大学院に進む若者は増えているのか|在学27万人と進学率12.7%の現在地

大学院に進む若者は増えているのか|在学27万人と進学率12.7%の現在地

在学者は過去最多、それでも進学率はピークに届いていない

院に進む人が減っているという話と、院生が増えているという話は、どちらも同じ年の統計から出てくる。文部科学省の令和7年度学校基本調査(確定値)によると、大学院の在学者数は277,132人で、前年度より5,493人増え、過去最多となった。大学全体の在学者2,972,412人のうち9.3%がここに含まれる。数の上では、大学院は縮んでいない。

一方で、学部を出てすぐ進む人の割合は別の動きをしている。同じ調査で令和7年3月の学部卒業者584,304人のうち進学者は74,329人、進学率は12.7%だった。前年度より0.1ポイント上がっているが、資料の図では平成22年3月の15.9%が最高値として示されており、そこには15年たっても戻っていない。なお、ここでいう進学者には大学院研究科だけでなく、大学学部、短期大学本科、専攻科・別科、専修学校、外国の学校へ入った人も含まれる。院だけを取り出した数字ではない点は押さえておきたい。進学そのものの損得をどう見積もるかは大学院進学で得られるもので学歴別の賃金から整理している。

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課程ごとに、人数の形がはっきり違う

大学院とひとくくりに言っても、中身は三つに分かれている。修士課程の在学者は174,961人で前年度より3,292人増え、博士課程は79,560人で1,843人増、専門職学位課程は22,611人で358人増だった。修士が全体の6割強を占め、博士が3割弱、専門職学位課程が1割弱という配分である。設置している大学の数も課程ごとに違い、大学院を置く大学669校のうち、修士課程を置くのが637校、博士課程が469校、専門職学位課程が121校となっている。

女子学生の割合には、課程をまたいだ傾向が出る。大学院全体では91,946人で33.2%、修士課程は31.8%、博士課程は35.1%、専門職学位課程は36.9%だった。学部の46.1%と比べると、どの課程も10ポイント前後低い。進学の判断が性別によって違う形で働いていることを、この差は示している。

設置者の構成も学部とは逆向きである。大学院在学者277,132人のうち国立大学が158,642人、公立が18,410人、私立が100,080人で、国立の割合は57.2%にのぼる。学部では2,645,837人のうち私立が2,060,457人で77.9%を占めるので、進学先を探す段になると、それまで通っていた大学の種類とは違う側に候補が多く並ぶことになる。研究設備や教員数が国立に寄っている分野では、この偏りがそのまま選択肢の形になる。

課程 在学者数 前年度差 女子比率 設置校数
大学院計 277,132人 +5,493人 33.2% 669校
修士課程 174,961人 +3,292人 31.8% 637校
博士課程 79,560人 +1,843人 35.1% 469校
専門職学位課程 22,611人 +358人 36.9% 121校
令和7年度学校基本調査(確定値)より作成

博士課程に入る人の四割は、学生から続けて来た人ではない

在学者の総数だけを見ていると、誰が入ってきているのかを見落とす。文部科学省が中央教育審議会大学分科会大学院部会に出した大学院関連参考資料集(令和7年12月8日時点)は、博士課程入学者のうち社会人以外の入学者数が平成15年度をピークに大幅に減少したこと、社会人の割合が平成15年度の2割から令和6年度には4割に増加したことを記している。博士課程の人数が横ばいに見えても、構成は20年で入れ替わってきた。

修士課程の動きはこれと違う。同じ資料は、修士課程の入学者が平成22年度をピークに減少したあと近年は回復傾向にあり、社会人以外の入学者数が令和2年度以降は増加傾向にあると説明している。つまり若い層の流入が戻ってきているのは修士の側で、博士の側では職業を持つ人の比重が増したという対照になる。同じ「大学院生」という言葉の下に、二十二歳で入ってくる人と、十年働いてから入ってくる人が並んでいる。

職業を持つ人の比重がいちばん高いのは専門職学位課程である。同じ資料集によれば、令和6年度の専門職大学院の入学者は9,461人で、在学生22,253人のうち社会人学生は11,484人、およそ5割を占める。平成15年度には在学生645人のうち社会人560人という小さな規模から始まった課程が、20年かけて社会人の受け皿になった形である。

修士号を取る人の数は、国際的には少ないままである

国内の増減だけでは、水準の高低はわからない。先の資料集が引く文部科学省科学技術・学術政策研究所の科学技術指標2025では、人口100万人当たりの修士号取得者数は日本が2022年度で602人だった。英国の6,057人が最も多く、米国2,649人、ドイツ2,430人が続く。日本を除いて最も少ないのが中国の655人で、日本はそれも下回っている。

変化の方向も同じではない。2010年度と各国の最新年度を比べると、日本は2%減、韓国は4%増、その他の国は10%以上増えており、英国は64%増、中国は164%増だった。博士号では日本が123人で、英国355人、韓国342人、ドイツ314人という並びになり、2010年度比では日本が6%減、韓国が61%増、米国が31%増である。学位を取る人を増やした国と、増やさなかった国の差が、この15年で開いた。

修士を終えた人が、どこへ出ていくのか

入口の話だけでは進学の判断材料にならないので、出口も見ておく。令和7年3月の修士課程修了者は77,633人で、就職者は60,674人、修了者に占める割合は78.2%だった。前年度より0.3ポイント下がっている。博士課程などへ進んだ人は8,670人で11.2%、こちらは0.3ポイント上がった。

気をつけたいのは残りである。進学でも就職でもないことが明らかな人は7,818人で、修了者の10.1%にあたる。同じ年の学部卒業者では就職者割合が77.0%、進学でも就職でもない人が7.2%なので、修士を終えた側のほうがこの区分が3ポイントほど厚い。学位がそのまま進路の保証になるわけではないという意味で、ここは正面から見ておく値だと言える。費用の側から見た比較は大学院進学のデメリットに、在学中の資金繰りについては奨学金と若者にまとめてある。若い世代の進路と地域の関わりを扱うFLASPOでも、学びの選択は働き方と切り離せない話として扱っている。

よくある質問

大学院生は全国に何人いるのか。令和7年5月1日現在で277,132人である。修士課程174,961人、博士課程79,560人、専門職学位課程22,611人という内訳で、いずれも前年度より増えている。

大学院への進学率は上がっているのか。学部卒業者の進学率は12.7%で前年度より0.1ポイント上昇した。ただし調査資料の図に最高値として示されている平成22年3月の15.9%には届いていない。修士課程修了者から博士課程などへの進学率は11.2%である。

分野によって違いはあるのか。先の資料集は、学士課程修了者の進学率が理学・工学・農学系で増加傾向にあると記している。分野別の進学率の推移が別のグラフで示されており、全体の数字だけで自分の分野を判断しないほうがよい。

働いてからでも入れるのか。学校教育法施行規則第155条第1項第8号は、大学院が個別の入学資格審査によって大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた22歳以上の人に入学資格を認めている。実際に博士課程では入学者の4割が社会人である。


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