ESの提出時期|政府の日程ルールと実際の提出月のずれを読む | FLASPO MAGAZINE

ESの提出時期|政府の日程ルールと実際の提出月のずれを読む

日程のルールは三つの日付でできている

いつ出せばよいのかという問いに、公式の答えは一応ある。政府は毎年度、関係省庁連絡会議を開いて就職・採用活動の日程を取りまとめ、経済団体などに要請している。2017年度の卒業・修了生以降、その中身は変わっていない。

令和7年12月26日に示された2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方では、広報活動の開始が卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動の開始が卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日が卒業・修了年度の10月1日以降と置かれている。同じ資料は、企業の採用活動は本来自由な経済活動の性格を持つものであり、この要請が企業を法的に拘束するものではないとも明記している。

例外も一つある。実施期間が2週間以上の専門活用型インターンシップに参加して高い専門的知識や能力を有すると判断された学生については、3月から始まる広報活動の周知期間を短縮し、6月より前の時点から採用選考のプロセスへ移れる。この仕組みは採用プロセスの複線化と呼ばれるが、内閣府の学生アンケートでは、内容を説明したうえで尋ねても「知らなかった」という回答が62.7%を占めた。

区分 ルール上の時期 実態(内閣府調査・累積)
ESの最初の提出 広報活動の開始後、3月1日以降 卒業・修了前年度の9月までに36.0%が提出
ESの提出のピーク 同上 1月までに33.2%、2月までに45.3%
ESの最後の提出 選考の進行に合わせて 2月までに23.8%、5月までに74.7%
採用選考活動の開始 6月1日以降 2月までに約7割が最初の面接を経験
正式な内定 10月1日以降 4月までに約7割が最初の内々定を取得

三つの日付は守られている前提で語られることが多いが、学生側の行動はすでに別の線で動いている。その差を数字で押さえるほうが、自分の予定を組むうえでは役に立つ。

最初の一通は、三年生の夏より前に出ている

内閣府の委託調査は2025年7月10日から8月11日にかけて、62の大学を通じて大学4年生と大学院2年生に行われ、4,415件の有効回答を得ている。この報告書の月別データを見ると、最初にESを提出した時期は卒業・修了前年度の6月以前が22.2%で最も高く、7月が6.9%、8月が3.7%、9月が3.3%と続く。ここまでの累積で36.0%に達する。

一方、ルール上は広報活動が始まる3月に最初の一通を出した人は13.5%にとどまる。連絡会議の資料も、最初の提出が前年度の9月以前で約4割となり、広報活動開始の3月の約1割を上回っていると述べている。三月を出発点として準備を始めると、三人に一人が済ませている段から走り出すことになる。

この早さの背景にあるのがインターンシップである。連絡会議の資料によれば、インターンシップ等には学生の約7割が参加し、参加は卒業・修了前年度の7月から本格化している。そして参加者の約7割が早期選考の案内を受け、約6割がその後の採用説明会やセミナーに参加し、約5割がその後の採用試験や面接を受けている。最初のESは、就職活動を始めたという自覚より前に、インターンシップの応募書類という形で出ていることが多い。

山は三月、終わりは六月以降に伸びる

提出が最も集中した月を聞くと、3月が27.9%で最大になり、次が2月の12.1%、4月の11.8%、1月の9.3%と並ぶ。累積では1月までに33.2%、2月までに45.3%、3月までに73.2%が山を越える。広報活動の解禁日に合わせて求人が開くため、ここに集中する構図そのものは変わっていない。

変わっているのは終わりの側である。最後に提出した時期は3月が18.1%、4月が17.1%、5月が15.6%、6月が11.5%、7月が8.6%と、山を過ぎてからも数字が落ちない。累積では2月までが23.8%にすぎず、5月までで74.7%、6月までで86.2%になる。つまり四人に一人は6月以降も書き続けている。

この調査は8月1日時点の状況を答える形で行われているため、「9月以降に提出する予定」という回答も3.1%含まれる。終わりの時期が読みにくいのは、志望度の高い企業から内々定を得るまで活動を続ける人が多いからである。連絡会議の資料も、就職活動に9か月間程度以上を要した学生の割合が令和2年度の約3割から令和6年度には約5割へ増えたことを挙げ、早期化が長期化を招いていると整理している。

大学院の二年生は、学部生より一か月ほど前を走る

同じ調査を学年別に割ると、提出の時期が重なっていないことが分かる。大学院2年生で最初の提出が卒業・修了前年度の6月以前だった人は30.6%で、学部4年生の21.0%を上回る。累積で9月までに提出した割合は、大学院2年生が43.9%、学部4年生が34.9%だった。

ピークの位置も違う。大学院2年生では1月が12.4%、2月が15.4%、3月が22.7%と続き、1月までの累積で47.2%に達する。学部4年生の1月までの累積は31.1%で、2月を足して42.7%になる。研究室の予定や推薦の仕組みが絡むため、院生のほうが早い時期に山が来て、そのぶん早く終わる。最後の提出が5月までに済んでいる割合も、大学院2年生の85.1%に対して学部4年生は73.1%である。

提出する社数も分かれている。大学院2年生は1社から4社が25.5%、5社から9社が24.8%、10社から19社が26.1%とほぼ同じ割合で並び、30社以上は13.0%にとどまる。学部4年生は10社から19社の24.1%が最多で、30社以上が16.2%を占める。少ない社数に絞るなら一通あたりの精度が要るため、締切の間隔を広めに取る組み立てが合う。進路によって走る線が違う点は、外資系の就活時期のように採用の仕組みから時期が決まる場合にも共通する。

締切は三つの帯に分けて管理する

数字をまとめると、ESの締切は三つの帯に分かれる。一つめは卒業・修了前年度の夏から秋で、インターンシップの応募書類が中心になる。二つめは2月から4月で、提出の山がここに来る。三つめは5月以降で、追加募集や秋採用の枠が動く。

一つめの帯でやるべきことは、通る文章を書くことよりも素材を作ることにある。この時期の一通は、設問の形に慣れるための練習と、早期選考の案内を受ける入口という二つの役を兼ねる。二つめの帯では、締切が週単位で重なるため、設問ごとに書き下ろす余裕がない。経験を圧縮した素材を先に用意しておくかどうかで、仕上がりの差が出る。

三つめの帯を初めから計算に入れておくと、気持ちの面でも楽になる。連絡会議の資料は、2028年度(2029年3月)以降の卒業・修了予定者については、経済界や大学側と議論して日程ルールの見直しの検討を進めるとしている。制度が動く可能性があるため、要請の最新版は内閣官房の要請のページで年度ごとに確かめるのが確実である。地域の企業を見ている人は、地方就活のスケジュールと進め方のように地域ごとの動き方も併せて押さえておきたい。

よくある質問

三年生の夏に何も出していないと遅れているのか。最初の提出が前年度9月までの人は36.0%で、残りの六割以上はそれより後に出している。遅れというより、インターンシップ経由の入口を使っていないという状態である。二月からの山に間に合えば、提出先の数そのものは確保できる。

締切の当日に出すと不利になるか。日程の要請は企業側の活動時期を示したもので、提出のタイミングによる扱いの違いには触れていない。ただし提出が集中する3月は面接の予定も重なるため、締切の直前に寄せると推敲の時間が削られる。

夏に入ってから出せる企業はあるか。最後の一通を6月以降に出した人は25.3%にのぼる。連絡会議の資料は、採用予定数を充足できた企業の割合が直近の2025年卒では3割台にとどまり、理由として応募者が予定より少ないことや内定辞退が多かったことが挙がったと述べている。夏以降に動く枠は現実に存在する。

内々定が出た後もESを出し続けてよいか。制度上の制限はない。一方で複数の内々定を保持したまま活動を続ける動きが長期化の要因として指摘されており、内定辞退を抑えるための「オワハラ」が問題として挙げられている。困ったときは都道府県労働局やハローワークが相談を受け付けている。

提出時期から逆算して、いつ素材を作り始めるべきか。2月からの山に四百字の欄を十通以上出す前提で考えると、前年度の秋までに経験を四行に圧縮した素材を五つそろえておくと間に合う。地域の活動を素材にするなら、FLASPOのような場で引き受けた役割と相手の反応を、その場で記録に残しておくのが早い。

公務員や教員を志望する場合も同じ時期で考えてよいか。この調査の面接や内々定の集計は公務員・教職員の志望者を除いて行われている。試験の日程が別に決まっているため、民間の山とは重ならない。併願するなら、二つの帯を別の表に分けて管理したほうが取りこぼしが出ない。


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