入り方の比率が、国公立と私立で逆になっている
同じ学年で、地元の国立大学を第一志望にした人と、都市の私立大学を志望する人が、同じ勉強をしていてよい理由はない。入学者がどの経路から入ってきたかを見ると、構造が違う。文部科学省が令和7年11月26日に公表した令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要によると、総合型選抜での入学者は国立7,714人、公立2,183人、私立116,869人で、学校推薦型選抜での入学者は国立12,706人、公立9,732人、私立198,977人だった。
これを入学者全体に対する割合で並べ、残りを一般選抜ぶんとして差し引くと、三者の形がはっきり分かれる。
| 設置区分 | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 | 差し引き(一般選抜ほか) |
|---|---|---|---|
| 国立 | 7.7% | 12.7% | 約79.6% |
| 公立 | 6.0% | 26.9% | 約67.1% |
| 私立 | 22.8% | 38.8% | 約38.4% |
| 合計 | 19.5% | 34.1% | 約46.4% |
私立では入学者の6割以上が総合型か学校推薦型から入っている一方、国立では8割近くが一般選抜にあたる経路から入る。公立はその中間で、学校推薦型が4分の1を超える。地元の国公立に進む前提で計画を立てるなら、主戦場は学力試験の側にあると見てよい。元の集計は文部科学省の入学者選抜実施状況の概要にある。
ひとつ注意がいる。この概要には、令和7年度大学入学者選抜実施要項から選抜区分を「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」に再整理したため令和6年度の数値とは比較できない、という注記が付いている。外国人留学生を対象とする選抜も今年度から含まれる。経年の変化としてではなく、いまの断面として読む数字である。
共通テストは6教科8科目が原則になった
国立大学を受けるときの科目数は、2024年度に実施された入学者選抜から増えている。国立大学協会はそれまで、一般選抜で大学入学共通テストの「5教科7科目」を課すことを原則として掲げてきた。そこに「情報」が加わり、基本方針では「6教科8科目」を課すことを原則とすると改められた。
背景にあるのは高校の側の変化である。2022年度から始まった高等学校の新学習指導要領で「情報Ⅰ」が全ての生徒が学ぶ必履修科目になり、国立大学でも数理・データサイエンス・AI教育が文理を問わない教養科目として置かれるようになった。情報に関する知識を、国語や数学や英語と同じ基礎的な教科として位置づけるという説明がされている。文面は国立大学協会の会長談話で確認できる。
既卒者には経過措置が用意されている。情報の導入初年度は、現行の学習指導要領の内容に対応した「旧情報」が出題され、既卒の受験者は自分が学んだ範囲でこちらを受けられる。浪人を選ぶかどうかを考えるとき、科目の中身が年度で切り替わる点は確認しておきたい。
科目が1つ増えることの意味は、単純な足し算では終わらない。8科目を均等に割れば1科目あたりの持ち時間は12.5%になる。7科目なら14.3%だった。同じ総量で勉強するなら、全科目の仕上がりが一律に下がるか、どこかを削るかの二択になる。削る判断の材料が、次に見る配点である。
科目ごとの時間は、配点表を見てから割る
どの科目に時間を寄せるかは、志望先の配点で決まる。共通テストと個別試験の点数の比率、個別試験で課される科目、共通テストの各科目の配点は、大学と学部ごとに定められていて一律ではない。情報の配点も大学差がある。まず募集要項か入学者選抜要項の配点表を印刷し、科目ごとの素点が全体の何%になるかを自分で計算するところから始めたい。
計算してみると、受験勉強の常識とずれる場所が出てくる。配点の小さい科目に時間をかけていた、あるいは個別試験で課されない科目を個別試験の水準まで仕上げようとしていた、という形である。共通テストでしか使わない科目は、満点を狙う対象ではなく取りこぼしを減らす対象になる。
逆に、個別試験で課される科目は配点の比重が大きくなりやすい。ここは共通テストの形式とは別の練習がいる。地方の国公立では個別試験の科目数を絞っている学部も多いので、絞られている場合はその少数科目の比重がさらに上がる。配点表を見ないまま参考書の分量で時間を割ると、この構造が見えない。
勉強の型そのものを見直したいなら、授業の形態から考える手もある。勉強法の種類を五つの授業形態から整理した記事では、授業外の学習時間が0時間と答えた層の割合まで含めて扱っている。配点から逆算した時間を、どの形で使うかという話になる。
公立大学では学校推薦型が4分の1を超える
一般選抜が主戦場と書いたが、公立大学に限ると事情が少し違う。令和7年度の入学者のうち学校推薦型選抜から入った割合は、国立が12.7%、公立が26.9%である。人数では公立9,732人にのぼる。地元に公立大学がある地域では、この経路を外して計画を立てるのは損になりやすい。
学校推薦型は、高校3年の夏から始められる対策とそうでない対策が混ざっている。調査書に載る学習成績は1年生の定期考査から積み上がるので、後から取り返せない。志望理由の中身も、部活や地域での活動のように時間をかけて積まれたものが素材になる。要件を調べるのが遅いほど、選べる手が減る。
募集要項で先に確かめたいのは、共通テストを課すかどうかである。課す区分であれば、推薦という名前であっても共通テストの対策は必要になり、一般選抜との二本立てになる。課さない区分なら、小論文や面接や口頭試問の準備に時間を移すことになる。同じ推薦という言葉で両方が呼ばれているので、区分ごとに読む必要がある。
地元に残るか出るかという判断材料も、数字で見ておく価値がある。県外への流出を進学と就職の二段構えで追った福井県の若者流出の記事では、進学の段階で66%が県外に出ていた。進学先の選択は、その後の就職まで含めて効いてくる。
倍率は延べ数で、進学率は過年度卒を含む
競争の厳しさを倍率で測るときは、数字の作り方を見てからにしたい。同じ概要では、令和7年度の入学志願者数は国立372,500人で志願倍率3.9倍、公立164,531人で4.8倍、私立4,072,699人で8.1倍となっている。ここには、入学志願者数は延数であるという注記が付いている。
私立の8.1倍は、1人が複数の大学や学部に出願した分を重ねた数字である。国公立は共通テストの結果を見てから前期と後期に出願するため、1人が重ねられる数が構造的に少ない。倍率の低さが競争の緩さを意味しないのはここで、国立3.9倍と私立8.1倍を同じ尺度で並べることはできない。倍率の分解の仕方は申込倍率と受験倍率を分けて読む作法と同じ考え方になる。
母数の側も確かめておきたい。文部科学省の令和7年度学校基本統計の確定値では、令和7年3月の高等学校等卒業者955,335人のうち、大学・短期大学へ進学した者は586,639人で61.4%、うち大学(学部)が557,170人で58.3%だった。過年度卒を含む進学率で見ると、高等教育機関への進学率は85.4%で前年度より1.1ポイント低下し、大学(学部)・短期大学(本科)進学率は61.4%で0.3ポイント低下している。
大学全体の在学者数は297万2千人で過去最多になった。進学する人数が減っていないのに進学率が下がるのは、母数にあたる同年代の人数が動いているからである。数字は学校基本統計の確定値の公表資料に出ている。地域に残って学ぶ選択肢を調べる段階では、FLASPOのように地域と学生をつなぐ側の情報も合わせて見ておくと、進学後の過ごし方まで含めて考えやすい。
よくある質問
地元の国公立なら科目を絞れるのか。共通テストの側は絞れない。国立大学協会の基本方針は一般選抜で6教科8科目を課すことを原則としており、個別試験の科目数が少ない大学であっても共通テストの負担は残る。絞れるのは個別試験の対策の範囲で、そこは志望先の配点表で決まる。
情報はどの程度やればよいのか。配点が大学ごとに違うため、一般的な答えはない。配点表で全体の何%を占めるかを出し、他の科目と並べて時間を割り振るのが順序になる。必履修科目なので授業が土台になり、独学から始める科目ではない。
推薦と一般選抜は両方準備できるのか。共通テストを課す推薦であれば、学力の準備は共通している。課さない推薦の場合は小論文や面接の準備が別に必要で、その時間は一般選抜の勉強から引かれる。両立の可否は、志望区分が共通テストを使うかどうかで分かれる。
浪人は不利になるのか。情報の導入初年度に限っては、既卒者向けに旧情報が出題される経過措置が置かれている。年度をまたぐと出題の前提が変わる科目があるため、浪人を考えるなら受験年度の出題科目を先に確認しておきたい。
倍率が低い大学は入りやすいのか。志願倍率は延べの出願数で作られているので、その数字だけでは判断できない。国公立は出願の重ねようがない構造で倍率が低く出る。受けた人数と合格した人数の関係を見るほうが実態に近づく。
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