入口は二つあり、どちらを通るかで一年ずれる
高校3年生の夏に申込みを済ませた同級生と、大学に入ってから窓口に行った学生では、最初の振込月が一年近く違うことがある。日本学生支援機構の奨学金には、進学前に申し込む予約採用と、進学後に申し込む在学採用という二つの経路があり、募集の回数も申込先も別だからである。予約採用は在学している高校、あるいは卒業した高校を通じて申し込む。卒業生の場合は卒業後2年以内という条件がつく。
高卒認定試験の合格者と合格見込者は、学校を通さず機構へ直接申し込む。大学院へ進む人は、進学予定の大学院を通じて貸与奨学金に申し込む。授業料等の減免をあわせて受けたい場合は給付奨学金に申し込み、申請の設問で高等教育の修学支援新制度を希望するかどうかを答える形になる。在学採用は原則として毎年春と秋の二回募集があり、予約採用で不採用になった人も改めて申し込める。入口を取り違えると、次の募集まで待つことになる。
起点は学校の窓口で受け取る一通の書類
手続きはインターネットで進むが、始まりは紙である。在学校から受け取る申込関係書類には「奨学金確認書兼地方税情報の取扱いに関する同意書兼個人信用情報の取扱いに関する同意書」が入っており、現場では奨学金確認書兼地方税同意書と呼ばれる。申込手続きにはこの書類に印字された10桁の申込IDと6桁の初期パスワードが必要で、あわせて学校から8桁のユーザIDと8桁のパスワードが渡される。四つの番号がそろわないと入力画面に進めない。
在学採用ではスカラネット入力下書き用紙が配られ、入力前にマイナンバーがわかる書類を手元にそろえておくよう案内される。下書き用紙を埋めてから画面に向かうのは、入力の途中で中断すると番号の管理が煩雑になるためである。入力期限は機構ではなく在学校が定める。募集の時期そのものは春と秋に決まっていても、校内の締切は学校ごとに違うので、掲示や学内ポータルの案内を先に確かめておくほうが確実である。
在学採用では、このあとに在学校へ出す書類が残る。収入や世帯の状況を示す証明書などを、学校が定めた期限までに窓口へ提出する流れになっており、選考の結果も学校を通じて連絡される。機構と直接やり取りする部分と、学校を経由する部分が交互に現れるため、どちらへ出す書類なのかを一覧にしておくと混乱しにくい。
入力・マイナンバー・郵送には順番がある
順番を間違えると手続きがやり直しになる。まずスカラネットで申込情報を入力し、表示された16桁の受付番号を控える。次にマイナンバー提出用のサイトから本人と生計維持者のマイナンバーを提出する。これは原則としてスカラネット入力と同じ日に行う。最後に奨学金確認書兼地方税同意書を、同封の提出用封筒に入れて郵便局の窓口から簡易書留で機構へ直接送る。期限はマイナンバー提出後1週間以内である。
同意書を先に送ってしまうと、入力に必要な申込IDが手元から消えて確認できなくなる。機構はマイナンバーを書類では受け付けておらず、提出はインターネットだけに限られる。同意書も学校ではなく機構へ送る点が、ほかの校内手続きと違う。2027年度の進学者を対象とした大学等予約採用では、マイナンバー提出等の最終期限が2026年11月25日、同意書の最終必着期限が2026年12月11日と示されている。片方だけでは選考が行われないため、どちらも早めに終える前提で動くことになる。
| 段階 | やること | 提出先 | 期限の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 申込関係書類と各種IDを受け取る | 在学校の窓口 | 学校の案内による |
| 2 | スカラネットで入力し16桁の受付番号を控える | インターネット | 学校が定める入力期限 |
| 3 | 本人と生計維持者のマイナンバーを提出する | 専用サイト | 原則としてスカラネット入力と同日 |
| 4 | 奨学金確認書兼地方税同意書を簡易書留で送る | 機構へ直接 | マイナンバー提出後1週間以内 |
| 5 | 追加で求められた書類を提出する | 通知の指示による | 通知に記載された期限 |
| 6 | 選考結果を受け取る | 在学校から通知 | 機構と学校の日程による |
選考は学力と家計の両方から見られる
申し込めば必ず採用されるわけではなく、学力と家計の基準に基づいて総合的に判定される。機構のデータ集が示す予約採用の基準では、第一種奨学金は高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上、第二種奨学金は学習成績が平均水準以上であることなどが条件になる。家計の側は4人世帯の場合の目安として、第一種が給与所得世帯で800万円程度、第二種が1,250万円程度までとされている。
| 貸与種別 | 学力の基準 | 給与所得世帯の年収上限の目安 | 給与所得以外の世帯の所得上限の目安 |
|---|---|---|---|
| 第一種(無利子) | 評定平均値が5段階評価で3.5以上 | 800万円程度 | 550万円程度 |
| 第二種(有利子) | 学習成績が平均水準以上である等 | 1,250万円程度 | 900万円程度 |
評定平均値が3.5に届かない場合でも、第一種の道が閉じるとは限らない。生計維持者の貸与額算定基準額が0円である、生計維持者が生活保護を受給している、児童養護施設の入所者など社会的養護を必要とする生徒である、のいずれかに当てはまり、学修意欲が学校で確認できれば申込みができる。数字で弾かれたと早合点して申込みをやめてしまうのが、もっとも損の大きい判断になる。
採用候補者に決まってからも手続きが残る
予約採用で選ばれた段階の身分は、奨学生ではなく採用候補者である。進学後に採用候補者決定通知の進学先提出用を学校へ出し、学校が定める期間内にスカラネットから進学届を提出して初めて奨学生として採用される。この進学届を出さないまま期間が過ぎると、せっかく通った選考が無効になる。入学前後は手続きが集中する時期なので、大学の履修登録の流れと同じ感覚で、日付を一覧にしておくと取りこぼしが減る。
進学届では保証制度の選択もあわせて行う。連帯保証人と保証人を立てる人的保証か、保証機関に保証料を払う機関保証かを決める必要があり、令和6年度の採用者では56.09%が機関保証を選んでいる。貸与月額の決定も同じ場面で行うため、奨学金の返還額と初任給から逆算する考え方や、卒業要件と履修計画を踏まえた在学年数の見通しを先に持っておきたい。進路や地域での働き方から考えたい人はFLASPOも参考になる。
よくある質問
入力した内容を間違えたときはどうすればよいですか。スカラネットから訂正の手続きができます。申込みそのものを取りやめる場合も、同じスカラネットで辞退の手続きを行います。郵送した同意書を取り戻す必要はありませんが、訂正の内容によっては在学校へ連絡を求められることがあるため、気づいた時点で窓口にも伝えておくと確実です。
予約採用で不採用になったら、もう申し込めないのですか。進学後の在学採用で改めて申し込めます。貸与奨学金と給付奨学金は原則として毎年春と秋に募集があり、校内の締切は在学校が定めます。春の募集に間に合わなければ秋に回す選択もできます。
マイナンバーを書類で出すことはできますか。できません。提出はスカラネットから進むインターネットの専用サイトに限られています。先にマイナンバーだけを提出することもできず、スカラネット入力で16桁の受付番号を得てから進む順番になります。
同意書は学校に提出してよいのでしょうか。学校ではなく機構へ直接送ります。同封されている提出用封筒を使い、郵便局の窓口から簡易書留で差し出します。ポストに投函する普通郵便では受け付けられません。
高校を卒業してから申し込めますか。予約採用は卒業後2年以内であれば対象になります。高卒認定試験の合格者と合格見込者は、学校を経由せず機構へ直接申し込む扱いです。いずれの場合も、申込時に必要な書類の請求先が在学生とは異なる点に注意してください。
授業料の減免は別に申請が必要ですか。授業料等減免は給付奨学金の申込みとあわせて扱われます。申請の設問で高等教育の修学支援新制度を希望するかどうかを答える形になっており、給付奨学金に申し込まずに減免だけを受ける手続きではありません。多子世帯を対象とした支援を希望する場合も同じ入口です。
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