恋人の有無を数える前に、相手がいない人の多さを見ておく
同級生の話を聞いていると、付き合っている人といない人が半分ずつくらいに見えてくる。全国の数字はそうなっていない。国立社会保障・人口問題研究所が2026年9月に公表した第17回出生動向基本調査によれば、18〜34歳の未婚者のうち異性の交際相手をまったくもたない人は男性で74.0パーセント、女性で65.4パーセントだった。ここでいう交際相手には、婚約者も恋人も異性の友人も含まれる。
大学生の多くが入る20〜24歳で見ても、相手がいない割合は男性70.6パーセント、女性63.6パーセントである。調査は2025年6月に実施され、独身者調査の有効票は6,756票だった。学年や学部という枠を外して全国で数えると、相手がいない状態のほうが標準に近い位置にある。
この数字を先に置くのは、比較の基準を取り違えないためである。恋人がいないことを例外のように感じると、焦りだけが手元に残る。実際には多数の側であり、そこから何をどう動かすかという話に進める。「大学生の恋愛」という言い方も、交際中の人の事情だけを指しているわけではない。
入学から卒業までの4年間で、割合は目に見えて動く
年齢をひとまとめにすると、在学中に起きている変化が平均に埋もれてしまう。同じ調査を年齢別に並べると、恋人または婚約者がいる割合は18〜19歳の男性で15.2パーセント、女性で19.8パーセントである。これが20〜24歳になると男性23.3パーセント、女性30.7パーセントまで上がる。
上がり方は男女で形が違う。女性は18〜19歳から20〜24歳にかけて約11ポイント増え、25〜29歳の32.8パーセントまでなだらかに続く。男性は20〜24歳の23.3パーセントから25〜29歳の23.9パーセントまでほぼ横ばいで、伸びは20代前半で止まる。入学直後の状態が4年後の状態をそのまま決めていない点は、どちらにも当てはまる。
| 年齢 | 恋人または婚約者がいる(男/女) | 交際相手がいない(男/女) | 恋人との交際経験がある(男/女) |
|---|---|---|---|
| 18〜19歳 | 15.2%/19.8% | 77.7%/72.9% | 45.0%/44.2% |
| 20〜24歳 | 23.3%/30.7% | 70.6%/63.6% | 58.8%/60.0% |
| 25〜29歳 | 23.9%/32.8% | 70.1%/61.0% | 57.1%/67.2% |
| 18〜34歳全体 | 19.6%/27.8% | 74.0%/65.4% | 56.6%/61.5% |
表のいちばん右の列は、現在の交際ではなく過去の経験をたずねた結果である。18〜19歳では男女とも4割台だった値が、20〜24歳では男性58.8パーセント、女性60.0パーセントになる。在学中に初めて交際を経験する人が一定数いるという形で、この段差は読める。客体数は20〜24歳で男性575、女性648だった。
いま相手がいるかと、付き合った経験があるかは別の軸である
二つの列を並べると、あいだに大きな隙間があることに気づく。20〜24歳で恋人または婚約者がいるのは男性23.3パーセント、女性30.7パーセントだが、恋人として交際した経験がある人は男性58.8パーセント、女性60.0パーセントいる。差の分は、過去に交際があって調査時点では相手がいない人である。
この隙間があるために、現在の有無から経験の有無を推し量ることはできない。周囲を見て自分だけが経験していないように思える場面はあるが、同じ年齢で経験のない人は男性39.7パーセント、女性38.3パーセントを占める。18〜19歳では男性53.1パーセント、女性54.3パーセントが経験なしだった。入学の時点では、半数以上が未経験の側にいる。
経験の割合は前回の2021年調査から下がっている。18〜34歳全体では男性が60.0パーセントから56.6パーセントへ、女性が64.8パーセントから61.5パーセントへ減った。下げ幅がとくに大きいのは18〜19歳で、男性は52.0パーセントから45.0パーセント、女性は51.2パーセントから44.2パーセントへ動いた。高校までに交際を経験してくる人が減り、その分が大学の4年間に移っているとも読める。
相手がいない理由は、一つにまとめられない
相手がいないという回答を、探しているのに見つからない状態だと読むのは早い。第14回調査以降は、交際相手のいない未婚者に交際の希望もたずねている。2025年の調査では、18〜34歳の未婚男性の35.7パーセント、未婚女性の35.3パーセントが「とくに異性との交際を望んでいない」と答えた。未婚者全体を分母にした割合である。
20〜24歳でも傾向は同じで、望んでいないと答えた割合は男性36.0パーセント、女性33.8パーセントだった。18〜19歳では男性36.0パーセント、女性39.1パーセントである。若いほど望まない人が少ないという関係にはなっていない。報告書は、交際自体を望まない割合が多くの年齢層で増えていると指摘している。
つまり、相手がいない7割前後という塊は、希望している人と希望していない人が混ざっている。前者で問題になるのは出会いの機会のほうで、後者には時間の別の使い道がある。学外の活動を通して人と関わる道もあり、地域の課題に学生が提案を持ち込むFLASPOのような場は、交際を目的にしなくても接点が増える場所として働く。恋愛だけが人間関係の入口ではない。
調査が測っている範囲を知ると、言葉の輪郭が決まる
数字を引くときは、設問が何をたずねたのかまで確かめておきたい。この調査の設問は「あなたには、交際している異性がいますか」で、選択肢は交際している異性はいない、友人として交際している異性がいる、恋人として交際している異性がいる、婚約者がいるの四つだった。異性を前提にした聞き方なので、同性との交際はこの集計の外側に置かれている。
同性との交際については、別に数字が示されている。18〜34歳の未婚者のうち同性との交際経験をもつ割合は、前回調査が男性1.0パーセント、女性2.0パーセントで、2025年の調査では男性0.8パーセント、女性3.0パーセントだった。本体の集計に合算されていないだけで、たずねられていないわけではない。
もう一つ押さえておく範囲は対象者である。この調査は未婚者を対象としており、学生だけを抜き出した集計ではない。20〜24歳の回答者には働いている人も含まれる。在学中の事情に限った話が必要な場面では、別の調査を重ねて見るほうが確かである。20代の住まいと移動は若者の一人暮らしと単独世帯に、時間の配り方は若者の時間管理が効きやすい理由にまとめてある。
よくある質問
在学中に交際経験がないと遅いのか。この調査からは、そうした基準は出てこない。20〜24歳で経験のない人は男性39.7パーセント、女性38.3パーセントで、25〜29歳でも男性42.3パーセント、女性31.5パーセントが未経験である。年齢が上がっても未経験の層は残り、しかも前回調査より増えている。経験の有無を期限つきの課題として扱う根拠は、数字の側にはない。
男女で割合が違うのはどう考えればよいか。恋人または婚約者がいる割合は20〜24歳で女性のほうが7.4ポイント高い。この調査は未婚者だけを対象にしているため、同年齢の交際相手が年上である場合や既婚者である場合は、男性側の分母に反映されにくい。男女差をそのまま出会いやすさの差と読むと行き過ぎになる。
学年が上がれば自然に相手ができるのか。割合は上がるが、上がり幅には限りがある。男性の場合は20〜24歳の23.3パーセントから25〜29歳の23.9パーセントでほぼ止まる。女性も25〜29歳の32.8パーセントが最も高く、30〜34歳では20.7パーセントに下がる。時間が経てば解決するという形の変化ではない。
この数字はいつの時点のものか。調査の実施は2025年6月で、結果の概要が公表されたのは2026年9月11日である。独身者調査は配票15,811票に対して有効票6,756票、有効回収率42.7パーセントだった。前回の第16回は2021年の実施で、比較に使った数値はすべてその回のものである。1982年の第8回から続く調査なので、長い時間の変化も同じ定義で追える。
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