クレジットカードと若者|18歳から持てる制度と正答率39.4%の差

クレジットカードと若者|18歳から持てる制度と正答率39.4%の差

成年になった年に最初に結ぶ契約が、カードの申込である人は少なくない。そのとき変わっているのは申込めるかどうかだけではない。やめられるかどうかの条件も同時に変わっている。制度の側の変化と、知識の側の実測値を並べると、どこで手当てが必要なのかが見えてくる。

取り消せるという前提が外れている

民法の一部を改正する法律は平成30年6月13日に成立し、令和4年4月1日から施行された。法務省はこの改正の内容を、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることと説明している。施行に合わせて国民生活センターが出した注意喚起には、2022年4月より18歳から一人でクレジットカードを申し込めるようになりますという一文が置かれた。

同じ注意喚起が強調しているのは、得たものより失ったものの側だ。未成年の契約は親権者の同意がなければ取り消せるが、成人すると一人で契約でき、原則として一方的にやめることはできないと記されている。つまり18歳と19歳にとっての変化は、申込の可否ではなく、後戻りの手段が消えたことにある。

センターは同じ資料で、手元や口座にお金がなくても買い物できるのは借金と同じだと言い切り、仕組みと支払方法を理解して適切に管理するよう呼びかけている。不安やトラブルを抱えたときの窓口として消費者ホットラインの「188」も案内されている。取消権という安全網が外れた以上、入口で確かめる作業を自分で持つしかない。学生の契約に固有の論点は学生のクレジットカードは何が違うのかで扱っている。

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正答率は、年齢が上がるほど高くなる

知識の水準は測られている。金融経済教育推進機構が全国の18歳から79歳までの3万人に対し、2025年9月26日から10月17日まで実施した金融リテラシー調査では、正誤問題の正答率が年齢層別に示されている。若い層が低いという傾向が、前回調査と比べても崩れていない。

年齢層 2025年調査の正答率 2022年調査の正答率
18〜29歳 39.4% 41.2%
30代 45.1% 48.8%
40代 50.2% 53.0%
50代 56.2% 58.6%
60代 63.0% 64.1%
70代 66.2% 65.6%
合計 53.8% 55.7%
金融経済教育推進機構「金融リテラシー調査(2025年)」正誤問題25問の正答率より作成

18歳から29歳の39.4%は、70代の66.2%より26.8ポイント低い。前回の41.2%からも1.8ポイント下がっている。調査の分野別でもローン・クレジットは48.2%で、前回の52.5%から4.3ポイント落ちた。制度が18歳に門を開いた一方で、知識の側の数値は上向いていない。

設問の中身を見ると、落ちている箇所がさらに絞れる。手数料の負担はリボルビング払いでは生じるが分割払いでは生じない、という誤りを含む記述が置かれた設問では、それを誤りだと見抜けた人が全体で47.2%にとどまった。分割払いにも手数料がかかるという事実が、半数を超える人に届いていない。手数料の発生条件はクレジットカードとはで整理してある。

相談の現場に残っている三つの型

どこでつまずくのかは、持ち込まれた相談の形から読み取れる。国民生活センターが挙げた事例は三つで、いずれも抽象的な注意ではなく具体的な失敗の筋道を示している。限度額いっぱいの買い物をしたら支払えなくなったという型、リボ払いを選択したら支払残高が高額になっていたという型、もうけ話の契約で事業者からクレジットカードを作るよう指示されたという型だ。

一つ目は枠の意味を取り違えた結果である。カードの利用可能枠は審査を経て会社が設定するもので、手元の残高とは切り離されている。だから枠を使い切れることと払えることは別の話になる。二つ目は設定の確認漏れだ。センターはリボ払い専用のカードや初期設定がリボ払いになっているカードがあると注記し、申込時に支払方法を確かめるよう求めている。

三つ目は性質が異なる。実態が不明な情報商材や副業などのもうけ話で、支払手段としてカードを作らせる手口が増えているという指摘で、センターは悪質事業者等からクレジットカードで支払えばよいとそそのかされても応じないでと強い調子で書いている。カードが決済の道具ではなく、与信枠の調達手段として使われている点がこの型の危うさだ。

教育を受けたという認識が差になっている

知識の差は生まれつきではない。同じ調査には、学校等で金融経済教育を受けたと認識している人の割合が並んでいる。日本全体では8.7%にとどまり、18歳から29歳では13.5%、18歳から24歳の学生では16.0%だった。米国の同種の調査では19%で、学生の層を取ってもなお差がある。

注目したいのは、受けたという認識があるかどうかで正答率が動くことだ。調査では、金融経済教育を受けたと認識している学生の正答率は57.7%で、そうでない学生の40.4%を17.3ポイント上回っていた。受けたと認識している学生は、金融や経済の情報を入手する頻度やお金の長期計画を立てる割合も高いと報告されている。

この差の大きさは、入口に置く説明の量が結果を変えうることを示している。カードを渡す前に手数料の発生条件と支払区分の設定を一度通して確認する、という程度の手間でも効き目はある。地域の活動で若い世代が経費を立て替える場面があるなら、FLASPOのような取り組みに関わる段階で支払手段と精算のルールを先に決めておくほうが、後の負担が軽い。

トラブル経験者の割合は若い層が最も高い

知識の低さは経験の側にも表れている。同調査で金融トラブルを経験した人の割合は、18歳から29歳が8.2%、30歳から59歳が7.3%、60歳から79歳が5.5%だった。被害は高齢層の問題として語られがちだが、割合で見れば最も高いのは若い層である。

では入口で何を決めておけばよいのか。国民生活センターの注意喚起から取り出せる手順は四つに整理できる。支払方法の初期設定を確かめること、支払計画を立ててから使うこと、推測されにくい暗証番号を設定してカードを他人に貸さないこと、利用明細を定期的に必ず確認する習慣をつけることだ。センターは延滞が個人信用情報機関に登録され、放置や繰り返しによって新規カード作成などができなくなる恐れがあるとも注意している。

審査の側の見方も知っておくと、記録の重みが理解しやすい。法務省の解説は、カード会社は利用者の職業や年収などからちゃんと支払をしてくれる人かどうかを審査して、カードを作れるかどうかといくらを限度として利用できるかを決めると説明している。そして支払の滞納が重なれば、後々住宅ローンのような融資を断られてしまうかもしれないと述べている。18歳で作った一枚の扱いが、十数年後の借入の条件につながるという時間の長さがここにある。比較の順番はクレジットカードの選び方にまとめた。

よくある質問

18歳でも親の同意なしに申込めるのかという質問が最も多い。国民生活センターは2022年4月より18歳から一人で申し込めるようになると案内している。ただし申込めることと審査を通ることは別で、職業や年収などから支払う能力が確かめられる。

成年になってから結んだ契約を取り消せるかという相談もある。未成年なら親権者の同意がない契約を取り消せたが、成人すると原則として一方的にやめることはできないとセンターは明記している。困ったときは消費者ホットラインの「188」が窓口になる。

若い世代の正答率が低いのはなぜかという問いには、教育の経験の差が一因だと答えられる。学校等で金融経済教育を受けたと認識している人は日本全体で8.7%で、受けたと認識している学生の正答率は、そうでない学生を17.3ポイント上回っていた。

最初の一枚で何を確かめるべきかという質問も定番だ。支払区分の初期設定が1回払いになっているかどうかを見る、これが最優先になる。リボ払い専用のカードや初期設定がリボ払いのカードがあるという注記が、そのまま理由になっている。

限度額は低いほうが安全かという論点もある。枠は会社が審査して設定するもので、使い切れることと払えることは一致しない。相談事例の一つ目がまさに枠を使い切った結果なので、低く始めるという判断には根拠がある。

友人にカードを貸すのは問題ないのかという質問には、貸さないという一点を答えている。センターは管理のポイントとしてカードの貸与を禁じており、名義人の信用に基づいて発行されるものなので他人に使わせることは前提から外れる。

もうけ話でカードを作れと言われた場合はどうするか。センターは応じないでと書いており、実態が不明な情報商材や副業の勧誘でこの手口が増えていると指摘している。迷った時点で契約せず、「188」に相談するのが安全側の判断だ。

出典:法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」、同「大人への道しるべ クレジットカードの利用は慎重に」、独立行政法人国民生活センター「若者向け注意喚起シリーズ<No.7>18歳から大人に!クレジットカードの使い方を考えよう!」、金融経済教育推進機構「金融リテラシー調査(2025年)」


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