フリーランスの仕事内容|物品47.0%と役務53.0%に分かれる実際

フリーランスの仕事内容|物品47.0%と役務53.0%に分かれる実際

募集要項にあたるものが、どこにも見つからない

会社員の求人票には職務内容の欄がある。独立して仕事を受ける側に回ると、その欄に相当する文書が最初から用意されていない。何をどこまで引き受けたのかは、依頼のやりとりの中に散らばったまま進んでしまう。

法律はこの曖昧さを「給付の内容」という言葉で押さえている。2024年11月1日に施行された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律は、第2条第3項で業務委託を二つの行為に分けた。ひとつは物品の製造または情報成果物の作成を委託すること。もうひとつは役務の提供を委託することである。

この二分法は机上の整理ではない。内閣官房らが実施した令和4年度フリーランス実態調査では、集計数2,119名の全員が、自分の仕事を「特定の者から依頼(委託・指示)などを受けて行うもの」と答えている。割合は100.0%。不特定多数へ自作品を売る形とは、出発点から分かれている。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

納めるのは物なのか、動きなのか

同じ調査は、最も収入の多い契約で取引先に提供するものを二択で尋ねている。物品が996名で47.0%、役務が1,123名で53.0%。ほぼ半々に割れた。

調査票は、物品の例として設計図、デザイン、映像データ、調査報告書、プログラムを挙げる。いずれも完成した形が相手の手元に残るものだ。役務の例は営業、接客、通訳、美容師、監督、運送、清掃。こちらは提供した時間と動きそのものが対価の対象になる。

この違いは、見積りの立て方と揉めたときの争点を変える。物品を納める契約では、仕様に合っているかどうかが問われる。役務の契約では、どこまでの範囲をどれだけの時間こなすのかが問われる。「仕事内容」という一語で括られているものの中身が、実はここで二手に分かれている。

どの職業に、どれだけの人がいるのか

同調査は回答者の職業を74区分で集計している。上位に並ぶのは、その他のサービス職業従事者218名、建築・土木・測量技術者206名、情報処理・通信技術者191名、その他専門的職業従事者174名、美術家・デザイナー・写真家・映像撮影者161名という順だ。

職業(上位9区分) 回答数 割合
その他のサービス職業従事者 218名 10.3%
建築・土木・測量技術者 206名 9.7%
情報処理・通信技術者 191名 9.0%
その他専門的職業従事者 174名 8.2%
美術家・デザイナー・写真家・映像撮影者 161名 7.6%
その他の技術者 78名 3.7%
営業職業従事者 73名 3.4%
商品販売従事者 71名 3.4%
著述家・記者・編集者 54名 2.5%

語られる機会の多い書き手や編集者が2.5%にとどまる一方、建築と情報処理の技術者が合わせて二割近くを占める。独立という言葉から連想される職業像と、実際の分布にはずれがある。手を動かす仕事と現場に立つ仕事の比重が、想像よりも重い。

情報成果物という言葉が、輪郭を決めている

物品側の契約で鍵になるのが「情報成果物」である。法律は同条第4項でこれを四つに区切っている。電子計算機に対する指令を組み合わせたプログラム。文字、図形、記号もしくはこれらの結合、またはこれらと色彩との結合により構成されるもの。映画、放送番組その他の影像や音声その他の音響により構成されるもの。そしてこれらに類するもので政令で定めるもの。

四つの区切りは、納品物の性質ごとに検査の仕方が変わることを前提にしている。発注側が守るべき線も、ここから引かれる。内閣官房らのガイドラインは、委託の際に交付する書面において、給付の内容として品目、品種、数量、規格、仕様等を明確に記載する必要があるとしている。

見落とされやすいのは知的財産権の扱いだ。同じガイドラインは、委託した業務の遂行過程で受託側に知的財産権が発生する場合、発注側が委託の目的である使用の範囲を超えて権利の譲渡や許諾まで求めることがあると述べ、その場合は譲渡・許諾の範囲も給付の内容の一部として明確に記載する必要があるとしている。つまり著作権をどこまで渡すかという話は、別件ではなく仕事内容の一部として最初に書かれるべきものである。

裁量は、どこまで自分の側に残るのか

引き受ける範囲が決まったあと、どこで何時にやるかをどれだけ自分で決められるのか。調査はここも段階に分けて尋ねている。

場所の拘束については、すべて自身の裁量で決められるという回答が962名で45.4%。時々は指示や業務の性質で決まるが裁量が多いという層が470名で22.2%。あまり裁量がないが312名で14.7%、裁量が全くないが375名で17.7%だった。時間の拘束もほぼ同じ形で、すべて自身の裁量が965名で45.5%、裁量が全くないが329名で15.5%となっている。

契約の長さも仕事の進め方を左右する。期間の定めのない契約が1,309名で61.8%を占め、2週間未満の短い契約が153名で7.2%、1年以上3年未満が118名で5.6%。期間を区切らない関係が多数派である一方、都度の短い受注で回している層も一定数いる。

2020年2月から3月にかけて内閣官房日本経済再生総合事務局が行ったフリーランス実態調査では、事業者から業務委託を受けて働く3,234名のうち、業務の内容や遂行方法について具体的な指示を受けていると答えた人が36.8%だった。該当するものはないという回答は41.5%。指示の濃さは契約ごとにかなり違う。

書かれていないものは、仕事内容に入らない

令和4年度の調査は、委託内容と提供期限と報酬額のほかに、契約書へ書くことが業務遂行上必須だと考える事項を複数回答で尋ねている。最も多かったのは支払期日の1,058名で49.9%。次いで報酬の支払い方法が808名で38.1%、契約期間が737名で34.8%、報酬額の決定方法が522名で24.6%と続く。

仕事の中身に直接かかわる項目は、やや下に沈んでいる。経費に関する取決めが449名で21.2%、納品の形式や方法および業務の実施場所・時間が428名で20.2%、品質の確認・検査方法が414名で19.5%、成果物に関する権利の取扱いが243名で11.5%。そして「特になし」が693名で32.7%を占めた。

この空白は後から形になって返ってくる。2020年の調査でトラブルを経験した1,220名に内容を尋ねると、発注の時点で報酬や業務の内容などが明示されなかったが37.0%、仕事の業務内容・範囲について揉めたが23.5%、仕様や作業期間・納品日を一方的に変更されたが24.4%だった。範囲の線を引かなかったことが、報酬の問題と同じ比重で表面化している。

受ける前に範囲を文字にしておくことは、交渉というより記録の作業に近い。地域で仕事をつくる人の事例や相談先はFLASPOにも集まっており、同業の契約の立て方を知るだけでも書き落としは減る。受注の経路についてはフリーランスの仕事の取り方、働き方の区分についてはフリーランスの種類で扱っている。

よくある質問

物品と役務のどちらに当たるかは、どう見分けますか。完成物が相手の手元に残るなら物品、提供した行為そのものが対価の対象なら役務です。調査票は設計図やプログラムを物品の例に、通訳や運送を役務の例に挙げています。基本契約のもとで個別に依頼される場合は、個別の依頼ごとに判断します。

仕事内容が固まらないまま始めてほしいと言われたら、どうすればよいですか。法律は、委託の時点で内容が定められない事項がある場合の扱いを別に用意しています。決められるのに決めないことは認められていないため、まず定まっている範囲を書面やメールで残し、未定の部分は定まり次第明示してもらう形にします。

著作権の譲渡は、報酬とは別に話すものですか。ガイドラインは、譲渡や許諾の範囲を給付の内容の一部として明確に記載する必要があるとしています。別件ではなく、引き受ける範囲の一部として最初に決める項目です。

勤務時間や場所を指定されるのは、おかしいことですか。業務の性質から事実上決まる場合もあり、指定そのものが直ちに問題になるわけではありません。ただし裁量が全くないという回答は場所で17.7%、時間で15.5%にとどまります。指示の濃さが雇用に近づくほど、労働関係の法令の適用が検討される領域に入ります。

未経験から始めるなら、どの職業を狙うのが現実的ですか。分布だけを見れば技術者と専門職の層が厚く、短期で参入しやすい領域とは一致しません。独立前にフリーランスのなり方で届出と社会保険の期限を確かめ、受注の経路を先に確保しておく順序が現実的です。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。