OB・OG訪問のメール|厚労省が示す4項目から文面を組み立てる

OB・OG訪問のメール|厚労省が示す4項目から文面を組み立てる

文面の半分は、もう決められている

依頼のメールを書こうとして手が止まるのは、全部を自分で決めなければならないと思い込んでいるからである。実際には、書くべき要素が国の資料で名指しされている部分がある。若者雇用促進法にもとづく職場情報の仕組みでは、学生が企業に就労実態の情報を求めるとき、メールか書面に何を書けばよいかまで決まっている。そこを骨組みにして、残りだけを自分の言葉で埋めれば、迷う範囲は半分になる。

厚生労働省の職場情報の提供制度のページと、学生向けに作られた就労実態等に関する職場情報を企業に求めることができますというリーフレットが、その中身を示している。新卒者等の募集を行う企業には幅広い職場情報を提供する努力義務があり、応募者等から求めがあった場合には、三つの類型それぞれについて一つ以上の情報提供が義務づけられている。つまり、要件を満たした形で尋ねれば、答えが返ってくる筋がある。

先輩への訪問依頼と、この情報提供の求めは別の手続きである。ただ、同じ相手に同じ時期に出す文章なので、書き分けの基準を持っておくと文面が整う。訪問の依頼で人に頼み、情報の求めで会社に頼む、という分担になる。

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リーフレットが名指しした4つの記載事項

同じリーフレットは、情報提供を求める方法を三通り挙げている。就職情報サイトや企業の採用ページでプレエントリーをする方法、メールか書面で企業に直接伝える方法、ハローワークや学校などの職業紹介事業者から企業に求めてもらう方法である。二つめを選ぶ場合に伝える事項は、次の四つと指定されている。

氏名、連絡先として住所またはメールアドレス、所属している学校名と在学年または卒業年月、そして情報提供を希望する旨。四つ目が抜けていると、ただの自己紹介になってしまう。なお説明会や面接の場では四つ目だけを口頭で伝えれば足り、履歴書を事前に提出している場合は電話で四つの事項を伝える形でもよいとされている。

この四つを土台に、訪問の依頼で足す要素を重ねていく。下の表は、一連のやり取りを4通に分け、それぞれに何を入れて何を入れないかを整理したものである。

通数 目的 必ず入れる 入れない
1通目 訪問の依頼 氏名・学校名と学年・連絡先・会いたい理由・希望する形式 質問の一覧、長い自己PR、希望日時の列挙
2通目 日程の確定 先方が示した候補への返答・所要時間の確認・当日の連絡先 条件の追加、別案件の相談
3通目 前日の確認 日時・場所または接続方法・持ち物・遅れた場合の連絡手段 新しい質問、面談時間の延長の依頼
4通目 御礼 話のどこが判断に効いたか・次に自分がする行動 選考に関する依頼、紹介の要求

質問の一覧を1通目に添えたくなるが、ここでは逆効果になりやすい。受け取った人は社内の誰に回すか決める段階にあり、中身が重いほど判断が遅れる。質問は日程が決まってから、相手が準備できる分量で送る。訪問全体の流れはOB・OG訪問のやり方|依頼から当日・お礼まで企業の窓口を通す手順で段ごとに追える。

連絡手段は自分で選ばない

やり取りに使う道具も、2026年10月から会社の側が決める前提になった。厚生労働省の求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の義務化に関する資料によれば、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が令和8年10月1日から事業主の義務となり、求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化して周知することが措置の一つに入っている。その例として「面談時間及び場所の指定、実施体制、やり取りに用いるSNSの種類の指定等」が挙げられている。

言い換えると、私用のメッセージアプリに移ろうという提案は、学生の側から出すものではなくなった。会社が指定した手段があればそれに従い、指定がなければ大学のメールアドレスから送るのが無難である。先輩が個人の連絡先を教えてくれた場合も、日程の変更のような事務は会社の窓口に残しておくと、あとで食い違いが起きたときに記録が残る。

差出人の名前も形をそろえておく。大学のドメインから送れば、学生であることが相手の受信箱の段階で分かる。件名に大学名と氏名と用件を入れておけば、社内で転送されたときに誰の話か分からなくなる事故が減る。どの経路で入るかによって届く相手が変わる点はOB・OG訪問の探し方|キャリアセンターと企業窓口から先輩にたどり着く道で比べた。

返ってきた情報の扱いには線がある

受け取った職場情報をどう扱うかについても、先のリーフレットは注意を書いている。企業から提供された情報を転用しないよう、たとえばSNSへ投稿するといったことのないよう、適切に取り扱うこととされている。平均勤続年数や有給休暇の取得日数のような数字は、文脈を外して並べると誤解を生みやすい。自分の判断材料として使い、外に出すときは出所と年度をそろえる。

尋ねたことで不利になるのではないかという不安については、制度の側に歯止めがある。情報提供を求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁じられており、リーフレットは典型例として、情報提供を求めた者に対してのみ説明会等の採用選考に関する情報を提供しないことを挙げている。紛らわしい例としては、説明会で求める行為を低く評価する言動をとることや、面接でその事実に触れることが挙げられている。

それでも情報が返ってこない、頼んだ項目と違うものが届いた、内容が不正確に見える、といった場合はハローワークが相談を受け付ける。窓口があると分かっているだけでも、文面の調子は落ち着く。何を確かめるために会うのかという土台はOB・OG訪問の目的|3年以内離職率33.8%と重視項目から考える確かめ方で整理している。

御礼のメールを、記録として残す

最後の1通を儀礼だけで終わらせると、聞いた内容が数日で薄れる。話のどこが自分の判断を動かしたかを二つか三つ書き出し、それを受けて次に何をするかを一行添える。受け取った側には、割いた時間が何に使われたかが伝わる。自分の側には、志望先を比べるときに読み返せる記録が残る。

社員の実名や、社内でしか共有されていない数字は書き写さない。先輩が答えられる範囲を超えて踏み込んだ内容が記録に残ると、相手の立場を危うくする。公表されている情報と、その場で聞いた印象を、文章のなかで分けて書く癖をつけておくとよい。

訪問先が遠方の企業なら、往復の時間をどう使うかも含めて御礼に触れておくと話が続きやすい。地域の企業と学生をつなぐ入口としてはFLASPOのような事業者の窓口もあり、現地の複数社に日程を寄せる相談ができる。

よくある質問

依頼のメールはどのくらいの長さが適切か。本文で400字前後、画面を一度もめくらずに読み終わる量を目安にする。四つの記載事項と、会いたい理由と、希望する形式が入っていれば、それ以上は削ってよい。

大学のアドレスを持っていない場合はどうするか。連絡先は住所またはメールアドレスでよいとされているため、個人のアドレスでも要件は満たす。その場合は署名に学校名と学部、学年を明記して、学生であることが本文の冒頭で分かるようにする。

質問はいつ送るのが適当か。日程が確定した直後が送りやすい。数日前に届けば相手は資料を用意できるし、当日までに社内へ確認を回す余裕も生まれる。前日の確認メールに新しい質問を混ぜるのは避ける。

返信が来ないときに催促してよいか。1週間を目安に一度だけ、件名を変えずに短い確認を送る。それでも動かないときは経路を替える。同じ宛先に文面を重ねるより、キャリアセンターや企業の受付窓口から入り直したほうが早い。

職場情報の求めは、先輩個人に出してよいか。この仕組みで義務を負うのは企業であり、求めの宛先も企業になる。先輩に頼むと、答える立場にない人に判断を押しつけることになりやすい。数字は会社の窓口へ、受け取った数字の意味は先輩へ、と分けて投げるほうが双方の負担が軽い。

メールではなく書面で出す場合はどうか。リーフレットはメールまたは書面としているので、郵送でも要件は変わらない。記載する四つの事項を同じ順で並べ、返送先を明記しておく。到着までの日数が読めないため、締切のある選考と並行しているときはメールのほうが安全である。

御礼は当日に送るべきか。当日のうちに短く送り、整理した内容を翌日までに続ける形でも差し支えない。大事なのは速さよりも、聞いた話がどう使われたかが伝わることである。


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