三つと五つ、どちらの数え方も同じ軸に乗っている
資金集めの方法を調べ始めると、三つに分ける説明と五つに分ける説明の両方に当たる。どちらが古いのか、どちらが正しいのかと迷うが、二つは対立していない。分類の軸は一本しかなく、支援者が何を受け取るかだけで決まっている。何も受け取らないか、品物や体験を受け取るか、将来の金銭的な見返りを受け取るか。三分類はこの粗い切り方で、五分類は三つめをさらに割ったものだ。
名前が増えるのは金融型の側だけである。寄付型と購入型はどちらの数え方でも一つずつのままで、増えるのは融資型、ファンド型、株式投資型、不動産型の四つ。つまり五分類は、三分類の最後の箱を開けて中身を並べた図にあたる。
この構造が分かると、自分の企画がどこに入るかを決めるときに見る場所も一つに絞れる。集める金額でも、使うサイトの名前でもなく、支援者に向かって何を約束したかという一点だ。約束の中身が変われば、適用される法律も、募集の場を開く側に要る登録も入れ替わる。以下では金融型の内訳、非金融型の境目、登録を背負う主体、そして達成条件と実施主体という順に追っていく。
金融型を割ると、根拠法と登録が四通りに分かれる
支援者に「お金で返す」と言った時点で、企画が向き合う相手は支援者だけではなくなる。見返りが金銭になると、その権利の形に応じて別々の法律が立ち上がるからだ。
融資型は、集めた資金が貸付けになる形である。貸金業法第2条第1項は、貸金業を金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で業として行うものと定義し、ただし書で国又は地方公共団体が行うものや、事業者がその従業者に対して行うものなどを除いている。同法第3条第1項は、二以上の都道府県の区域内に営業所又は事務所を設置して営む場合は内閣総理大臣、一の都道府県の区域内にのみ設置する場合は当該営業所又は事務所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないと定める。同条第2項により、この登録は三年ごとに更新を受けなければ期間の経過によって効力を失う。
ファンド型は、出資を集めて事業の収益を分配する形だ。金融商品取引法第2条第2項第5号は、民法第667条第1項の組合契約や商法第535条の匿名組合契約などに基づく権利のうち、出資者が出資又は拠出をした金銭を充てて行う事業から生ずる収益の配当又はその事業に係る財産の分配を受けることができる権利を、有価証券とみなすと定めている。株券のような紙がなくても有価証券として扱われるのは、この「みなし」の規定による。
不動産型は専用の法律が受け持つ。不動産特定共同事業法第2条第3項が不動産特定共同事業契約を列挙し、同条第4項はそれを業として行う行為を不動産特定共同事業と定義する。同法第3条第1項により、営むには主務大臣か都道府県知事の許可が必要で、事業参加者の出資額が政令で定める金額を超えない小規模のものだけが、第41条第1項の登録で営める。
| 金融型の内訳 | 支援者が得る権利 | 主な根拠法 | 場を開く側に要るもの |
|---|---|---|---|
| 融資型 | 利息を付けた返済を受ける権利 | 貸金業法・金融商品取引法 | 貸金業の登録と金融商品取引業の登録 |
| ファンド型 | 出資対象事業の収益の配当・財産の分配 | 金融商品取引法 | 第二種金融商品取引業の登録 |
| 株式投資型 | 上場されていない株式 | 金融商品取引法 | 第一種少額電子募集取扱業務の登録 |
| 不動産型 | 不動産取引から生ずる収益・利益の分配 | 不動産特定共同事業法 | 不動産特定共同事業の許可(小規模は登録) |
非金融型の線は、見返りを約束したかどうかで引かれる
1,000円の口にお礼のメール、3,000円の口に現地の報告会への招待、5,000円の口にステッカー。この三つを並べた時点で、見た目は一つの募集でも中身の性格は分かれている。
寄付型と購入型を隔てる線は、見返りを約束したかどうかの一点にある。金額の大小は関係しない。活動の報告やお礼の言葉だけを返すなら贈与のままだが、原価のある品物や、人手のかかる体験を渡すと書けば、売買または役務の提供になる。「支援者全員にステッカーを送ります」の一文が、その口を購入型に移す。
線が口ごとに引かれるので、ひとつの募集の中に両方の型が同居する。だから原価の計算も口ごとに分けることになる。寄付型の口は集まった額がほぼそのまま残り、購入型の口は原価と送料と梱包の人手が引かれていく。収入の名目ごとに扱いが変わる構造は、学園祭の収入源の整理でも同じ形で出てくる。
登録を背負うのは、集める側ではなく場を開く側
「金融型は登録が要るから学生には無理だ」という理解は、結論は当たっているのに理由が入れ替わっている。条文が登録を求めている相手が誰なのかを見ると分かる。
金融商品取引法第29条は、金融商品取引業は内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができないと定める。ここで名指しされているのは、募集の取扱いを業として行う者、つまり場を開くプラットフォームの側だ。同法第28条第1項と第2項は第一種金融商品取引業と第二種金融商品取引業を分けており、どの行為を業として行うかで種別が決まる。
その世界の厚みも公表されている。金融庁の金融商品取引業者登録一覧によれば、令和8年8月31日現在で第一種が293、第二種が1,224、投資助言・代理業が1,007、投資運用業が463、合計1,951の業者が登録されている。同一の業者が複数の登録を受けている場合があるため、合計と内訳は一致しない。
集める側に跳ね返ってくるのは、法律上の登録ではなく、その場の審査である。株式を発行するなら株式会社であることが前提になり、事業計画や財務の開示を求められる。サークルや実行委員会の形では、この入口にそもそも届かない。使える種類は、法律で禁じられる前に審査の段階で絞られている。法人格を取るかどうかから考える段になれば、NPO法人の作り方のような別の筋道に入っていく。
達成条件と実施主体でも、呼び名が枝分かれする
種類の一覧に、聞き慣れない言葉が二つ混ざっていることがある。目標額に届いたときだけ成立して入金される形と、届かなくても集まった分を受け取る形だ。前者は会場費のように最低必要額が決まっている企画に向き、後者は一円でも前に進められる企画に向く。リターンの性格とは別の軸なので、寄付型でも購入型でも選べる。
実施主体でも枝が分かれる。自治体が募集の主体になると、支援は自治体への寄附金になり、支援者の側に住民税の控除が乗る。地方税法第37条の2第1項第1号は都道府県、市町村又は特別区に対する寄附金を控除の対象として掲げる。同項は、寄附金の合計額が前年の総所得金額等の合計額の30%を超える場合はその30%に相当する額を上限とし、2,000円を超える部分の4%(指定都市の区域内に住所があれば2%)を道府県民税の所得割から控除すると定める。市町村民税の側は同法第314条の7第1項が6%(指定都市は8%)と定めており、合わせて10%になる。ふるさと納税の控除上限額が住民税の所得割から逆算されるのも、同じ条文の系統である。
順番を間違えないでほしい。種類は募集を始める前に決まるものではなく、リターンを一通り設計し終えた段階で確定する。先に型の名前を選ぶと、後から足したお礼の品が型をまたいでしまう。地域と組む企画の立て方についてはFLASPOでも相談を受けている。
よくある質問
三分類と五分類のどちらで企画書を書けばいいですか。読む相手で決めてください。学内の承認や協賛の依頼なら三分類で足ります。金融型に触れる計画を書くときだけ、融資型なのかファンド型なのかまで割ってください。相手が確認したいのは、金銭的な見返りを約束しているかどうかの一点です。
任意団体のまま選べる種類はどれですか。実際には寄付型と購入型の二つです。金融型は、場を開く側の登録とは別に、集める側へ法人格や開示を求める審査があるため、サークルや実行委員会の名義では申込みの段階で止まります。
寄付型と購入型を同じ募集に混ぜても構いませんか。構いません。口ごとに性格が分かれるだけなので、原価と発送の手間をその口だけで計算してください。混ぜたときに崩れるのは法律の側ではなく、手元に残る割合の見込みです。
融資型やファンド型の場を自分たちで開くことはできますか。できません。貸金業の登録や金融商品取引業の登録を受けずに業として行えば、無登録営業になります。やりたいことが資金の貸し借りなら、既存の登録業者の場を使う以外の道はないと考えてください。
種類はいつ確定しますか。リターンの一覧が固まった時点です。支援の口を一つ足すたびに型が動く余地があるため、募集ページを書き終えてから、口ごとに約束した見返りを並べて見直すのが確実です。
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