失恋とメンタル|頼れる人がいない人の21.8%が強い孤独感

失恋とメンタル|頼れる人がいない人の21.8%が強い孤独感

会う回数より、頼れる相手がいるかどうかで差がつく

別れたあとに人と会う約束を増やす人がいる。予定で埋めれば気がまぎれるという発想だが、国の調査を読むとこの作戦の効き方には限りがある。内閣府が公表した「人々のつながりに関する基礎調査」の集計を、孤独・孤立の実態把握に関する研究会が分析した令和7年10月の考察に、その比較が載っている。

区分 孤独感が「しばしばある・常にある」 「時々ある」 回答者数
困った時に頼れる人がいる 3.0% 14.5% 9,861人
困った時に頼れる人がいない 21.8% 30.6% 804人
相談相手がいない 21.4% 30.6% 940人
気軽に話せる相手がいない 24.9% 31.7% 820人
会って話す頻度が週1回以上 3.5% 14.8% 9,493人
会って話す頻度が週1回未満 11.4% 23.1% 1,201人

頼れる人がいない人のうち21.8%が強い孤独感を抱えており、いる人の3.0%と比べて7倍以上の開きがある。これに対して、会って話す頻度が週1回未満という人では11.4%にとどまる。研究会の考察はここから、単純に人と接触していないことよりも、頼れる人や相談相手、気軽に話せる相手がいないことのほうが孤独感と強く結びつくと整理している。

別れのあとで失われるのは、会う相手が1人減ることではない。弱っているところを見せられる相手が1人減ることである。飲みに誘える友人が5人いても、泣きながら電話できる相手がいなければ、数字の上では後者の列に並ぶことになる。

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孤独感が高いのは20歳代と30歳代である

この調査は統計法に基づく一般統計調査として、全国の満16歳以上から2万人を無作為抽出して行われている。令和6年12月1日を調査期日とし、有効回答は10,876件、有効回答率は54.4%だった。結果が公表されたのは令和7年4月25日である。調査結果のポイントによれば、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人は4.3%、「時々ある」が15.4%、「たまにある」が19.6%で、合わせて約4割が何らかの孤独感を報告している。

年齢で区切ると、最も高いのは20歳代の7.4%、次が30歳代の6.0%である。16歳から19歳は3.3%、40歳代4.3%、50歳代5.1%、60歳代4.4%、70歳代2.5%、80歳以上2.8%と続く。恋愛や交際が生活の前面に出てくる年代が、そのまま孤独感の高い年代と重なっている。男女で見ると男性4.4%、女性4.2%でほとんど差がなく、20歳代に限れば男性7.3%、女性7.4%とさらに接近する。

同じ調査には、スマートフォンの画面を見ている時間が7時間以上8時間未満の層と8時間以上の層で、孤独感が高いという集計もある。別れたあとに相手の投稿を追いかけて画面の前で過ごす時間が伸びる人は少なくないが、その過ごし方は数字の上では孤独感の高い側に寄る。こころの状態そのものを尺度で測った結果は人間関係とメンタルで扱っている。

「きっかけ」の一覧で、差がいちばん大きいのは関係のトラブル

この調査は、現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事も尋ねている。孤独感が「たまにある」以上と答えた4,183人と、「ほとんどない」「決してない」と答えた6,157人で、選んだ割合を比べたものが次の表である。

出来事 孤独感が高い群 低い群 差
人間関係による重大なトラブル 13.7% 3.2% 10.5
一人暮らし 18.8% 8.6% 10.2
家族との死別 24.6% 14.7% 9.9
心身の重大なトラブル 14.3% 5.5% 8.8
転校・転職・離職・退職 14.7% 6.5% 8.2
生活困窮・貧困 9.5% 2.3% 7.2
家族間の重大なトラブル 7.3% 1.6% 5.7
家族との離別 6.9% 2.6% 4.3

選んだ人がいちばん多い出来事は家族との死別の24.6%である。ただし孤独感が低い群でも14.7%が選んでいるので、両群を分ける力という点では差が9.9ポイントにとどまる。差が最大だったのは人間関係による重大なトラブルの10.5ポイントで、高い群13.7%に対し低い群は3.2%しか選んでいない。関係が壊れるという経験は、頻度では死別に及ばないのに、孤独感の高低を分ける働きはそれより強い。

「特に影響を与えたと思われる出来事はない」を選んだ割合は、高い群16.3%に対して低い群43.5%だった。孤独感が低い人の4割強は、きっかけらしい出来事を思い当たらない。逆に言えば、孤独感を抱えている人の8割以上には、何かしら指差せる出来事がある。別れはこの一覧に単独の項目として並んでいないが、人間関係による重大なトラブルと一人暮らしという、差の上位ふたつにまたがって現れうる経験である。

ひとりになったことと、つらいことは別に測る必要がある

同じ考察には、孤独と孤立のずれを扱った部分がある。孤独は本人の主観的な状態で、孤立は客観的な状態を指すので、理屈のうえでは四つの組み合わせがありうる。実際の分布を確かめると、頼れる相手のいない人や相談相手のいない人の4分の1、気軽に話す相手のいない人の22%は孤独感が低かった。会って話す頻度が週1回未満の人では、この割合が約45%まで上がる。

反対の組み合わせはもっと少ない。サポートの相手がいる人、あるいは交流が週1回以上ある人で孤独感が高い人は、いずれの区分でも20%を下回っていた。つながりがあるのに苦しいという状態より、つながりが薄いのに平気という状態のほうが、数としては多い。

別れたあとの自分を点検するときに、この区別は使える。人と会う回数が減ったことと、気持ちが沈んでいることは、同じ物差しで測れない。予定が埋まっているから大丈夫だと判断するのも、ひとりの時間が増えたから危ないと決めるのも、どちらも片方の指標だけを見ている。研究会が二種類の設問を併用しているのは、この取り違えを避けるためである。

手を貸す気のある人は半分近くいるのに、支援は届いていない

日常生活で不安や悩みを感じている人8,084人に、行政機関やNPO等からの支援を受けているかを尋ねた結果は、「受けている」7.4%、「受けていない」85.1%だった。受けていない理由として最も多かったのは「支援が必要ではないため」の62.6%である。必要がないと本人が判断して止まっている割合が、受けていない人の6割を超えている。

その一方で、まわりに不安や悩みを抱えている人がいたら積極的に声掛けや手助けをしようと思う、と答えた人は48.7%に達する。しようと思わないは10.4%にすぎず、残る38.3%はわからないだった。しようと思うと答えた割合は、男性では16歳から19歳と20歳代、30歳代、40歳代、女性では16歳から19歳と20歳代、30歳代で高い。手を貸す意思を持つ人は若い層にこそ多いのに、受け取る側が必要ではないと線を引いている構図になる。社会活動については「特に参加はしていない」が50.6%で、いずれかの活動に参加している人は46.6%だった。何でも相談できる相手の分布は人間関係と若者で確かめられる。

公的な窓口は、相談してよい悩みの種類を限定していない。厚生労働省の「まもろうよこころ」には、よりそいホットライン0120-279-338や#いのちSOSの0120-061-338が24時間の受付として並び、こころの健康相談統一ダイヤル0570-064-556は都道府県ごとに曜日と時間が設定されている。電話をかける気力がないときは、あなたのいばしょチャット相談が24時間365日、無料かつ匿名で使える。環境を変えて人との距離を組み替えるという手も含めて、暮らし方の選び方はFLASPOでも扱っている。

よくある質問

別れたあとに孤独感が続くのは普通のことなのか。全国の調査では、孤独感が「しばしばある・常にある」人が4.3%、「時々ある」が15.4%、「たまにある」が19.6%で、約4割が何らかの孤独感を報告している。20歳代では強い孤独感の割合が7.4%まで上がる。珍しい状態ではないが、頻度が高いこと自体は放置してよい理由にはならない。

ひとり暮らしを始めると孤独になるのか。一人暮らしを挙げた割合は孤独感が高い群で18.8%、低い群で8.6%と10.2ポイント差があった。ただしこれは本人が影響を感じた出来事を選ぶ設問であり、原因と結果を分けるものではない。会って話す頻度が週1回未満でも約45%の人は孤独感が低いという結果もあるので、ひとりの時間が増えること自体が決定的とは言えない。

友人とこまめに会えば立て直せるのか。会う頻度が週1回未満の人で強い孤独感を報告したのは11.4%、頼れる人がいない人では21.8%だった。差がつくのは回数ではなく、支えてもらえる相手がいるかどうかの側である。会う約束を増やすより、弱音を言える相手を1人確保するほうが、数字の上では効く。

相談する気になれないときはどうすればよいか。不安や悩みを抱える人の85.1%が支援を受けておらず、その理由の62.6%は必要ではないという自己判断だった。一方で周囲の48.7%は声をかけるつもりがあると答えている。必要かどうかを自分で決める前に、匿名のチャットのような負担の軽い入口を試してみる余地はある。眠れない日や食べられない日が続いているなら、それだけで連絡する理由になる。


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