別荘495,145戸を人口に足す国|関係人口の海外版はどう数えるか

同じ現象を、国によって違う単位で数えている

海外の似た取組を調べようとして、英語で「kankeijinko」と検索しても何も出てこない。行き詰まる理由は単純で、日本が人を数えているのに対し、海外の統計は建物を数えたり郡を類型に分けたりしているからである。指しているのはおおむね同じ現象、つまり住民票を置かないまま特定の地域に繰り返し通う人の存在だが、測り方が違えば出てくる数字の形も変わる。

日本側の定義を押さえておくと比較しやすい。国土交通省は関係人口を「移住や観光でもなく、単なる帰省でもない、日常生活圏や通勤圏以外の特定の地域と継続的かつ多様な関わりを持つ人」としている。人を主語にした定義なので、アンケートで本人に聞く方法に行き着く。一方で北欧と米国の公的統計は、本人に聞く前に不動産の側から入る。

国・地域 数える単位 指標の名前 公表されている値
日本 18歳以上の人 関係人口(訪問系・非訪問系) 2,263万人(約22%)
フィンランド 建物の棟数 余暇住宅(free-time residences) 495,145戸(2024年末)
北欧5か国 常住人口+別荘数×3 年間人口とコミュニティ影響度 北欧平均1.2倍
米国 郡(county) 郡類型コード レクリエーション集中432郡
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フィンランドが数えるのは人ではなく小屋の棟数

湖のそばに建つ木造の小屋は、フィンランドでは生活の一部として統計の対象になっている。フィンランド統計局の余暇住宅に関する統計によると、2024年末時点の余暇住宅は495,145戸で、合計が50万戸を初めて下回った。減少の理由は取り壊しだけでなく、登記の訂正や登記からの削除、用途変更も含まれると統計局は説明している。

自治体別では、クオピオが10,355戸で最も多く、ミッケリが9,825戸で続く。新築に目を移すと、2020年から2024年までの5年間に全国で11,138戸が建てられ、建設が最も多かったのは北部のキッティラだった。古い別荘が減りながら、スキーリゾートのある自治体では新しい棟が積み上がっているという二つの動きが同時に起きている。

この統計は2026年3月12日に廃止され、2025年を対象年から新しい建築ストックの統計に引き継がれることが告知されている。系列が切り替わると前後の比較がしづらくなるため、日本から引用するときは何年の値なのかを明記しておく必要がある。統計局は、この数が建物区分02(余暇住宅用建築物)に属する建物を示すものだと注記している。

北欧には「年間人口」という計算式がある

棟数を数えるところから一歩進めたのが、北欧閣僚理事会の研究機関ノルドレギオである。同機関はコミュニティ影響度という指標を作り、別荘1戸あたり3人が訪れると見積もって、常住人口に別荘数の3倍を加えた値を年間人口と定義した。年間人口を常住人口で割った比率が、季節的な訪問者が自治体のインフラや福祉、計画の資源にどれだけ影響しているかを示す。3という数字は、別荘を訪れる世帯の平均人数の推計値である。

2018年の値では、北欧全体の平均は1.2倍だった。地域単位で最も高かったのはフィンランドの南サヴォで、ノルウェーのオップラン、アイスランドのスドゥルランド、スウェーデンのイェムトランド・ヘリエダーレンも高い比率を示した。自治体単位になると差は極端で、アイスランドのSkorradalshreppurが30.0倍、同国のGrímsnes- og Grafningshreppurが19.0倍、フィンランドのKustaviが11.2倍となっている。住民が少なく別荘が多い自治体で比率が跳ね上がる構造になっている。

ノルドレギオは2019年12月に公表した報告で、北欧の人口2,700万人のうち半数が、所有か家族か友人を通じて別荘を使える状態にあると推計している。そのうえで、常住地と別荘地の双方の自治体で住民税を分け合うべきかどうかを政策の議題にすることを勧めている。福祉サービスを実際に使う人数と、税を受け取る自治体がずれているという問題提起である。日本の二地域居住をめぐる議論と重なる論点で、住まいの選び方そのものは二地域居住の住まいの選び方で整理している。

米国は郡を類型に分けて名前を付ける

大陸規模の国では、個人に聞くより地域をまとめて分類するほうが実務に合う。米国農務省経済調査局は郡類型コードを1980年代からおよそ10年ごとに更新しており、2025年版では経済的な類型と人口的な類型の二系統が公表されている。注目したいのは、レクリエーション集中型の判定に住宅の使われ方が組み込まれている点である。

判定材料は三つで、芸術・娯楽・レクリエーションと宿泊・飲食、不動産賃貸業の収入の割合、同じ業種の雇用の割合、そして2020年の国勢調査で報告された「季節・娯楽・臨時の利用のために空いている住宅」の割合である。別荘やセカンドハウスの多さが、そのまま郡の性格を決める要素として使われている。この基準で選ばれたレクリエーション集中郡は432郡あり、うち295郡が大都市圏外にある。

同じ2025年版には、五つの産業のうち最も比重が大きいものを一つだけ選ぶ産業依存型の分類もある。そちらでレクリエーション依存とされたのは267郡で、うち200郡が大都市圏外だった。人口的な類型には退職者の移住先という区分があり、55歳から74歳の住民が移動によって2010年から2020年に15%以上増えた郡が305郡、うち191郡が大都市圏外と示されている。人の増減を追う指標と、建物の使われ方を追う指標が同じ表に並んでいる。

日本の調査は人に聞く方式を取っている

翻って日本の数字を見ると、出発点が違うことがよく分かる。国土交通省が令和7年6月27日に公表した地域との関わりについてのアンケートの結果では、18歳以上の居住者約10,275万人のうち、訪問系が約1,884万人で約18%、非訪問系が約379万人で約4%、合わせて約2,263万人で約22%と推計された。有効回答は118,963人、令和5年9月から10月に実施したインターネット調査である。

同じ調査からは、関わりの濃さも読める。訪問系の年間訪問日数は「1日以下」が約20%、「2〜7日」が約49%、「8日以上」が約31%で、就労型では8日以上が半数近くに達する。地域までの主な交通手段は自家用車が約58%で単独では最も多いが、鉄道や航空機などの公共交通を合計すると自家用車を上回る。流動の方向では三大都市圏を除く地域から同じ区分の地域への動きが約763万人と最も多かった。

本人に聞く方式の強みは、建物を持たない関わり方も拾えるところにある。非訪問系379万人は、ふるさと納税や特産品の購入、交流サイトでの応援などで現地に行かずに関わる層で、別荘の棟数を数える方法では決して現れない。この層の内訳は非訪問系379万人の内訳で詳しく見ている。逆に北欧や米国の方式は、回答者の記憶に頼らず登記や国勢調査から機械的に出せるため、年ごとの比較に強い。地域と関わる入口を探す段階なら、FLASPOのような窓口から実際の受け入れ先を見ておくほうが早い。

よくある質問

海外に関係人口に当たる制度はあるのか。日本のように国が定義を置き、全国調査で人数を推計している例は見つけにくい。北欧では研究機関が年間人口という指標を提案し、米国では農務省が郡を類型化しているが、いずれも統計上の分類であって、移住の前段階を支援する制度として設計されたものではない。制度として比較するより、測り方の違いとして読むほうが実態に近い。

北欧の別荘1戸あたり3人という数字は信頼できるのか。ノルドレギオ自身が注意書きを付けている。別荘に住民登録している人がいる自治体では影響度が過大に出る可能性があり、デンマークの統計は登録あり・なしを区別できるが他の4か国の統計はその区別を持たない。また常住地と別荘が同じ自治体にある人もいる。こうした事情を踏まえ、2000年代初めに指標を作って以降の利用増加が明らかでも、1戸3人という前提を引き上げずに据え置いているとしている。

日本の数字と海外の数字を足し合わせて比較できるか。単位が人、戸、郡と異なるため、合計や増減率を直接並べる使い方はできない。比べられるのは考え方の方向で、たとえば常住人口に季節的な訪問者を足して行政の計画に使うという発想は、日本の自治体が人口減少の中で施設やサービスの規模を決めるときにも応用できる。関係人口の定義そのものの整理は関係人口とはにまとめている。

フィンランドの統計が廃止されると、今後は何を見ればよいか。統計局は2025年を対象年から建築ストックと新規建設の統計に統合すると告知しており、余暇住宅も新しい系列の中で扱われる。移行期は定義や集計方法が変わる可能性があるため、過去の495,145戸という値と新系列の値を同じ線でつなぐ前に、どの建物区分が対象なのかを確認したい。


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