、この制度の大きな意味です。自治体にとっては、関係人口施策の成果を登録者数や活動の実績で示せるようになります。

定義を押さえたら、実際の取り組みも見てみましょう。若者・大学生とつながる関係人口の具体的な成功事例は、関係人口の成功事例16選|若者・大学生とつながる自治体の取り組みで、成果の数字と出典つきで紹介しています。

自治体・地域の団体のご担当者さまへ

学生・若者向けのアイデアコンテストや地域での体験を入口に、関係人口づくりを進める方法と、これまでの開催事例をまとめた資料をお送りしています。費用は内容に合わせてご相談です。フォームに入力すると、その場でダウンロードできます。

資料を受け取る(無料)

若者の関係人口づくりの実例は、FLASPOの事例集でも紹介しています。長野県木曽郡では若者が考えた体験プランづくりに70人以上が関わり(木曽広域連合の事例)、青森県八戸市の八食センターでは学生9名が現地で1週間の“右腕”インターンに入りました(八食センターの事例)。愛媛県東京事務所とは、首都圏にいながら愛媛の地域課題に向き合い続ける若者の活動を支えるプロジェクトを進めています(愛媛県東京事務所の事例)。

よくある質問(FAQ)

Q: 総務省の関係人口の定義は?

A: 「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々」です。国土交通省は「単なる帰省でもない、日常生活圏や通勤圏以外の特定の地域と継続的かつ多様な関わりを持つ人」と、範囲をより細かく定めています。

Q: 関係人口と交流人口の違いは?

A: 交流人口は観光などで一時的に訪れる人、関係人口は住んでいなくても継続的に地域と関わる人です。何度も訪れて地域の人とつながり、活動に加わるようになると、交流人口から関係人口に移ったと考えられます。

Q: 関係人口は全国に何人いますか?

A: 国土交通省の推計(2023年度調査、2025年6月公表)では、18歳以上の約22%、約2,263万人です。そのうち実際に地域を訪れている訪問系が約1,884万人、訪れずに関わる非訪問系が約379万人です。

Q: 総務省の関係人口ポータルサイトはどこにありますか?

A: 2026年10月時点では、総務省の情報は「関係人口・ふるさと住民」のページと、ふるさと住民登録制度ナビにまとまっています。過去の関係人口創出・拡大事業の報告書や事例も、前者のページから見られます。

Q: ふるさと住民登録制度はいつから始まりますか?

A: 総務省は2026年度中の制度開始を目指しています。2026年4月から担い手活動の実績の記録が始まっており、登録用のアプリは年度末のリリース予定です。

地域の課題には、アイデアで関わることもできます。自治体や企業が出したお題に、学生・若者が企画を応募するコンテストはFLASPOのTRY一覧で探せます。

大学生が関係人口として地域と関わる段階(お題に答える・交流会に行く・現地を訪れる)は、「住まなくても、地域と関われる」で、いま募集中のものとあわせて紹介しています。

自治体・企業の方へ

若者との関係人口づくりを、コンテストから現地まで

FLASPOは、自治体・企業のお題で学生・若者のアイデアを集め、受賞者の現地訪問や提案の場までを運営しています。開催事例と資料をご覧ください。

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。