二地域居住と職種|研究職64.1%とサービス1割未満を分けるもの

同じ部署に二拠点で暮らしている同僚がいるのに、自分には同じ組み立てができない。この差は勤め先の寛容さより先に、担当している仕事の中身から来ている。働く場所を動かせるかどうかは職種ごとに大きく違い、その差は数字として残っている。

場所を動かせるかは、肩書きより仕事の中身で決まる

国土交通省の令和3年度テレワーク人口実態調査は、雇用型就業者3万5,990人を職種で分け、テレワーカーの割合を出している。高いのは研究職の64.1%で、次に営業の51.6%、管理職の51.1%、専門・技術職のうち技術職の49.8%が並ぶ。半分前後の人が、週のうち何日かは勤務先以外の場所で働いている計算になる。

低い側は桁がひとつ変わる。サービス、販売、そして保安・農林漁業・生産工程・輸送・機械運転・建設・採掘・運搬・清掃・包装等の従事者は、いずれも10%未満にとどまった。顧客や現場の前に立つことが仕事の中心にある職種では、場所を動かした瞬間に仕事が成り立たなくなる。

同じ調査では、営業が前年度から約12ポイント上がって最も伸びた一方、販売と保安等の従事者は前年度から減っている。伸びた職種と減った職種が同じ年に並んでいるので、全体の平均をひとつ見ても自分の立ち位置はわからない。先に見るべきは、自分の職種がどちらの群に入るかである。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

高い6職種と低い5職種の間には、34.7ポイントの段差がある

同じ調査は、テレワーカー割合の高い6職種と低い5職種に束ねた比較も載せている。高い6職種はテレワーカーが42.7%、低い5職種は8.0%で、その差は34.7ポイントになる。人数では高い6職種が1万9,754人(54.9%)、低い5職種が1万6,236人(45.1%)で、雇用型就業者はおおよそ半々に分かれていた。

区分 テレワーカーの割合 仕事内容がなじまない
割合の高い6職種(19,754人) 42.7% 31.3%
割合の低い5職種(16,236人) 8.0% 54.7%
雇用型就業者の全体(35,990人) 27.0% 41.9%

注目したいのは、低い5職種でも8.0%はテレワークをしているという点だ。業務のすべてが現場に張り付いているわけではなく、記録や見積り、発注の事務といった切り出せる部分は残る。二地域居住の業種とテレワーク導入率の開きでも、現場中心の業種に同じ余地があることを確かめている。

職種の名前だけで振り分けられないことも、同じ資料は示している。専門・技術職はひとつの枠に見えて、技術職は高い側に、保健医療などの分野は直接対面や現地作業が必要なため低い側に数えられている。資格や専門性の高さがそのまま場所の自由につながるわけではなく、相手が目の前にいる必要があるかどうかが分かれ目になっている。

壁になっているのは制度ではなく「なじまない」という判断

テレワークをしていない人の理由を並べると、最も多いのは「仕事内容がテレワークになじまない」で、雇用型就業者の41.9%を占めた。高い6職種では31.3%、低い5職種では54.7%と、ここでも23.4ポイントの差が開く。会社が認めていないという理由より、仕事の性質そのものが先に立っている。

この判断は、働く人の側でも少しずつ動いている。内閣府の調査を国土交通省の資料が引いており、「テレワークできない又は合わない職種である」と答えた人の割合は、2020年5月から6月の34.6%から、2022年6月には27.8%へと6.8ポイント下がった。できないと思われていた仕事の一部が、2年ほどで切り出されたことになる。

つまり「なじまない」は固定された属性ではなく、業務の分け方を変えた分だけ動く数字だ。二拠点の滞在を考えるときは、職種の名前で判断する前に、自分の1週間の作業を書き出して、人と場所に縛られる作業がどれだけ残るかを数えたほうが早い。

職種が同じでも、勤務先に制度があるかで結果が変わる

令和7年度の同じ調査では、雇用型就業者3万6,391人のうち、勤務先に「テレワーク制度等が導入されている」と答えた人は34.1%で、前年度から約1ポイント上がった。制度がある人のうち実際に経験した人は64.8%にのぼる。制度に基づいて働く雇用型テレワーカーは、就業者全体の22.1%だった。

一方で、雇用型テレワーカーの割合は25.2%、直近1年間の実施率は16.8%で前年度から1.2ポイント増えている。制度があっても3人に1人以上は使っていないという読み方もできる。職種の条件を満たしていても、就業規則に根拠がなければ、長い滞在は勤務の扱いが曖昧なまま始まってしまう。

そこで確認する順番は、職種の適性、制度の有無、申請の経路の3つになる。制度の文言に「所属長の承認」とあるなら、滞在先と期間を先に通しておくほうが安全だ。二地域居住の仕事をどう組むかでは、雇用のまま続ける型と副業を足す型の違いを扱っている。

現場の職種は、滞在の理由を仕事の外に置くほうが続く

テレワーカー割合が1割未満の職種にいる人にとって、二拠点を「働く場所を移す話」として設計すると行き止まりになる。国土交通省の二地域居住に関するアンケートでは、1泊以上の滞在を年に2回以上している人は18歳以上人口の6.7%、およそ701万人と推計された。この母数の中には、仕事を動かしていない人も多く含まれる。

休日や連休に別の地域で過ごす型、家族や親族と行き来する型、趣味や地域の活動のために通う型は、勤務地を変えずに成り立つ。滞在の目的別の割合は二地域居住の働き方と滞在目的の内訳で確かめられる。現場の職種なら、むしろこちらから入って頻度を上げていく順番が現実的だ。

地域の側から見ても、週末だけ通う人は受け入れの入口になる。滞在の回数が増えるほど、住まいや移動の固定費を見直す判断が必要になってくる。地域とのつながりを仕事の形にしていく段階の相談は、FLASPOのような地域づくりの実務に関わる窓口が入口になる。

よくある質問

質問 事務職はテレワーカー割合の高い6職種に入りますか。

回答 令和3年度調査の分類では、事務職はテレワーカー割合の高い6職種の側に含まれます。ただし上位に挙げられた研究職の64.1%や営業の51.6%ほどの水準ではありません。社内の承認や押印、来客対応がどれだけ残っているかで実態が変わるため、群の分類ではなく自分の業務の棚卸しで判断してください。

質問 職種を変えずに二地域居住を始めることはできますか。

回答 できます。実施者の数え方は「1泊以上の滞在を年に2回以上」で、勤務地を動かすことは条件に入っていません。年次有給休暇と休日の組み合わせから始め、滞在の頻度が上がった段階で勤務の制度を調べる順番で問題ありません。

質問 転職してから始めたほうが確実ですか。

回答 先に転職を決める必要はありません。制度がある勤務先は34.1%で、そのうち6割以上は実際に使われています。いま在籍している会社の規程を読み、承認の経路と費用の負担を確かめるほうが、転職の検討より手数が少なく済みます。

質問 二拠点にするなら、職種を先に変えるべきでしょうか。

回答 順番としては、いまの業務のうち何時間分が場所に縛られているかを数えるのが先です。低い5職種でも8.0%はテレワークをしており、記録や発注、見積りといった切り出せる作業は残ります。切り出した時間が週に1日分も取れないときに、はじめて職種の転換を検討する材料がそろいます。

出典

国土交通省「令和3年度 テレワーク人口実態調査」/国土交通省「令和7年度 テレワーク人口実態調査結果」/国土交通省「二地域居住等の推進に関する資料」


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。