外から災害を手伝う道は登録制になった|6団体と27都道府県の現在地

寄附や交流のあとに、何ができるのか

ふるさと納税で寄附した町、短期滞在で世話になった集落、学生団体で通っていた地域。そこが大きな災害に遭ったとき、画面の向こうの被害を見ながら何もできずにいる、という経験を持つ人は少なくありません。現地へ行けば足手まといになるかもしれず、かといって募金だけでは手持ちの力が余る。この落差は、関わりの深さを測るものさしの話ではなく、受け入れる側の段取りがあるかどうかの話です。

国の側もそこを課題として扱ってきました。令和6年能登半島地震では、発生直後から支援経験の豊富なNPOやボランティア団体が被災地に入り、避難所の運営や炊き出しを担いました。内閣府はその経験を「官民連携体制の強化」という言葉で整理し、発災してから名乗り出るのではなく、平時のうちに名簿へ載せておく仕組みへ組み替えています。外から関わる人にとっては、関わり方の選択肢が一つ増えたことになります。

以下では、2025年に動き出した登録制度と、都道府県・市区町村の受け皿がどこまで用意されているかを、内閣府の公表資料の数字で確かめます。関わりの型そのものについては関係人口の現状を数字で確かめる記事も合わせて読むと位置がつかめます。

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2025年の法改正でできた「登録」という入口

令和7年の災害対策基本法の改正で、避難所の運営支援や炊き出しなどに協力するNPO・ボランティア団体等を、国が「被災者援護協力団体」として登録する制度が創設されました。協力業務の種類は同法第33条の2第1項に7つ並んでいます。避難所の運営、炊き出しその他による食品の給与または飲料水の供給、被服・寝具その他の生活必需品の給与または貸与、被災した住宅の応急修理と土砂などの障害物除去、被災者からの相談対応や情報の提供・助言、ボランティア受入れの連絡調整、そしてその他必要な協力業務の7区分です。

登録の効き目は、団体の側だけにあるわけではありません。内閣府の資料によれば、被災自治体は国の登録団体データベースを使って協力を依頼でき、登録団体は市町村から被災者等の情報の提供を受けることができます。炊き出しの鍋を持っていても、誰が何人いてどんな事情を抱えているかが分からなければ動けない、という現場の詰まりに手が入った形です。データベースは令和7年度中の運用開始が予定されています。

内閣府は令和7年10月20日の公表で、申請のあった6団体を登録したと明らかにしました。審査中の団体も引き続き登録を進めるとしています。制度が始まった直後の数であり、ここから増えていく前提の数字として読むべきものです。

最初に登録された6団体の顔ぶれ

6団体の内訳を見ると、炊き出しや避難所運営といった想像しやすい業務だけでなく、専門性で切り出された枠があることが分かります。聴覚障害のある被災者と周囲の会話をビデオ通話でつなぐ遠隔手話・文字通訳、被災者や被災地からの移送・搬送、入浴と洗濯の施設設置運営といった中身です。活動地域も全国から1都のみまで幅があります。

団体名 所在 登録された協力業務と活動地域
一般社団法人四番隊 千葉県袖ケ浦市 避難所運営・住宅の応急修理等・相談対応・ボランティア受入れ調整/全国
特定非営利活動法人有明支縁会 長崎県諫早市 炊き出し・生活必需品・住宅の応急修理等・相談対応・受入れ調整・公的機関との連携/全国
株式会社プラスヴォイス 宮城県仙台市 要配慮者への意思疎通支援(遠隔手話・文字通訳)/全国
公益財団法人日本財団ボランティアセンター 東京都港区 住宅の応急修理または障害物除去/東京都
一般社団法人epoおかやま笑顔プロジェクト 岡山県玉野市 被災者と被災地からの移送・搬送業務/沖縄を除く46都道府県
特定非営利活動法人Vネット 岐阜県高山市 家屋保全支援(北海道を除く46都府県)、入浴・洗濯施設設置支援(12府県)

個人がこの枠に直接入ることはできません。登録されるのは団体であり、被災地への支援実績が前提に置かれています。初めて関わる人の側から見ると、まずどこかの団体に属するか、後述する県単位の受け皿に名前を出しておくことが現実的な順路になります。一般の受付を通って現地に入る動き方は災害ボランティアの受付の仕組みを扱った記事で整理しています。

県ごとの調整役は27都道府県で止まっている

外から入る団体と、現地の行政や社会福祉協議会をつなぐ役割を担うのが「災害中間支援組織」です。都道府県域のネットワークで、平時は関係者の顔つなぎ、発災時は情報共有会議の開催や活動調整を受け持ちます。内閣府が令和8年3月に公表した資料では、令和7年7月時点で27の都道府県において災害中間支援組織が活動しているとされています。残る20は、県単位の調整役がまだ立っていない状態です。

国の目標値は第1次国土強靱化実施中期計画に書き込まれました。都道府県域における設置率を令和5年度の45パーセントから令和12年度に100パーセントへ、という線です。これを引き上げるための「官民連携による被災者支援体制整備」モデル事業が令和5年度から走っており、令和5年度から7年度の3年間で計29府県が実施、令和7年度だけで28府県が対象になっています。対象府県のうち、災害中間支援組織が未設置の府県には印が付けられていて、立ち上げ前の県を狙って支援が入っていることが読み取れます。

設置済みの顔ぶれを見ると、組織の形はまちまちです。県の災害ボランティアセンターの推進会議、NPOセンター、社会福祉協議会そのものが担っている県もあります。都道府県名と組織名の一覧は内閣府の公表資料に載っています。自分が関わっている地域の県に調整役があるかどうかは、ここで確かめられます。

市区町村の側は、まだ52市区町村

県より下の層はさらに薄いのが実情です。内閣府は令和4年度から「避難生活支援リーダー/サポーター研修」というモデル研修を開き、避難所の生活環境を良くする知識を地域の人材に渡そうとしています。令和4年度から7年度までの4年間で研修を実施したのは25都府県の52市区町村、受講者は2,032人、2日間以上参加した修了者は1,852人、修了後に名簿へ登録したのは1,605人でした(令和8年2月18日時点)。

伸び方は令和7年度に変わっています。同年度だけで23都府県31市区町村で開催され、受講1,068人・修了991人・名簿登録829人と、4年間の総数の半分がこの1年に集まりました。自治体が主催する自走式の研修も3市町村で始まっています。それでも、国が掲げた目標は全国1,741市区町村の開催完了率を令和5年度の1パーセントから令和12年度に50パーセント、令和17年度に100パーセントへという長い階段です。

この薄さは、外から関わる人にとって悪い話ばかりではありません。関わりの浅い段階でも入れる枠が空いている、と読み替えることもできます。地域の課題に手を挙げる入口を探している人は、FLASPOのような企画の場と、こうした公的な研修の両方を並べて見ておくと選びやすくなります。

よくある質問

登録制度に、学生だけの団体でも申請できますか。

法律上は団体の形態を限定していませんが、登録の前提に被災地への支援実績が置かれています。最初の6団体も一般社団法人・NPO法人・株式会社・公益財団法人で構成されていました。実績のない段階では、既に登録された団体や県の災害中間支援組織の活動に加わり、記録を残していく順番が現実的です。

災害が起きてから登録を申請しても間に合いますか。

制度の趣旨が平時からの「顔の見える」関係づくりにあるため、発災後の駆け込みは想定されていません。登録団体の情報は事前に自治体と共有され、被災自治体はそれを見て協力を依頼します。間に合わせるという考え方自体が制度の設計と噛み合わないため、関心があるなら平時のうちに動いておくことになります。

寄附や物資を送ることは、この枠組みのどこに入りますか。

7区分のうち生活必需品の給与または貸与が近いものの、登録の対象は業務として協力する団体です。個人の寄附や物資送付はこの枠の外にあり、別のルートで扱われます。関わり方を段階で捉える見方はボランティアが関係人口に数えられる条件の記事が扱っています。


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