相場は、婚活にかかる費用のいちばん下にある
月額いくらという数字を単体で見ても、高いか安いかは判断できない。比べる相手を置くと位置がはっきりする。こども家庭庁の令和6年度行政事業レビュー公開プロセス説明資料は、婚活支援サービスを3つに分けて価格を並べている。アプリは月数千円程度、公的結婚支援センターは年1万円弱程度、結婚相談所や仲人業は入会金が数万円、月額が2万円弱、成婚時に20万円程度という整理である。
| サービス類型 | 価格の目安 | 相談支援・伴走支援 | 資料の備考 |
|---|---|---|---|
| マッチングアプリ | 月数千円 等 | 三角 | 自助努力のみの傾向 |
| 公的結婚支援センター | 年1万円弱 等 | 丸 | 登録時面談と独身証明がある |
| 結婚相談所・仲人業 | 入会金数万円、月2万円弱、成婚20万円 等 | 丸 | 仲人業は結婚後のフォローもあり |
同資料は、アプリを低廉な価格で手軽に利用できる手段と位置づけつつ、基本的には個々人が独力で相手を探す必要があると書いている。価格の安さは、間に入って支援する人の分が入っていないことの裏返しでもある。何を買っているのかを含めて読む必要がある。
料金の形は、月額固定とポイント購入で分かれる
同じ金額でも、課金の設計が違えば使い方への影響が変わる。こども家庭庁の若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ第3回で、業界団体のマッチングサービス推進協議会は、第三者認証を取得したアプリの料金は月額固定であり、ポイントの購入によって主な利益を得る出会い系サイトとは異なると説明している。
この違いは利益の出方に関わる。月額固定なら、事業者の収入は在籍している期間で決まるので、やりとりの回数を増やす動機は薄い。ポイント制では、メッセージの送信や連絡先の交換ごとに費用が発生する形になりうるため、会話が長引くこと自体が売上につながる。料金表の総額だけでなく、何をするたびに課金されるのかを先に確かめたい。
国民生活センターが消費者庁のインターネット消費者取引連絡会に出した報告資料には、ポイント型で費用がふくらんだ事例が並ぶ。アプリで知り合った相手に別の出会い系サイトへ誘導され、登録は無料だったものの会員になるために3,000円を支払い、個人情報の交換のためにさらに7万円を払ったが交換はできなかった、という20代女性の相談である。入口の安さと最終的な支払額は別物になる。
相談が集まるのは、金額より自動更新のほうである
払うときではなく、やめるときに事故が起きている。同じ報告資料に挙がった相談を見ると、半年間の有料サービスに約9,000円を支払ったが使っていなかったので解約するつもりだった、しかし手続きをしないまま次の半年分の決済完了メールが届いた、という40代男性の例がある。退会手続きを済ませたつもりが完了しておらず、自動継続で半年分を請求された20代男性の例も載っている。
やめ方が二重になっている点が、とくにつまずきやすい。資料は、アプリ側で退会処理をしていても、スマートフォンのプラットフォーム決済で定期購入が残っていて自動更新されるケースがあると指摘している。彼女ができたのでプラットフォームから定期購入を解除して退会し、アプリも削除したのに、半年分の1万5,000円が引き落とされたという相談も記録されている。
規約の側にも注意点がある。解約時に利用期間が残っていても返金しないと定められている例、会員ページにログインできず解約も退会もできない例、突然の強制退会でも残りの契約期間分の利用料を請求すると言われた例が、傾向として整理されている。契約前に読むべきは、月額の数字より解約の条項である。なお同センターがまとめた出会い系サイトの相談件数は、2023年度6,938件、2024年度4,402件、2025年度3,399件と推移している。この集計は出会い系サイト全体を対象にしたもので、アプリだけの数字ではない。
法律は、申し込む前に見せることを事業者に求めている
有料プランの契約は、特定商取引法でいう通信販売にあたる。消費者庁の解説によれば、第11条は広告に表示すべき事項を定めており、販売価格、代金の支払時期と方法、申込期間の定めがあるときはその内容、そして契約の申込みの撤回や解除に関する事項が並ぶ。2回以上継続して契約する必要がある場合はその旨と条件も含まれ、この項目は表示の省略が認められていない。
申し込みの最終画面にも義務がある。第12条の6は、分量、販売価格、支払時期と方法、引渡時期、申込期間、撤回や解除に関する事項を表示することを求め、第2項で、契約の申込みになることを誤認させる表示と、これらの事項について誤認させる表示を禁じている。期間や解約条件が読み取れない画面は、この条文に照らして確かめる余地がある。
一方で、通信販売には訪問販売のような無条件の解除は置かれていない。第15条の3が定める8日以内の返品は商品の引渡しを受けた場合の制度で、アプリの有料プランのような役務の提供はその枠に入らない。表示義務違反などで誤認して申し込んだときに意思表示を取り消せる規定が第15条の4に置かれており、争う足場になるのはこちらである。
払う前に下げられる費用が、地域の側にある
費用を考えるとき、全額を自分で負担する前提を外せる場合がある。先のワーキンググループでは、都道府県と市区町村を合わせて24自治体がすでにアプリと連携しており、安全な使い方のセミナーや無料クーポンの配付を実施していること、利用料を補助する自治体も増えてきていることが報告された。地域少子化対策重点推進交付金は令和6年度に全都道府県と953市町村で何らかの形で活用されている。
公的な結婚支援センターは37道府県に置かれ、年1万円弱で相談員の支援が付く。月数千円のアプリを1年使えば数万円になるので、年額で比べると差は縮まる。どちらかを選ぶというより、費用の性質が違うものとして並べたほうが実際に近い。地域で人と接点を作る別の経路としては、学生が地域の課題に提案を持ち込むFLASPOのような場も置ける。
料金をめぐって行き違いが起きたときの窓口は公的に用意されている。国民生活センターと全国の消費生活センターは、消費者ホットライン188で相談を受け付けている。登録前の画面の控えや決済の記録を残しておくと、相談の前提が整う。費用に対して何が得られるのかという比較はマッチングアプリのメリットの記事で扱った。
よくある質問
相場はいくらと考えればよいですか。
こども家庭庁の比較資料では、アプリは月数千円程度と整理されている。結婚相談所や仲人業は入会金数万円に月2万円弱、成婚時に20万円程度が加わる目安なので、桁がひとつ違う位置にある。
無料で使い続けることはできますか。
無料の範囲は機能が限られ、有料プランへ移る設計が一般的である。国民生活センターの資料では、無料期間中に解約しなかったため有料契約に自動更新されたという傾向が挙げられている。無料で始めるときほど、期間の区切りを確かめておきたい。
退会すれば請求は止まりますか。
止まらない場合がある。アプリ側の退会とは別に、スマートフォンのプラットフォーム決済で定期購入が残っていると自動更新される。解約はアプリと決済の両方で確認する必要がある。
途中でやめたら残りの期間は返ってきますか。
利用規約で返金しないと定められている例が報告されている。契約期間の途中でやめる可能性があるなら、短い期間のプランを選ぶか、更新日を自分で記録しておくほうが安全である。
自治体の補助は誰でも使えますか。
対象や条件は自治体ごとに異なる。連携している自治体は24にのぼり、無料クーポンの配付や利用料の補助という形が報告されている。住んでいる自治体の結婚支援の案内を確かめるのが早い。サービスの種類ごとの違いはマッチングアプリの種類の記事にまとめた。
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