学生の海外旅行|修学旅行6万6,618人と短期留学6万301人の重なり

学生の海外旅行|修学旅行6万6,618人と短期留学6万301人の重なり

高校生が海外に出る経路は、留学よりも学校行事だった

海外に出る学生の話は留学から語られることが多いが、人数の並びを見ると順番が逆になる。文部科学省が昭和61年度から隔年で続けている調査の令和5年度の結果によると、修学旅行で外国を訪れた高校生は66,618人だった。これに対し、3か月未満の研修旅行で派遣された高校生は31,711人、3か月以上の留学は3,174人である。

3つを足すと101,503人になり、そのうち修学旅行が3分の2を占める。学校行事として全員で動く枠が、結果的に最も多くの高校生を国外に出していることになる。本人が希望して選び取った渡航ではないぶん、海外に出る最初の機会として機能している度合いは大きい。

一方で、政府目標の数え方には修学旅行が入っていない。第4期教育振興基本計画は2033年に日本人高校生の海外留学生を12万人とする目標を掲げているが、この数値に対応するのは研修旅行と留学の合計で、令和5年度は約3.5万人だった。目標までの距離は8万人以上ある。

同じ調査では、学校訪問を伴う外国からの教育旅行の受入れが24,749人、3か月以上の外国人留学生の受入れが1,864人と報告されている。送り出す人数と受け入れる人数は、桁がひとつ違う。

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コロナ前との差は、区分ごとに大きく違う

回復の度合いを一括りに語れないのは、区分ごとに落ち方と戻り方が違うからである。公表された3区分の数字を並べると差がはっきりする。

区分 平成29年度 令和3年度 令和5年度
修学旅行(学校行事) 179,910人 0人 66,618人
研修旅行(3か月未満) 42,793人 1,217人 31,711人
留学(3か月以上) 4,076人 1,901人 3,174人

令和3年度の修学旅行は0人で、実施校も0校だった。学校行事は一斉に止められる性質があるため、落ち方がいちばん深い。令和5年度は66,618人まで戻ったが、平成29年度と比べると37パーセント程度の水準にすぎない。

研修旅行は1,217人まで落ちたあと31,711人まで戻り、平成29年度の74パーセントに達している。留学は落ち込みが最も浅く、戻りも最も高い。期間が長く本人の意思で動く枠ほど、外部の条件に左右されにくかったという読み方ができる。

高等学校等における国際交流活動を実施した学校は1,697校で、回答総数の30.2パーセントにあたる。令和3年度の1,373校から増えた一方、オンラインを活用した学校は1,129校から785校に減っている。画面越しの交流が渡航に置き換わっていった過程が、校数の増減に出ている。

行き先の順番は、目的によって入れ替わる

同じ高校生でも、渡航の目的が変わると行き先の並びが変わる。修学旅行の行き先は多い順にオーストラリア、シンガポール、台湾、アメリカ、マレーシアだった。短時間で着く範囲と、治安や受け入れ体制が読める範囲に寄っている。

3か月未満の研修旅行はオーストラリア、アメリカ、台湾、イギリス、カナダで、修学旅行の並びに英語圏が食い込む。3か月以上の留学になるとカナダ、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、イギリスとなり、上位5つがすべて英語圏になる。

姉妹校提携の相手国も同じ傾向で、オーストラリア、アメリカ、台湾、韓国、ニュージーランドの順である。提携校数は1,151校で、令和3年度の1,146校からほぼ横ばいだった。学校と学校のつながりは渡航が止まった時期にも維持されていたことになる。

渡航先が決まったあとの準備は、学校行事であっても個人の旅行であっても変わらない部分がある。滞在の形まで含めて調べる場合は、ホームステイとは何かで費用と期間の目安を数字から整理している。

大学生は、3分の2が1か月未満で帰ってくる

大学生の側は別の調査で追える。日本学生支援機構の調査をもとに文部科学省が令和8年5月に公表した資料によると、大学等が把握している日本人学生の海外留学者数は2024年度で91,054人だった。前年度比1,875人、2.1パーセントの増加である。

この中で1か月未満の短期留学が60,301人を占める。全体の66パーセントが1か月に届かない滞在であり、前年度から3,257人、5.7パーセント増えた。注目すべきは、それ以外の期間別の留学者数がいずれも減っている点である。増えた分はすべて短期に寄っている。

1か月未満という長さは、語学研修や現地プログラムへの参加を含みつつ、実質的には旅行と地続きになる。授業期間を大きく外さずに組めるため、休みの使い方の問題として扱えるからである。国内側で同じ制約がどう働いているかは学生の国内旅行に整理した。

前年度の2023年度は89,179人で、その前の年から53.3パーセント増だった。2024年度の伸びは2.1パーセントに落ちており、資料自身も増加率の鈍化を指摘している。戻りの局面が終わり、水準として固まりはじめた段階にあると読める。

行き先はアジアに寄り、支援は全都道府県に広がった

留学先の内訳には、円安の効き方がそのまま出ている。国や地域別で最も多いのはアメリカ合衆国の12,627人だが、前年度比で890人、6.6パーセント減った。オーストラリアは9,329人で1.8パーセント増、韓国は8,360人で0.3パーセント減である。

地域別に見るとアジア諸国への留学者数が36,904人で最も多く、前年度比2,401人、7.0パーセント増えた。北米は19,363人で1,775人、8.4パーセント減っている。アジアが増えて北米が減るという向きは、滞在費と渡航費の差で説明がつく範囲にある。

支援の側も動いている。高校生の留学支援または留学環境整備に関する取組は47都道府県すべてで実施されており、令和3年度の39都道府県から増えた。取組の多い順は「研修旅行にかかる経費の支援」、外国人高校生の受入れ、留学に関する情報提供を行うフォーラムの開催と続く。費用の補助が先頭に来ている。

海外の高等教育機関等への進学者は1,635人で、令和3年度の1,424人から増えた。短期の渡航から進学まで、学生が海外に向かう経路は長さの違う何本かに分かれている。学生向けの企画やコンテストを扱うFLASPOのような場で選択肢を比べるときも、期間の違いで条件が変わる点は押さえておきたい。

よくある質問

学生が海外に出る人数は全体でどれくらいか。高校生の派遣が令和5年度に101,503人、大学等の留学者が2024年度に91,054人である。調査が別で対象期間も異なるため、単純に足した数字は使えない。

短期留学は旅行と何が違うのか。制度上は在籍校が把握する留学として数えられるが、1か月未満という長さでは滞在の実感は旅行に近い。単位や奨学金の扱いが変わる点が実務上の違いになる。

なぜ修学旅行の人数がいちばん多いのか。学校行事として全員が対象になるため、本人の希望や費用の判断を経ずに渡航が決まる。令和5年度の実施校は延べ709校だった。

留学先を英語圏以外から選ぶ余地はあるのか。3か月以上の留学は上位5つが英語圏だが、地域別ではアジアが最も多く、しかも伸びている。選び方の幅は人数の上では広がっている。

費用の支援はどこを見ればよいか。47都道府県すべてが何らかの取組を実施しており、最も多いのが研修旅行の経費支援である。在学する学校の所在地の制度から当たるのが早い。

在学中に長く海外にいる方法はあるのか。休学を使う選択肢があり、期間の組み方で費用も変わる。休学中の活動の選び方で留学やインターンとの組み合わせ方を比べている。


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