奨学金の保証人は誰に頼めるのか|人的保証と機関保証の条件を比べる

奨学金の保証人は誰に頼めるのか|人的保証と機関保証の条件を比べる

申込書の一行で進む道が分かれる

奨学金の申込みでつまずきやすいのは、金額を決める欄ではなく保証の欄である。日本学生支援機構の貸与奨学金では、保証制度の選択として、機関保証に加入するか、連帯保証人と保証人をそれぞれ選任する人的保証にするかを申込の時点で選ぶ。どちらかを後から選び直せる前提で進めると行き止まりに入る。機関保証に加入した後で人的保証へ切り替えることはできない。

選択の自由がない組み合わせもある。第一種で所得連動返還方式を申し込む場合は機関保証だけが選べる。海外の大学院で学位を取る型の第一種と、海外を対象とする第二種では、機関保証と人的保証の両方が必要になる。親族に頼めるかどうかを調べる前に、自分が申し込む枠でそもそも選択肢があるのかを確かめるほうが早い。奨学金の種類によって前提が変わる部分である。

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連帯保証人に頼めるのは原則として父母

人的保証を選ぶと、立場の違う二人を用意することになる。機構の人的保証制度の説明では、連帯保証人は原則として父母である。申込者が未成年であれば親権者、親権者がいなければ未成年後見人が務める。成人で父母に頼めない事情がある場合は、4親等以内の親族から選ぶ。

頼めない人の範囲も明示されている。未成年者、学生、本人の配偶者や婚約者、破産などの債務整理中の人は選任できない。年齢の条件もあり、貸与が終わる時点で本人が45歳を超えるときは、連帯保証人はその時点で60歳未満でなければならない。社会人を経て入学した人が見落としやすい条件である。

負う責任は重い。連帯保証人は、本人が返さなかった未返還額の全額について責任を負う。手続きの際には印鑑登録証明書と収入に関する証明書の提出が求められる。親族以外に頼む場合は、後述の資力の基準を満たしたうえで返還保証書を出す必要がある。

保証人の条件は連帯保証人よりも細かい

二人目の保証人は、父母以外から選ぶ決まりになっている。想定されているのはおじ、おば、兄弟姉妹といった4親等以内の親族で、本人と連帯保証人の両方と生計を別にしていることが条件である。生計が同じ家族で二人そろえても要件を満たさない。年齢は選任の時点、あるいは後から変更する時点で65歳未満でなければならない。除外される立場は連帯保証人と同じで、貸与終了時に本人が45歳を超える場合は60歳未満という条件も重なる。

責任の範囲は連帯保証人と異なる。連帯保証人1名と保証人1名を立てた場合、保証人の負担は未返還額の2分の1である。機構の説明では、2022年の札幌高等裁判所の判決を受けて、半額を保証人へ直接請求する運用に改めたことが示されている。保証人には、まず本人の財産に執行を求める検索の抗弁と、先に本人へ請求するよう求める催告の抗弁が認められている。連帯保証人にはどちらも認められていない。

4親等以内の成人の親族ではない人や、65歳以上の人に頼みたい場合は、別生計であることに加えて資力の基準を満たし、返還保証書を提出する形になる。基準は三通りあり、どれか一つを満たせばよい。給与所得者なら年収320万円以上、給与所得者以外なら年間所得220万円以上という収入の基準が一つ。年金収入は給与として扱われる。預貯金と不動産の評価額の合計が貸与総額以上という資産の基準が二つめで、保証人の場合は残額の2分の1以上で足りる。三つめは組み合わせで、預貯金と不動産評価額の合計を16で割った額に年収を足して320万円以上、給与所得者以外は220万円以上となる。

人を立てない代わりに保証料を払う

親族に頼める人がいない場合に用意されているのが機関保証である。機関保証制度では、公益財団法人日本国際教育支援協会が連帯保証を引き受ける。保証料は毎月の貸与額から月額が差し引かれ、残った額が本人の口座に振り込まれる。差し引かれた保証料は機構が本人に代わって協会へ支払う。手持ちの現金から別に納めるわけではないが、実際に使える額は申込んだ月額より少なくなる。

項目 人的保証 機関保証
必要な人 連帯保証人と保証人の2名 不要(本人以外の連絡先を指定)
費用 かからない 保証料を貸与額から差引き
延滞時の請求先 本人・連帯保証人・保証人 本人(代位弁済後は保証機関)
保証人の負担 未返還額の2分の1 該当なし
所得連動返還方式 選べない 選べる
後からの変更 機関保証へ変更できる 人的保証へは変更できない

機関保証でも手続きが要らないわけではない。採用時には保証依頼書と保証料支払依頼書を提出し、返還誓約書には連絡先となる人の自署が必要になる。保証人を立てないだけで、本人以外の連絡先の届出は残る。繰上返還で返還期間が短くなった場合や、返還免除で返還が終わった場合には、支払った保証料の一部が協会から戻ることがあるとされている。申込前に確かめる家計基準と一緒に、差し引かれる保証料の分まで見積もっておきたい。

延滞したとき請求はどこへ届くか

保証の違いがはっきり現れるのは、返還が滞った後である。延滞した場合の案内には、返還金を延滞すると本人、連帯保証人、保証人に対して文書と同時に電話による督促を行うと書かれている。人的保証では、本人の連絡が取れなくなった時点で請求が二人へ移る。親族に借入を伝えていなかった場合、最初の知らせが督促の電話になることもある。

機関保証では経路が違う。指定の期日までに返還されないまま一定の期間が過ぎると、機構の請求を受けて協会が残額を一括で弁済する。これが代位弁済である。協会は機構の債権を取得し、本人は原則として一括で協会へ返す立場に変わる。分割で返していたものが一度に請求される形になるため、月々の負担が軽くなるわけではない。滞納を続けると年10パーセントの遅延損害金が加わる。

保証料を払っていれば返さなくてよいという誤解は根強い。機構はこの点について、機関保証制度を選択すれば返還しなくてよいのかという問いを立てて、貸与を受けたのは本人であり本人が返還しなければならないと明示している。延滞の時点で個人信用情報機関に情報が登録され、代位弁済が履行された事実も登録される。住宅ローンや自動車ローンの審査で参照される記録に残ることになる。進路や初任給の見通しから返還の計画を立てたい人は、受給率51.1%の実態を押さえたうえで、地域ごとの給与水準をFLASPOのような求人の場で確かめておくと判断の材料が増える。

よくある質問

保証人を頼める親族がどうしても見つからない場合はどうなるか。機構の説明では、条件に合わない人に頼むのではなく、別の人を選ぶか機関保証制度を利用する案内になっている。資力の基準を満たして返還保証書を出す道もあるが、収入や資産の証明が必要になるため、親族以外に頼むときの負担は小さくない。

途中で連帯保証人が亡くなった場合はどうするか。保証ができなくなった事情が生じたときは、機構へ届け出て選任し直す手続きが必要になる。所得連動返還方式へ返還方式を変更する場合も、人的保証から機関保証への切り替えが条件になるため、同じ窓口で扱われる。放置すると返還誓約書の内容と実態がずれたままになる。

機関保証の保証料は返還期間中も払い続けるのか。保証料の支払いは貸与を受けている期間に限られ、毎月の貸与額から差し引かれる形で完結する。返還が始まってから別に請求されるものではない。ただし月額が同じでも貸与期間や返還期間によって保証料の月額は変わるため、採用年度ごとの一覧で確かめる必要がある。

保証人を立てる方式と機関保証で、借りられる額は変わるか。貸与の月額や採用の基準は保証の方式では変わらない。違うのは、使える現金が保証料の分だけ減るかどうかと、延滞したときに誰のところへ請求が届くかである。親族に迷惑をかけない形を優先するか、手取りを一円でも多く残す形を優先するかという選択になる。


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