四つの線は同じ月に動かない
三年生の十月に一通目を出した人が、その月のうちに面接まで進んでいるとは限らない。説明会に出る、ESを出す、面接を受ける、内々定を受け取るという四つの行動は、それぞれ別の時期に山が来る。予定表を一本の線で引くと、この差が消えてしまう。
時期の実態は内閣府の委託調査で追える。2025年7月10日から8月11日にかけて62の大学を通じて行われ、大学4年生3,157件と大学院2年生1,258件、合わせて4,415件の有効回答がある。8月1日時点の状況を答える形式で、調査結果報告書には四つの行動それぞれの月別と累積の数字が載っている。そこから同じ時点で切り取ると、進み方の差が数字になる。
| 最初に経験した時期(累積) | 卒業前年度9月まで | 2月まで | 3月まで | 5月まで |
|---|---|---|---|---|
| 企業説明会やセミナーへの参加 | 74.8% | 92.1% | 97.0% | 99.1% |
| エントリーシートの提出 | 36.0% | 76.2% | 89.7% | 96.7% |
| 採用面接 | 15.4% | 72.4% | 85.2% | 96.6% |
| 内々定 | 3.7% | 41.3% | 57.0% | 85.2% |
前年度の9月という同じ時点で見ると、説明会は四人に三人が済ませ、ESは三人に一人、面接は六人に一人、内々定は三十人に一人という並びになる。四つは順番に開いていく。だから予定を組むときは、いま開いている段と次に開く段を分けて置くほうが実態に近い。
一通目と初めての面接の間には半年の幅がある
最初にESを出した月を見ると、卒業・修了前年度の6月以前が22.2%で最も多い。7月が6.9%、10月が8.6%、12月が9.1%と続き、広報活動が始まる3月は13.5%である。前半に厚みがあり、その後も途切れずに続く形になっている。
初めての面接はこれより遅い。前年度6月以前は5.4%にとどまり、10月が10.4%、12月が13.0%、1月が12.8%、3月が12.9%と、冬から春に固まる。累積では12月までに48.3%、1月までに61.1%となり、ここで半数を越える。ESの累積が同じ水準に達するのは12月(60.6%)で、一か月ほど先を走っている。
差が生まれる理由のひとつはインターンシップである。同じ調査では、インターンシップと呼称されるものへの参加経験がある人が74.6%で、複数回参加した人が63.7%を占める。夏や秋に出す書類は、本選考の面接ではなく参加の応募として書かれていることが多い。つまり一通目は、面接の練習を始める前に提出されている。インターンシップの位置づけを整理したいときは、インターンとは何かを先に押さえておくと予定が立てやすい。
提出の山は三月、面接の山は四月と五月に立つ
提出が最も集中した月は3月で27.9%、次が2月の12.1%、4月の11.8%、1月の9.3%と並ぶ。累積では2月までに45.3%、3月までに73.2%が山を越える。広報活動の開始に合わせて募集が開くため、ここに重なる。
面接の山はそのあとに来る。最も多いのは4月の22.3%で、3月の21.5%、2月の13.5%、5月の11.8%が続く。累積は3月までで56.7%、4月までで79.1%になる。提出の山を越えた段階では、面接の山はまだ半分しか過ぎていない。書く作業と話す作業の最も重い時期が、一か月ずれて並んでいる。
このずれは予定表のうえで扱いやすい性質を持つ。3月に提出を詰め込むと、その反動が4月の面接に出る。逆に2月までに提出の半分を済ませておけば、3月は提出と面接の準備を半分ずつに割れる。最初の内々定は3月までに57.0%、4月までに72.7%が受け取っており、春の二か月で結果の大半が動く。配分を決める材料として、この二つの山の位置は覚えておく価値がある。
終わりの側は面接のほうが遅れて閉じる
最後に出した一通の時期は、3月が18.1%、4月が17.1%、5月が15.6%、6月が11.5%と、山を過ぎてからも落ちない。累積では3月までが41.9%、5月までが74.7%、6月までが86.2%である。四人に一人は6月以降も書き続けている。
最後の面接はさらに後ろへ伸びる。5月が20.3%、6月が20.3%で並び、7月が11.3%ある。累積は4月までで43.4%、6月までで84.0%、7月までで95.3%になる。書類の締切が切れた後も、選考そのものは一か月から二か月続くという形である。
全体の長さも短くない。内々定を1社以上得た人について、就職活動が始まったと考える時期から終わったと考える時期までの間隔を集計すると、9か月間程度以上が47.7%で最も多く、3か月間程度以内は13.6%にとどまる。昨年度の調査と比べても、3か月から6か月の層が減り、長い側へ寄っている。短距離走の想定で予定を組むと、春の終わりに余力が残らない。
予定表は四つの列で組む
以上を踏まえると、月ごとに一行を引き、説明会、ES、面接、結果の四つを列として並べる形が扱いやすい。ESの列には締切だけでなく、設問を読んだ日と素材を当てた日も入れる。提出社数は1社から4社が22.6%、5社から9社が23.7%、10社から19社が24.4%とほぼ三等分で、30社以上も15.7%ある。十社を想定するなら、山の3月には週に二通から三通を仕上げる計算になる。
逆算の起点は面接の列に置く。4月に面接の山が来ると分かっているなら、その月に新しい文章を書き下ろす余裕はない。だから2月までに素材を五つ程度そろえ、3月は設問に合わせて組み替える作業に充てる。素材づくりの手順は自己分析のやり方から始めると手が止まりにくい。FLASPOのように学生が地域の企画に関わる場で記録を残しておくと、素材の在庫が先に増える。
日程のルール自体が動く可能性も残っている。広報活動3月、採用選考活動6月、正式な内定10月という要請は2017年度卒業・修了生から変わっていないが、2028年度以降の卒業・修了予定者については見直しの検討が進められている。最新版は内閣官房の要請のページで年度ごとに確かめられる。地域の企業を志望する場合は日程の組み方が変わるため、地方就活のスケジュールと進め方も併せて見ておきたい。
よくある質問
三年生の夏に一通も出していないと出遅れているか。最初の提出が前年度9月までに済んでいる人は36.0%で、残りの六割以上はそれより後に動いている。夏の時点で白紙でも、2月までに提出の七割以上が動く流れには乗れる。
予定表はいつ作り始めるとよいか。初めての面接の累積が12月で48.3%に届くことから逆算すると、秋のうちに枠だけ作っておく形が合う。十一月や十二月に面接が入り始めてから予定表を作ると、提出の締切と面接日程の衝突に気づくのが遅れる。
三月に何社まで並行できるか。提出のピークが3月に集まる人は27.9%で、この月に面接の山も立ち上がる。一通の推敲に二時間を見るなら、週二通で月八通が上限の目安になる。これを超える本数を狙うなら、設問ごとの書き下ろしをやめて素材の組み替えに切り替える必要がある。
大学院の二年生は学部生と同じ予定でよいか。大学院2年生は最初の提出が前年度6月以前で30.6%、提出のピークが3月で22.7%と、学部4年生より前に寄る。研究の予定と重なるため、提出の山を2月までに置いて3月以降を面接に充てる組み方が現実的である。
夏以降に出せる企業は残っているか。最後の提出が6月以降だった人は25.3%、最後の面接が7月以降だった人も15.9%いる。秋採用や通年採用の枠は実際に動いており、春で締め切られるわけではない。
公務員や教員を志望する場合はどう重ねるか。この調査の面接と内々定の集計は公務員・教職員志望者を除いて行われている。試験日程が別に決まっているため、民間の山とは別の列を立てて管理したほうが取りこぼしが出ない。
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