学内の掲示板に募集のチラシが並んでいても、実際に申し込む同級生はそれほど多くない。これは感覚の話ではなく、統計にも同じ形で出ている。総務省統計局の社会生活基本調査を年齢階級別に開くと、10代後半から20代の行動者率は全年齢のなかで下のほうに沈んでいる。ただしこの数字をそのまま「若い世代は関心が薄い」と読むと、落ち込みの中身を見落とす。年代ごとに分解すると、関心の問題ではない要因が並んでいる。
10代後半と20代は全年齢のなかで下位に並ぶ
まず水準を確かめておきたい。総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」は、2020年10月20日から2021年10月19日までの1年間にその活動を行ったかどうかを尋ねている。ここでの行動者率は、10歳以上の人口に占める行動者数の割合を指す。全体の行動者率は17.8%、人数にして2005万6千人であった。年齢階級別に見ると最も高いのは65〜69歳の23.4%で、最も低いのは25〜29歳の10.1%となっている。
| 年齢階級 | 2016年 | 2021年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 10〜14歳 | 26.5% | 12.1% | -14.4pt |
| 15〜19歳 | 22.6% | 13.2% | -9.4pt |
| 20〜24歳 | 19.2% | 12.2% | -7.0pt |
| 25〜29歳 | 15.3% | 10.1% | -5.2pt |
| 40〜44歳 | 32.2% | 21.1% | -11.1pt |
| 65〜69歳 | 29.8% | 23.4% | -6.4pt |
表の並びで目を引くのは、20代の低さが2016年の時点でもすでに同じ傾向だったという点である。20〜24歳は19.2%、25〜29歳は15.3%で、当時から40代や60代より低い。つまり20代の参加率の低さは最近になって生まれたものではない。詳細は総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果」に収録されている。
5年間で最も大きく減ったのは10代前半だった
変化の大きさは年代でまったく違う。2016年との比較では全ての年齢階級が低下しているが、下げ幅が最大だったのは10〜14歳で14.4ポイントである。15〜19歳が9.4ポイント、20〜24歳が7.0ポイントと続き、全体の低下幅8.2ポイントを上回るのは10代前半だけであった。年齢が上がるほど下げ幅は小さくなり、25〜29歳は5.2ポイントにとどまっている。
この順番は、参加の入口がどこにあったかを映している。調査の対象期間は2020年秋から2021年秋までで、学校行事や地域の催しが広く見送られていた時期と重なる。学校や子ども会、部活動を通じて声がかかっていた層ほど経路ごと失われ、落ち込みが深くなった。逆に25〜29歳の下げ幅が小さいのは、もともと学校経由の入口を持っていなかったからだとも読める。
男女の差も同じ時期に入れ替わった。2021年の行動者率は男性18.2%、女性17.5%で、下げ幅は男性6.8ポイント、女性9.4ポイントであった。2001年から2016年までは女性のほうが高い水準で推移していたが、2021年は女性の減り方が大きかったため男女の順位が反転している。地域や子どもに関わる活動の担い手に女性が多かったぶん、催しの中止の影響をより強く受けたと見られる。
ここから導けるのは、若い世代の数字は意欲よりも経路の有無に強く反応するという性質である。誘いが来る場所に在籍していれば数字は伸び、その場所がなくなれば一気に落ちる。進学や卒業で所属が変わるたびに参加率が揺れるのは、そのためだと考えられる。
20代が挙げる壁は時間と情報に集まる
では当事者は何を障害として挙げているのか。内閣府の「令和7年度 市民の社会貢献に関する実態調査」は、2025年10月10日から11月30日まで全国の満20歳以上8,300人を対象に郵送とオンラインで実施され、3,773人分が有効回答となった。2024年の1年間に活動した人は全体で16.3%、20〜29歳では13.9%、30〜39歳で12.9%、70歳以上では19.7%であった。20代より30代のほうが低いという結果は、忙しさの質が年代で違うことを示している。
| 参加の妨げになること | 挙げた人の割合 |
|---|---|
| 参加する時間がない | 45.8% |
| ボランティア活動に関する十分な情報がない | 35.8% |
| 参加する際の経費(交通費等)の負担 | 22.4% |
| 参加するための休暇が取りにくい | 20.8% |
| 参加するための手続きがわかりにくい | 16.8% |
| 一緒に参加する人がいない | 14.3% |
上位2項目の性質は大きく違う。時間の制約は自分で動かしにくいが、情報と手続きは調べ方を変えれば縮む。学生の場合は大学の窓口やボランティアセンターという専用の経路があるため、情報不足の壁は社会人より下げやすい。探す順番は学生ボランティアの探し方を整理した記事にまとめてある。数値の出典は内閣府「令和7年度 市民の社会貢献に関する実態調査」である。
災害に関係した活動は別の波で動く
全体の低下とは違う動きをする領域もある。社会生活基本調査の「災害に関係した活動」の行動者率は、東日本大震災が起きた2011年に3.8%まで上がり、2021年は0.8%まで下がっている。熊本地震のあった2016年の1.5%と比べても半分近くの水準である。関心が消えたというより、大きな災害の発生年に数字が跳ね上がる構造だと理解したほうが実態に近い。
2021年の都道府県別では熊本県が2.5%で最も高く、次いで佐賀県1.8%、長野県1.4%と続く。いずれも近年に豪雨や地震の被害を受けた地域である。つまり災害分野の参加は居住地と時期に強く左右され、全国平均で語っても意味が薄い。大学で災害支援に関わりたい場合は、平時から登録して訓練を受けておく団体を選ぶほうが現実的である。
この領域は人手が急に必要になるぶん、受け入れ側の体制が整う前に人が集まる難しさもある。個人で現地へ向かう前に、受け入れ状況を発表している窓口を経由する手順を踏んでおきたい。
参加率が低いことは、若い人にとって不利な条件ではない
数字が低い状況は、裏返せば受け入れ側が人を求めているということでもある。内閣府の同じ調査で、2024年に活動した人が参加した分野を見ると、子ども・青少年育成が26.9%、まちづくり・まちおこしが25.9%、地域安全が20.5%、自然・環境保全が19.8%、芸術・文化・スポーツが17.9%の順に並んでいた。回答は591人分である。
上位に並ぶ分野は、いずれも体力や発信力のある若い世代の手が効きやすい領域である。子どもの相手をする活動や地域の催しの運営は、年齢が近い学生のほうが向いている場面が多い。分野ごとの性質の違いはボランティアの種類を11分類で整理した記事で確かめられる。地域の活動と学生をつなぐ取り組みとしてはFLASPOのような場も参考になる。
統計を自分の判断に使うなら、「参加率が低いから自分も参加しなくてよい」ではなく「低いからこそ入りやすい」と読むほうが実務に合う。募集が埋まりにくい分野は、初参加でも役割をもらいやすい。
よくある疑問
行動者率が下がり続けているなら、活動先そのものも減っているのか。調査が測っているのは参加した人の割合であり、募集側の数ではない。参加者が減れば募集は残るため、探して見つからないという状況には直結しない。
20代の数字が低いのは、学生よりも社会人の影響なのか。20〜24歳が12.2%、25〜29歳が10.1%と、より社会人の比率が高い後半のほうが低い。就職後に時間の制約が強まる影響は読み取れる。
最新の数字はいつ更新されるのか。社会生活基本調査は5年ごとの実施で、直近の結果は2021年調査のものである。内閣府の実態調査は3年に1度のため、間の時期はこちらで補うことになる。
統計に出てくる活動の範囲はどこまでか。社会生活基本調査では、自由時間に行う無償の活動が対象で、報酬を受け取る仕事は含まれない。学校の授業として行うものも区別されている。
男女で参加のしやすさに差はあるのか。直近の調査では男性18.2%、女性17.5%とほぼ並んでいる。性別より、どの分野を選ぶかで求められる役割が変わると考えたほうが選びやすい。
参加率の低い年代に入ることで得があるのか。統計上の希少性が評価につながるわけではない。ただし人が足りない分野では任される範囲が広くなりやすく、経験の密度という点では差が出る。
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