協力隊が空き家に入る順番|支援法人95法人と計画1,541市区町村

900万2千戸のうち、手が届くのはどの区分か

雨戸の閉まった家が並ぶ集落を歩くと、その全部が活用の候補に見えてくる。ところが統計の区分に落とすと、話せる相手がいる家とそうでない家にはっきり分かれる。2023年の住宅・土地統計調査(確報集計)では、総住宅数6,504万7千戸のうち空き家は900万2千戸、空き家率は13.8パーセントだった。2018年の848万9千戸から51万3千戸増え、いずれも過去最多と過去最高を更新している。

区分ごとに性格が違う。最も多いのは賃貸用の空き家で443万6千戸、空き家全体の49.3パーセントを占める。これは不動産市場に出ている在庫で、持ち主の貸す意思がすでに固まっている。自治体や地域の担い手が関わる余地が大きいのは、もう一方の「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」385万6千戸のほうだ。2018年から36万9千戸増え、空き家の総数に対して42.8パーセントにあたる。

空き家の区分 2023年の戸数 空き家総数に占める割合
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 385万6千戸 42.8%
賃貸用の空き家 443万6千戸 49.3%
売却用の空き家 32万6千戸 3.6%
二次的住宅(別荘など) 38万4千戸 4.3%
空き家の総数 900万2千戸 100.0%

建て方でも偏りがある。一戸建の空き家は352万3千戸で、空き家全体の39.1パーセント。統計局は、この一戸建の空き家のおよそ8割が先の「除く空き家」に当たると書いている。改修して住まいや店に変える話が木造の一戸建に集まるのは、感覚ではなく分布の結果である(出典:総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計結果の要約)。くわしい時系列は空き家の現状と統計の記事で追える。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

自治体の側は、計画と協議会までは並んでいる

受け入れる側の準備はどこまで進んだのか。国土交通省と総務省が令和7年12月25日に公表した空家法の施行状況調査は、1,741市区町村を対象に毎年同じ項目を数えている。空家等対策計画を策定済みの団体は1,541で88パーセント、法定協議会を設置済みの団体は1,052で61パーセントだった。前年はそれぞれ1,501団体と1,028団体で、どちらも増えている。

ただ、措置の件数を並べると重心が見えてくる。平成27年の法施行から令和7年3月31日までの累計で、特定空家等への助言・指導は42,768件、勧告4,153件、代執行(略式代執行を含む)878件。2023年の改正で加わった管理不全空家等への措置は、施行から令和7年3月までに指導3,211件(185市区町村)、勧告378件(40市区町村)となっている。

積み上がっているのは、崩れそうな家を止める側の数字である。使える家を誰かに渡す側は、法の条文ではなく現場の手数で動く。計画が8割を超えても活用が自動で進まないのは、この非対称のためだ(出典:国土交通省 令和5年改正空家法に基づく取組が広がる)。

1万9千件のバンク掲載は、誰かが足で集めている

活用の入口として一般に見えているのは、自治体の空き家バンクだろう。国土交通省の全国版空き家・空き地バンクは令和8年2月末時点で、参画自治体1,134団体(1,788自治体に対して参画率63パーセント)、物件掲載件数19,075件。自治体アンケート等によれば、これまでに約24,700件が成約している。

立ち上がりと比べると伸びは大きい。令和元年6月の時点では参画430自治体・掲載2,328件で、6年あまりで掲載は8倍を超えた。平成29年10月の試行運用を経て平成30年4月に本格運用へ移った仕組みが、ようやく全国の6割を覆ったという段階である。

一方で、1件を掲載するまでの作業は役場の机では終わらない。所有者をたどって意向を聞き、権利関係を整理し、室内を撮り、傾きや水回りの状態を見て、内見に立ち会う。この手数を誰が負うのかという問いが、空き家の話をいつも人の話に戻す。仕組みそのものは空き家バンクとはの記事にまとめてある(出典:国土交通省 全国版空き家・空き地バンクについて)。

「空き家担当の隊員が何人」は、どこにも書かれていない

では、地域おこし協力隊はこの手数のどこに入るのか。総務省が令和8年4月24日に公表した資料によれば、令和7年度の隊員は8,196人、取組自治体は1,187団体で、受入可能な1,461団体の約81パーセントにあたる。資料は活動分野として移住・定住、観光、商品開発、農林水産業などを挙げるが、分野ごとの人数は載せていない。つまり空き家の担当が全国に何人いるかは、公表資料からは出せない。

代わりに確かめられるのは、任期を終えた後の行き先である。令和2年度から令和6年度までに任期終了した8,762人のうち、同じ地域に定住したのは6,163人で70.3パーセント。活動地と同一市町村内に定住した5,038人の内訳は、起業2,296人(45.6パーセント)、就業1,753人(34.8パーセント)、就農・就林583人(11.6パーセント)だった。

起業の中身を見ると空き家と重なる。飲食サービス業が308名、宿泊業が181名、小売業が174名で、いずれも建物がなければ始まらない商いだ。隊員が自分の任期中に空き家の情報へ触れていることは、この進路の並びから読み取れる。住居そのものの扱いは協力隊の住居は自治体がどこまで持つかで整理した(出典:総務省 令和7年度 地域おこし協力隊の隊員数等について)。

任期3年の人と、続いていく器を組み合わせる

2023年の改正で、空家法には空家等管理活用支援法人という枠が加わった(第23条)。市町村がNPO法人や社団法人などを指定し、所有者の相談や物件の管理、活用の仲立ちを任せる仕組みである。令和7年3月31日時点の指定は95法人・64市町村。前年の9法人・8市区町村から1年で大きく動き、さらに120法人(98市区町村)で指定が検討されている。

区域の指定も始まった。用途規制を緩めて活用を促す空家等活用促進区域(第7条)は4区域・4市で指定済み、36区域・27市区町が検討中という段階だ。数としては小さいが、前年の指定がゼロだったことを踏まえると、制度の試運転が始まった位置にある。

ここに任期の長さの違いが効いてくる。隊員の委嘱はおおむね1年から3年で、担当が替われば所有者との関係は途切れやすい。支援法人や地域の法人は年をまたいで残る器だから、隊員が集めた情報を引き取る先になりうる。学生や社会人が地域の側から関わる入口を探すときも、人の任期と器の寿命を分けて見ると選びやすい。進路や地域との関わり方はFLASPOでも扱っている。

よくある質問

募集要項に「空き家バンクの運営」と書かれていた場合、仕事の範囲はどう確かめるのか。全国集計には分野別の人数が無いため、頼れるのは自治体が出す募集要項と活動計画である。所有者への接触をどこまで任されるのか、宅地建物取引業に触れる行為を誰が担うのか、報告先の課はどこかを、応募前の面談で聞いておきたい。

隊員のうちに空き家を買って住むことはできるのか。任期中の住まいは自治体が借り上げる形が多く、購入は任期後の生活設計に属する話になる。制度として用意されているのは報償費と活動費の枠であり、物件の取得費はそこに含まれない。

支援法人には個人でもなれるのか。空家法第23条の指定を受けるのは法人であり、市町村の指定が前提になる。任期後に器を持ちたい場合は、NPO法人や一般社団法人といった形を先に整える順番になる。任期後の進路の全体像は卒業後の進路一覧にまとめてある。

空き家はこれから減るのか。公表された数字でわかるのは、2018年から2023年までに総数が51万3千戸、活用の候補になりやすい区分が36万9千戸増えたという実績だけである。将来の増減は調査が出るまで確かめられないので、増えた前提で担い手を置くほうが実務に合う。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。