寄付型クラウドファンディング|支援者に控除が届く相手は限られる

寄付型クラウドファンディング|支援者に控除が届く相手は限られる

渡すものがない型だからこそ、相手の資格が前に出る

購入型と並べたときの寄付型の利点は、手間の少なさに見える。原価のある品を作らず、梱包も発送もなく、集まった額の多くがそのまま活動に回る。ところが募集ページを書き始めると、購入型では出てこなかった質問が届く。「この寄付は控除の対象になりますか」である。

見返りを渡さないぶん、支援者が受け取れるものは税の側にしか残らない。そしてその有無は、集める側の熱意でも活動の公益性でもなく、受け取る団体が法律上どういう資格を持っているかで決まる。同じ内容の活動でも、法人格の形が違えば支援者の手取りが変わるという、少し身構える構造になっている。

ここを曖昧にしたまま「寄付型」という言葉を使うと、支援者に期待させて終わる。以下では、控除の対象になる相手の範囲、認定を受けた法人だけが持つ選択肢、その資格を持つ法人が実際にどれだけあるか、そして受け取った側に残る扱いという順に確かめていく。

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控除が効く相手は、条文で数え上げられている

支援者が確定申告で引けるかどうかは、善意の量とは無関係に決まる。根拠の条文が、相手を名指しで限定しているからだ。

所得税法第78条第1項は、居住者が各年において特定寄附金を支出した場合に、その年中に支出した特定寄附金の額の合計額(その者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の40%に相当する金額を超える場合には、その40%に相当する金額)が2,000円を超えるときは、その超える金額を総所得金額等から控除すると定める。

効いているのは「特定寄附金」という限定である。同条第2項は、これを四つに絞って列挙している。国又は地方公共団体に対する寄附金(第1号。寄附をした者がその寄附によって設けられた設備を専属的に利用するなど、特別の利益が及ぶと認められるものは除かれる)、公益社団法人・公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち、広く一般に募集されることと、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であることを満たすものとして財務大臣が指定したもの(第2号)、別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち政令で定めるものに対する、その法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(第3号)、公益信託の信託財産とするために支出した寄附金(第4号)である。学校の入学に関してするものは、全体から除かれている。

寄付を受け取る相手 支援者の所得税での扱い 根拠
国又は地方公共団体 特定寄附金として所得控除 所得税法第78条第2項第1号
財務大臣が指定した寄附金の相手 特定寄附金として所得控除 同項第2号
別表第一の法人等のうち政令で定めるもの 特定寄附金として所得控除 同項第3号
公益信託の信託財産とするための寄附 特定寄附金として所得控除 同項第4号
認定・特例認定を受けたNPO法人 所得控除と税額控除から選べる 租税特別措置法第41条の18の2
認証だけのNPO法人 国税の控除はなし。住民税は条例次第 地方税法第37条の2第1項第4号
サークル・実行委員会などの任意団体 控除なし 第78条第2項のいずれにも当たらない

表の最後の行が、学生の企画がふつうに置かれる位置だ。サークルや実行委員会の名義で集めた寄付は、第78条第2項のどの号にも当たらない。活動が公益的であっても、法人格がなければ特定寄附金にはならない。

認定を取った法人だけが、控除の形を選べる

同じNPOという言葉で呼ばれていても、税の扱いが二段に分かれている。分岐点は認証ではなく認定のほうにある。

租税特別措置法第41条の18の2第1項は、個人が認定特定非営利活動法人等、つまり特定非営利活動促進法第2条第3項の認定特定非営利活動法人および同条第4項の特例認定特定非営利活動法人に対し、その法人の行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附をした場合には、その支出金を所得税法第78条第2項に規定する特定寄附金とみなして同法の規定を適用すると定める。

同条第2項はもう一つの道を開いている。その年中に支出した特定非営利活動に関する寄附金の額の合計額が2,000円を超える場合には、その超える金額の40%に相当する金額を、その年分の所得税の額から控除する。ただし控除する額は、その年分の所得税の額の25%に相当する金額を限度とする。所得から引くか税額から引くかを、支援者の側が選べるという形になっている。

住民税の側も乗ることがある。地方税法第37条の2第1項第3号は、所得税法第78条第2項第2号・第3号に掲げる寄附金および租税特別措置法第41条の18の2第2項に規定する特定非営利活動に関する寄附金のうち、住民の福祉の増進に寄与する寄附金として当該道府県の条例で定めるものを控除の対象に挙げ、同項第4号はNPO法人に対する寄附金のうち条例で定めるものを挙げる。控除率は2,000円を超える部分の4%(指定都市の区域内に住所があれば2%)で、市町村民税の側は同法第314条の7第1項により6%(指定都市は8%)となる。条例で定めるものという条件が付くので、同じ団体でも自治体によって扱いが違う。住民税の所得割から逆算する考え方そのものは、ふるさと納税の控除上限額と同じ系統にある。

48,754法人のうち、1,315件という厚み

認定を取ればよい、という結論になりそうなところで、数を見ておきたい。制度の広さが想像と合わないからだ。

内閣府のNPOホームページが公表している認証・認定数の遷移によれば、2026年8月31日現在で特定非営利活動法人の認証法人数は48,754、所轄庁の認定は1,315件(認定1,282件、特例認定33件)である。割れば2.7%にとどまる。認定制度が創設された2001年度の3件から増えてはいるが、2017年度の1,064件から1,300件台までの動きで、伸び方は緩い。一方の認証法人数は2017年度の51,866を頂点に毎年度減っており、母数と認定数の両方が動いている。

この比率が崩すのは、「NPOなら寄付が控除される」という理解である。控除の対象になるのは三十七社に一つほどで、残りは認証を受けた法人であっても国税の控除は付かない。認証と認定が別の手続きであることについてはNPO法人の認証の仕組みで触れており、担い手の年齢構成という別の壁はNPOと若者の関係の側に出てくる。

学生の企画が取るべき道筋は、たいてい認定ではない。数か月の企画に法人の設立と認定の取得を重ねるのは、期間の計算が合わないからだ。控除がないことを前提に、使い道の説明で支援を集める形に寄せるほうが現実的である。地域と組んで自治体が募集の主体に立つ形なら控除の筋が通ることもあり、その組み立てはFLASPOでも相談を受けている。

受け取った側に残るのは、課税と型崩れの二つ

支援者の側を押さえたら、次は自分たちの帳簿である。寄付だから無税とは限らない、という言い方は正確ではない。順番に見ると、むしろ任意団体には有利な規定が置かれている。

法人税法第22条第2項は、内国法人の各事業年度の益金の額に算入すべき金額を、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る収益の額とすると定める。無償による資産の譲受けが並んでいるので、法人が受け取った寄付は原則として益金に入る。

ところが任意団体はここで別扱いになる。同法第2条第8号は、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを人格のない社団等と定義し、第3条はこれを法人とみなして法律を適用するとしている。そして第4条第1項ただし書は、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合などに限って法人税を納める義務があると定める。同法第2条第13号の収益事業は、販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものである。

読み合わせると、代表者を置いたサークルが寄付だけを受け取っている状態は、収益事業に当たらない。法人税の申告も出てこない。ところが「お礼に品物を送ります」と一行足した時点で、法人税法施行令第5条第1項第1号の物品販売業に触れる余地が生まれ、継続して事業場を設けて行われるかどうかという判断に入っていく。型が動くのは法律の都合ではなく、こちらが約束を足したからである。

だから寄付型を選ぶなら、お礼の設計を我慢することが条件になる。感謝の言葉や活動の報告は見返りではないので、ここまでなら型は動かない。線を越えるのは、原価のあるものと、人手のかかる役務を約束したときだ。

よくある質問

認定を受けていない団体でも「寄付型」と書いていいですか。書けます。型の名前は支援者に見返りを渡さない形を指しているだけで、控除の有無とは別の話です。ただし控除があるかのように読める書き方は避けてください。問い合わせが来る前に、控除の対象外であることをページに明記しておくほうが早く済みます。

支援者から領収書を求められたら出せますか。団体として受領の事実を証する書面を出すことは構いません。ただしそれは確定申告で控除を受けるための証明にはなりません。何の控除にも使えない書面であることを添えて渡してください。

個人の口座で受け取ると扱いが変わりますか。変わります。団体ではなく個人が受け取った形になると、個人に対する贈与の話になり、年間の受取額に応じて贈与税の検討が必要になります。団体名義の口座を先に用意しておくほうが、後の整理が簡単です。

活動報告を返すのはリターンに当たりますか。当たりません。報告や御礼のメールは財産的な価値のある給付ではないため、贈与の性格が崩れません。写真集や記念品のように物として残るものを送り始めた時点から、扱いが分かれます。

自治体と組めば必ず控除が付きますか。付くとは限りません。寄附金の受領先が自治体そのものになっているかどうかで決まります。自治体が後援に名を連ねているだけで、入金先が団体の口座であれば、支援者の側に控除は生じません。


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