授業の方法は、法令で五つに分けられている
勉強法を集めようとすると、暗記術や読書術のような手法の名前が並ぶ。順番としては、自分が置かれている授業の形を先に見たほうが早い。大学設置基準第25条第1項は、授業を「講義、演習、実験、実習若しくは実技のいずれかにより又はこれらの併用により行う」と定めている。履修している科目はすべてこの五つのどれか、あるいは組み合わせに当てはまる。
同条第2項では、多様なメディアを高度に利用して、教室等以外の場所で履修させることができるとも書かれている。遠隔やオンデマンドの科目が成り立つのはこの規定によるもので、学生生活調査の集計でもオンライン授業やオンデマンド型授業の視聴時間は「大学の授業」に含めて数えられている。配信を見る時間は、教室に座る時間と同じ扱いということである。
この五区分が役に立つのは、授業の形ごとに教室の外でやるべき作業が違うからだ。講義で足りないのは読む量であり、実習で足りないのは記録と振り返りである。手法の名前から選ぶと外しやすいが、科目の形から入れば候補はおのずと絞られる。
授業時間の長さが、授業外の中身を決めている
形ごとの違いは、単位の計算方法にも現れる。同じ省令の第21条第2項は、1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とし、授業そのものはおおむね15時間から45時間までの範囲で大学が定めると規定している。授業が15時間で済む形式なら残り30時間は教室の外で積む設計であり、授業が45時間に近い形式なら教室の中でほとんどが終わる設計になる。
講義科目で課題の量が多く、実験科目で予習の量が少なく見えるのは、怠慢や偶然ではなく配分の違いである。一単位45時間の内訳を科目ごとにばらすと、どの科目にどれだけの自習を見込まれているかが具体的な数字になる。時間割に並んだコマの重さは、コマ数では測れない。
| 授業の方法 | 教室で進むこと | 授業外に残りやすい作業 |
|---|---|---|
| 講義 | 説明を聞き、論点の全体像をつかむ | 文献を読む、ノートを論点ごとに組み直す |
| 演習 | 報告と討論で、自分の解釈を試す | 報告の準備、資料の読み込み、反論への備え |
| 実験 | 手順に沿って測り、結果を記録する | 原理の確認、数値の処理、報告書の作成 |
| 実習 | 現場の作業を実際に担う | 記録の整理、振り返り、関連規則の確認 |
| 実技 | 反復して動きや表現を仕上げる | 個人練習の積み上げ、録音や録画での確認 |
何で測られるかが決まれば、やり方も決まる
どの勉強法が効くかは、評価の方法と対応している。第27条は、一の授業科目を履修した学生に対して「試験その他の大学が定める適切な方法」により学修の成果を評価して単位を与えるとしている。試験に限らないので、報告書でも制作物でも口頭発表でもよい。問題は、測られる形と練習の形がずれているときである。
確かめる手段は制度として用意されている。第25条の2は、授業の方法および内容と1年間の授業の計画をあらかじめ明示することを大学に求め、評価と卒業認定の基準についても、あらかじめ明示してそれに従って行うことを定めている。つまり学期の初めに配られる資料を読めば、何で測られるかは書いてある。筆記試験が6割を占める科目で要約だけを作り込んでも配点は動かない。
勉強法を分類する軸のひとつは、ここから引ける。覚えて再現する形で測られるのか、書いて論じる形で測られるのか、手を動かして示す形で測られるのか。三つのどれに当たるかで、同じ科目でも使うべき手段が入れ替わる。
授業の外側には、独学と講座という別の系統がある
大学の科目とは別に動く学習もある。学生生活調査が「大学の授業以外の学習」として数えているのは、語学学校や通信講座、独学での学習である。この項目に週1〜5時間を充てている層は32.9%、6〜10時間は7.9%で、0時間と答えた層が51.7%と過半を占める。この区分は令和4年度学生生活調査の集計表で、大学の授業や予習・復習とは別の項目として立てられている。
半数が手を付けていない領域であるぶん、差がつきやすい場所でもある。独学は費用がかからず時期も選べるが、進度を自分で管理する必要がある。講座や語学学校は日程が外から与えられるので続きやすいが、時間帯が固定される。通信講座はその中間で、締切だけが外から来る。どれを選ぶかは、意志の強さではなく、固定された枠をいくつ持てるかで決めたほうが現実に合う。
外部の試験を目標に据えると、進度の管理が点数という形で返ってくる。大学生向けの効率的な勉強法のように、目標点から逆算して教材と期間を決める方式は、独学の弱点を補う組み方である。学外の活動を通じて学ぶ道もあり、FLASPOが扱うような地域との関わりは、教室では得られない材料を持ち帰る種類の学習にあたる。
組み合わせ方にも幅がある。独学で基礎を作ってから講座で詰める順番と、講座で枠を作りながら独学で補う順番では、途中で止まったときの立て直し方が違う。前者は止まると再開の合図が自分の中にしかなく、後者は次の開講日が合図になる。続かない原因が意志ではなく合図の不在にあるなら、外から日程が来る形式を一つ混ぜるだけで変わる。
学年が進むと、使う勉強法は入れ替わる
同じ人でも、四年間で主役になる勉強法は変わる。学生生活調査で「卒業論文・卒業研究」に充てた時間を見ると、0時間が68.1%、1〜5時間が13.0%、6〜10時間が6.1%で、週31時間以上と答えた層も3.5%いる。平均を取れば薄く見えるが、これは該当する学年に偏って現れる数字で、取り組む時期に入れば一気に主役になる。
低学年のうちは講義科目が多く、読む量と覚える量で押す勉強法が効く。学年が上がると演習や実験の比重が増え、書いて示す形に移る。卒業研究の時期には、文献を探して組み立てる作業が中心になり、細切れの時間では進まなくなる。予習・復習や課題に週1〜5時間という配分が52.3%を占めるのは全学年を合わせた姿であって、年次ごとの実態はこれより偏っている。
履修の段階で見通しを立てておくと、この入れ替わりに備えられる。四年次に必修や卒業研究が重なると、読む作業と書く作業を同じ学期に詰めることになる。低学年のうちに講義科目を前へ寄せ、後半を書く作業のために空けておく組み方が、結果として使える勉強法の幅を広げる。
したがって、勉強法を一つに固定する必要はない。学期の初めに科目の形と評価の方法を確認し、そのうえでどの手段を主に使うかを決める。年に二度その作業をするだけで、合わないやり方を半年続ける事故は避けられる。
よくある質問
勉強法はいくつ覚えておけばよいのか。授業の方法が講義・演習・実験・実習・実技の五つに分かれているので、それぞれに対応する形を一つずつ持っていれば足りる。手法の数を増やすより、科目の形と対応させるほうが効く。
自分の科目がどの区分かはどこで分かるのか。大学は授業の方法および内容と1年間の授業の計画をあらかじめ明示することを求められている。学期の初めに示される資料に、方法と評価の基準が書かれている。
授業外の勉強はどれくらいが標準なのか。制度上は1単位につき45時間の学修が標準で、そのうち授業はおおむね15時間から45時間である。差の部分が授業外に見込まれている量にあたる。
独学と講座はどちらがよいのか。優劣ではなく、枠の有無で選ぶ対象が変わる。授業以外の学習に0時間と答えた層が51.7%を占める状況では、まず週1〜5時間の枠を一つ作るほうが先である。
評価の方法が複数あるときはどう配分するのか。配点の重い方法に合わせた練習を主にし、軽い方法は確認にとどめるのが順当である。基準はあらかじめ明示され、それに従って評価することが求められているので、学期の途中で比重が変わる前提で組む必要はない。
オンデマンドの授業は授業時間に数えるのか。学生生活調査では、オンライン授業やオンデマンド型授業の視聴時間も「大学の授業」に含めて集計されている。配信を見る時間は授業外の学習ではなく授業の側に入る。
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