購入型クラウドファンディングとは|通信販売として守る表示と通知

購入型クラウドファンディングとは|通信販売として守る表示と通知

支援が先、発送が後。この順番がルールの形を決めている

支援が集まるのは募集の期間中で、品物を渡すのはそれが終わったあとだ。順番が入れ替わっているこの構造が、購入型を他の型と分けている。お金を受け取った時点では、まだ何も渡していない。先に成立しているのは約束だけである。

法律がこの形に用意しているのは、通信販売の枠組みだ。画面越しに申込みを受け、代金を先に受け取り、後から商品を送る。通販サイトで買い物をするときの流れと変わらないので、渡す側に求められることも同じ系統になる。「支援」という言葉で呼んでいても、見返りを約束した口については売買または役務の提供として扱われる。

この枠に入ると、やることが具体的に決まってくる。申込みの画面に何を出すか、前払いを受けたときに何を伝えるか、返したいと言われたらどうするか、そして集まった額のうち何が残るか。以下はこの四つを順に追っていく。どれも募集を始めてからでは直せない項目なので、ページを書く段で片付けておきたい。

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申込みの画面に出す項目は、条文に並んでいる

通販の最終確認画面を思い出してほしい。金額と個数と、いつ届くかが並んでいるはずだ。あれは売る側の親切ではなく、条文の要求である。

特定商取引法第12条の6第1項は、販売業者又は役務提供事業者が特定申込みを受ける場合には、その書面又は手続が表示される映像面に、販売する商品若しくは特定権利又は提供する役務の分量と、同法第11条第1号から第5号までに掲げる事項を表示しなければならないと定める。同条第2項は、その画面において、書面の送付や手続に従った情報の送信が申込みとなることについて人を誤認させるような表示、および前項各号の事項について人を誤認させるような表示をしてはならないとしている。

誇張を止める線はもう一本ある。不当景品類及び不当表示防止法第5条第1項は、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について、品質や規格その他の内容が実際のものよりも著しく優良であると示す表示(第1号)や、価格その他の取引条件が実際のものより取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示(第2号)をしてはならないと定める。達成後の展望を強い言葉で書きたくなる場面で、ここが効いてくる。

学生の単発の企画が条文上の販売業者に当たるかどうかは、継続性と営利性の見方で分かれる。ただ、当たらない場合でもこの並びは捨てられない。支援者が申し込む前に知りたいことの一覧がそのまま載っているからだ。とくに引渡しの時期は、人数と単価から目的を立てる段で決まっていないと、募集ページの空欄として残ってしまう。

前払いを受けた時点で、通知の義務が立ち上がる

支援が入ってから品物が届くまで、数か月空くことがある。その空白をどう扱うかも条文に書いてある。

特定商取引法第13条第1項は、商品の引渡しに先立って代金の全部又は一部を受領することとする通信販売をする場合において、郵便等により申込みを受け、かつ代金の全部又は一部を受領したときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、その申込みを承諾する旨又は承諾しない旨その他の主務省令で定める事項を書面により通知しなければならないと定める。ただし、代金を受領した後に遅滞なく商品を送付したときは、この限りでないとされている。

同条第2項は、申込みをした者の承諾を得れば、書面による通知に代えて政令で定めるところにより電磁的方法で提供でき、その場合は書面による通知をしたものとみなすと定める。メールで足りるのはこの規定による。

購入型の募集はほとんどが前払いなので、原則の側に入る。実務ではプラットフォームが送る受付の自動メールがこの役割を担っていることが多い。ただし、口ごとに自分たちで足した約束、たとえば冊子に名前を載せるという類のものは、自動メールには書かれない。何をいつ渡すのかを別に伝えておくと、募集の終盤に来る問い合わせがはっきり減る。

八日間の撤回は、広告に特約を書いたかどうかで消える

「届いたものがイメージと違ったので返したい」と言われたときに何と答えるか。これは募集を始める前に決めておく必要がある。

特定商取引法第15条の3第1項は、通信販売をする場合の商品又は特定権利の販売条件について広告をした販売業者が売買契約の申込みを受けた場合のその申込みをした者、または売買契約を締結した場合の購入者は、その契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から起算して八日を経過するまでの間、申込みの撤回又は契約の解除を行うことができると定める。ただし、販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合は、この限りでないとされている。

同条第2項は、撤回や解除があった場合に、商品の引取り又は返還に要する費用は購入者の負担とすると定める。返送の送料まで集める側が持つわけではない。

読み替えると、返品を受けない方針を取るならそれを広告に書いておく必要がある、ということになる。書かなければ八日間の撤回が付いてくる。手作りの品や、現地でしか使えない体験を返されて困るのは渡す側なので、特約を置くかどうかはリターンの性格ごとに決めることになる。

残る額は、原価と税の二段で削られていく

目標額をいくらに置くかという話は、ここを通らないと決まらない。集まった額と使える額は別物である。

まず税の側を押さえておく。消費税法第5条第1項は、事業者は国内において行った課税資産の譲渡等につき消費税を納める義務があると定める。リターンの提供は対価のある譲渡なので、この課税の対象に入る形になる。もっとも同法第9条第1項は、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者(適格請求書発行事業者を除く)については、第5条第1項の規定にかかわらず納税義務を免除すると定めている。学生の企画の規模なら、通常はこの免除の側に収まる。

削られ方の実感は、口ごとに並べると見えてくる。サイトと決済の手数料を合わせて2割と置いた場合の内訳が次のかたちになる。

口ごとの内訳(手数料を2割と置いた一例) 1,000円の口 3,000円の口 5,000円の口
支援額 1,000円 3,000円 5,000円
リターンの原価 100円 600円 1,500円
送料・梱包 140円 400円 800円
サイトと決済の手数料 200円 600円 1,000円
手元に残る額 560円 1,400円 1,700円
残る割合 56% 約47% 34%

同じ割合の手数料でも、原価の重い口のほうが手元に残る比率は下がる。1,000円の口で56%、5,000円の口で34%という開きが出る。「高い口を作れば楽になる」とは限らないのはこのためだ。必要額を先に決めて、口ごとの残る額を足し上げて目標を組むほうが、後の計算が合う。手順そのものは学園祭の予算の組み方と変わらず、収入の名目ごとに扱いが分かれる点は収入源の整理と同じである。企画の設計から相談したい場合はFLASPOでも受け付けている。

よくある質問

有料の品を返すと、学生でも事業者として扱われるのですか。継続性と営利性で判断が分かれる領域なので、一回限りの企画が必ず該当するとは言えません。ただし表示の項目や引渡時期の明記は、該当するかどうかにかかわらず支援者が求める情報なので、揃えておくのが安全です。

送料は支援額に含めたほうがいいですか。含めるか別に取るかは選べますが、どちらにするかを画面で分かるように書いてください。条文も、販売価格に送料が含まれない場合は販売価格および送料を示すという形で、両方の扱いを想定しています。

発送の時期をまだ書けないときはどうしますか。書けないなら募集を始める時期が早すぎます。制作と発送の見通しが立たないうちに口を開けると、集まったあとに相手を待たせる構図になります。月の単位でよいので、確定した時期を置いてから公開してください。

返品を受けない方針にしてよいですか。方針として取ることはできますが、その特約を広告に表示しておく必要があります。表示を欠いたまま断ると、八日間の撤回の対象として扱われます。

消費税の免除に収まるかどうかは何を見れば分かりますか。基準期間における課税売上高が千万円以下かどうかです。団体として継続的に売上がある場合は過去の実績を確認し、判断がつかないときは税務署か税理士に当たってください。推測で処理しないほうが後が楽です。


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