学校で知り合った人は3割弱で、残りは別の場所から来ている
大学に入ると出会いが増えるという言い方には根拠がある。ただし増えた分がどこに積み上がっているかは、別に数えないと見えてこない。国立社会保障・人口問題研究所が2026年9月に公表した第17回出生動向基本調査 結果の概要は、交際している恋人または婚約者がいる18〜34歳の未婚者に、相手とどこで知り合ったかを11の選択肢でたずねている。
最多の回答は「学校で」で、男性29.5パーセント、女性24.6パーセントだった。ここで目を留めたいのは、首位でありながら3割に届いていないという点である。男性なら残る7割、女性なら残る4分の3は、学校ではない場所で相手と知り合っている。回答者は男性329人、女性496人である。
その残りの内訳は、ひとつずつ見ると小さい。ネットで知り合ったという回答は男性19.8パーセント、女性23.0パーセントと目立つが、それを外すと1桁の項目が並ぶだけになる。小さいから無視できるという話にはならない。履修する授業やゼミの配属を自分で全部決めるのは難しいが、どの活動に出入りするかは決められる。在学中に自分の手で動かせるのは、むしろこの1桁が並ぶ側である。経路ごとの大きな流れは大学生の恋愛事情の記事にまとめたので、ここでは学校とネットを外した内側だけを見ていく。
サークルと習いごとは、男女そろって5.2パーセントにとどまる
新入生歓迎の時期を思い出すと、サークルは出会いの中心にあるように見える。ところが集計上の値はそこまで大きくない。「学校以外のサークル活動やクラブ活動・習いごとで」と答えた割合は、男性5.2パーセント、女性5.2パーセントで、男女が偶然そろって同じ値になった。
この項目を読むときは、選択肢の文言が効いてくる。文言は「学校以外の」と限定されている。学内のサークルや部活、ゼミの延長で始まった付き合いは「学校で」の側に数えられるため、さきほどの5.2パーセントは学外のサークル、社会人も混じるクラブ、ピアノや語学といった習いごとだけを集めた値である。学内の活動まで含んだ実感と、この値を直接くらべることはできない。
裏返して読むと、インカレのサークル、地域のスポーツクラブ、資格講座のように学籍の外へ出る活動が、全体で5パーセント前後の交際の出発点を作っているということになる。学内だけで一日が終わっている人からすれば、接点をひとつ足す余地がここにある。関心の種類で集まっている場所ほど最初の会話が続きやすい、という副産物も付いてくる。
アルバイト先は女性で9.5パーセントあり、学校以外では最も厚い
学外の活動のうち、最も多くの学生が実際に身を置いているのはアルバイト先だろう。「アルバイトで」知り合ったという回答は男性5.5パーセント、女性9.5パーセントだった。女性では、学校、ネット、職場や仕事の関係、友人や兄弟姉妹という4つに次ぐ5番目で、1桁の項目のなかでは最大になる。
| 知り合ったきっかけ | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| アルバイトで | 5.5% | 9.5% |
| サークル・クラブ・習いごとで(学校以外) | 5.2% | 5.2% |
| 街なかや旅先で | 4.3% | 4.0% |
| 幼なじみ・隣人 | 2.1% | 1.0% |
| 結婚相談所で(オンラインを含む) | 1.8% | 1.4% |
| 見合いで(親せきや上役の紹介を含む) | 0.0% | 1.4% |
男女で4ポイント開いているのは、この項目だけに見られる差である。勤め先の業種や、同じ時間帯に何人で入るかによって、顔を合わせる相手の数はかなり変わる。接客の現場のように常に複数人で回す職場と、ひとりで完結する在宅の作業では、同じ時間を働いても接点の数がそろわない。シフトの入り方が交友の範囲を決めている面がある。
アルバイトは収入のために選ぶものだが、人と会う機会という点でも結果が出ている。何を得られるかという整理はアルバイトで得るものの記事に譲るとして、週に何回どの時間帯に入るかという一見事務的な選択が、この9.5パーセントや5.5パーセントの中身を左右している。
街なかや旅先は4パーセント台、幼なじみは2パーセントを切る
残りの項目も押さえておくと、全体の形が決まる。「街なかや旅先で」は男性4.3パーセント、女性4.0パーセントだった。この項目には読み方の注意がひとつ付く。報告書は、その他の自由記述のうちコンパや飲み会といった記述をここへ振り分けたと明記している。飲み会で知り合ったという話は、この4パーセント台のなかに入っている。
「幼なじみ・隣人」は男性2.1パーセント、女性1.0パーセントで、2パーセント前後にとどまる。地元の関係がそのまま交際につながる例は、数のうえでは小さい。「見合いで」は男性0.0パーセント、女性1.4パーセント、「結婚相談所で」は男性1.8パーセント、女性1.4パーセントだった。第15回の調査まで細っていたこの2つは、今回わずかに持ち直している。
街コンなどの自由記述は結婚相談所の側へ振り分けた、という注記も付いている。項目名から受ける印象と集計の中身がずれている箇所なので、結果の概要の図表2-4から値を引くときは、図の下にある注まで読む必要がある。どの経路が何を含んでいるかを確かめないと、自分の体験と数字が噛み合わない。
結婚した夫婦の側で見ると、同じ小さな経路はさらに薄くなる
在学中の経路にどこまで力を入れるかは、その先の数字と並べると判断しやすい。同じ調査は、調査時点から過去5年間に結婚した初婚どうしの夫婦570組にも、知り合ったきっかけを同じ選択肢でたずねている。
夫婦の側では、サークル・クラブ・習いごとが4.6パーセント、アルバイトが4.7パーセント、街なかや旅先が3.9パーセント、幼なじみ・隣人が1.6パーセント、見合いが1.1パーセントだった。恋人がいる未婚者の値とくらべると、どの項目もわずかに下か同じ水準に収まる。学校も14.0パーセントまで落ちる。学生のうちに使える場は、卒業したあとでは細っていく。
例外は結婚相談所で、前回の6.7パーセントから7.7パーセントへ伸びた。オンラインの仕組みを備えた相談所の利用が増えたと報告書は説明している。在学中にすぐ使う場ではないが、年齢が上がるにつれて仲介そのものを買う人が出てくる、という形は読み取れる。学籍の外へ出る活動という点では、地域の課題に学生が提案を持ち込むFLASPOのような場も同じ枠に入る。交際の有無そのものの数え方は大学生の恋愛とはの記事で扱っている。
よくある質問
学内のサークルで知り合った場合は、どの項目に入りますか。
「学校で」に入る。選択肢が「学校以外のサークル活動やクラブ活動・習いごとで」と限定されているため、学内の活動は学校の側で数えられている。記事で挙げた5.2パーセントは、学外の活動だけを集めた値である。
この内訳は大学生だけを集めたものですか。
違う。対象は恋人または婚約者がいる18〜34歳の未婚者で、学生も社会人も含まれている。学生だけに絞った内訳は公表されていない。在学中に限れば、学校とサークルの比率はこれより高くなると考えるのが自然である。
「街なかや旅先で」には何が含まれますか。
街や旅先での偶然の出会いに加えて、自由記述のうちコンパや飲み会にあたる記述が振り分けられている。合コンや結婚式の二次会は、こちらではなく「友人や兄弟姉妹を通じて」の側である。
学校以外の経路を増やすなら、何から手をつけるとよいですか。
数字のうえで最も厚いのはアルバイト先で、女性では9.5パーセントに届く。次に学外のサークルや習いごとが5パーセント前後で続く。新しい場所を探すより、すでに関わっている活動の種類をひとつ増やすほうが、続けやすく結果も出やすい。
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