「若者のフリーランス」と「学生のフリーランス」は別の層である
同じ20歳前後を指す言葉でも、統計の上では位置が違う。総務省統計局の統計Today No.197は令和4年就業構造基本調査の結果から、本業がフリーランスの人は209万人で有業者の3.1パーセントだと報告している。20歳から24歳ではこれが3万1,400人、同じ年齢の有業者に占める割合は0.7パーセントになる。
さらに下の年齢は表に出てこない。同じ資料は、数値が1万人未満の15歳から19歳は表章していないと注記している。つまり高校生や大学1年生にあたる層は、集計の単位として成り立たないほど少ない。
この薄さが何を意味するかというと、制度がその層に合わせて作られていないということである。確定申告の様式も、健康保険の扶養の判定も、年金の免除の基準も、まず「働く大人」と「その扶養に入る学生」を前提に設計されている。在学中に自分で稼ぐ人は、どちらの型にも半分ずつ当てはまる。
だから在学中に始めるときに確かめるべきなのは、仕事の取り方よりも先に、自分がどの区分で数えられているかである。そして区分の多くは、年齢と在学という二つの条件で切れる。
国民年金は、在学中だけ所得の天井が高い
20歳になると、学生でも国民年金の保険料を納める義務が生じる。ここで使えるのが学生納付特例で、日本年金機構の国民年金保険料の学生納付特例制度によれば、前年の所得が128万円に扶養親族等の数×38万円と社会保険料控除等を足した額以下であれば、保険料の納付が猶予される。
見落としやすいのは、判定に使うのが本人の所得だけだという点である。親の収入は関係しない。大学、大学院、短大、高専、専修学校の学生が対象で、夜間や通信課程も含まれる。申請は年度ごとに必要で、申請時点から2年1か月前までの期間なら遡って出せる。
在学中の128万円という天井は、卒業すると一気に下がる。保険料免除・納付猶予の制度に移ると、納付猶予の基準は扶養親族等の数に1を足した数×35万円+32万円となり、単身なら67万円である。学生のうちに所得110万円でも猶予されていた人が、卒業した翌年には同じ所得で猶予から外れる。
猶予は免除ではない。承認を受けた期間は老齢基礎年金の受給資格期間である10年以上には含まれるが、年金額の計算の対象となる期間には含まれない。承認から10年以内であれば遡って納められるものの、承認を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされる。在学中に猶予を使った人が社会人2年目に追納すると安く済む、という逆算が成り立つ。
健康保険の扶養は、19歳から23歳未満だけ150万円になった
2025年の秋に、親の健康保険に入り続けられる収入の線が動いた。日本年金機構の19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件についてによれば、扶養認定日が令和7年10月1日以降の場合、19歳以上23歳未満の被扶養者の年間収入要件は130万円未満から150万円未満に変わった。被保険者の配偶者は対象外である。
年齢の判定は、認定日が属する年の12月31日時点で行う。その年の11月に19歳になる人も、令和7年の要件としては150万円未満が適用される。逆に23歳の誕生日を迎える年は、12月31日時点で23歳なら130万円未満に戻る。
収入要件以外は変わっていない。同居している場合は被保険者の年間収入の半分未満、別居なら仕送り額より少ないことが条件として残る。たとえば親の年間収入が260万円なら、その半分である130万円が実際の天井になり、150万円という枠は使いきれない。実家で暮らしているあいだは、自分の収入だけでなく親の収入の側にも上限が置かれていることを忘れないほうがよい。
経過的な扱いにも注意がいる。令和7年10月1日より前の期間を後から届け出て認定する場合は130万円未満で判定し、9月30日以前に認定済みで10月以降に年間収入が150万円以上見込まれる場合は、削除の届出が必要になる。
年齢と在学で切れる線を、一枚に並べる
ここまでに出てきた基準は、管轄も根拠法も違うのに、どれも同じ時期に切れる。並べると、卒業という一点に何が集まっているかが見える。
| 制度 | 基準 | 切れる条件 |
|---|---|---|
| 国民年金の学生納付特例 | 前年の所得128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等 | 学校に在学しなくなったとき |
| 国民年金の納付猶予(50歳未満) | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円。単身なら67万円 | 50歳に達したとき |
| 健康保険の被扶養者 | 年間収入150万円未満(19歳以上23歳未満) | 12月31日時点で23歳になった年から130万円未満 |
| 特定扶養親族としての扶養控除 | 本人の合計所得金額58万円以下で親の控除63万円 | 19歳以上23歳未満の範囲を外れたとき |
| 特定親族特別控除 | 本人の合計所得金額58万円超123万円以下で段階的 | 同じく19歳以上23歳未満の範囲を外れたとき |
| 勤労学生控除 | 合計所得金額85万円以下で27万円(令和7年分) | 学生でなくなったとき |
税の側の数字は国税庁の扶養控除と勤労学生控除に拠っている。表の右の列を縦に読むと、22歳から23歳のあいだと、卒業の前後に、ほとんどの線が重なって切れることが分かる。
制度ごとの詳しい扱いは学生フリーランスの始め方が、人数と選ぶ理由の分布は若者とフリーランスが補ってくれる。
卒業の前に、切れる順番を日付で書き出す
線が同時に切れるからこそ、順番を先に決めておく価値がある。卒業の年にやることは三つに分かれる。前年分の確定申告、健康保険の切り替え、年金の区分の変更である。
確定申告は翌年2月16日から3月15日で、卒業式の前後に当たる。この申告で確定した前年の所得が、その後の年金の猶予判定にも、親の控除にも使われる。だから3月に出す書類は、卒業後の自分の条件を決める書類でもある。
健康保険は、親の被扶養者から外れるなら国民健康保険か、取引先との関係によっては別の選択になる。年金は学生納付特例から納付猶予へ、あるいは通常の納付へ切り替わる。どちらも自動では動かないため、在学最後の冬に市区町村と年金事務所の窓口で必要書類を聞いておくと、4月に慌てない。
そして追納の計画を立てておく。学生納付特例を使った期間は、承認から10年以内なら納められる。社会人になって収入が安定した年にまとめて納めると、加算額はつくものの年金額には反映される。在学中に猶予を選ぶことは、将来の支払いを先送りする判断であって、免除してもらう判断ではない。この違いを理解していれば、在学中に稼ぐ金額の目標も立てやすくなる。地域で働く選択肢を広く見ておきたいときはFLASPOも参考になる。
よくある質問
学生納付特例は、業務委託の収入でも使えますか。使える。判定は本人の前年の所得で行うため、事業所得でも給与でも同じ基準に乗る。経費を引いた後の所得で見るので、記帳しておけば判定上も有利に働く。
親の健康保険から外れたら、何が変わりますか。保険料を自分で納めることになり、市区町村の国民健康保険なら前年の所得に応じた額が課される。医療を受ける際の負担割合は変わらないが、月々の支出が増えるため、外れる前に金額の見当をつけておく。
年齢の判定は、誕生日の当日で切り替わるのですか。健康保険の被扶養者の収入要件については、認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定する。税の控除も同じくその年の12月31日の状況で判断するため、年の途中の誕生日ではなく年末の状態で考える。
卒業後すぐに専業にする場合、先に出す書類は何ですか。年金の区分の変更と健康保険の加入の二つを、資格を失った日から速やかに届け出る。あわせて前年分の所得が確定しているかを確認する。所得の証明がないと、猶予や軽減の判定が進まない。
在学中に所得が150万円を超えそうなときは、どうしますか。超える見込みが立った時点で、親に共有して健康保険の削除の届出を確認する。年末にまとめて越えるのと年初から越えるのでは手続きの重さが違うため、受注量を調整できる立場なら、月ごとの積み上がりを見ながら決めるほうが穏やかである。
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