ガクチカのフレームワーク|型で書くか社会人基礎力で点検するか | FLASPO MAGAZINE

ガクチカのフレームワーク|型で書くか社会人基礎力で点検するか

型は覚えたのに、埋められない。状況から書き始めて、課題を書いて、行動を書いて、結果で締める。手順どおりに並べたはずの文章が、読み返すと平板で、面接で深掘りされると答えに詰まる。この行き詰まりは型の選び方ではなく、型に二つの役割があることを分けていないために起きる。

並べるための枠と、点検するための枠は別物

就職活動で紹介される枠組みは、働きが二種類に分かれる。ひとつは文章の順番を決めるもので、読み手が迷わないように情報を配列する。もうひとつは書いた内容の質を確かめるもので、何が語られていて何が欠けているかを照らす。前者だけを使うと、形は整っているのに中身が薄い文章ができあがる。

配列の枠にもいくつか種類があり、分ける単位が違う。どれが優れているという話ではなく、設問の字数と聞かれ方で向き不向きが変わる。

枠組み 分ける単位 向いている場面
STAR 状況、課題、行動、結果 四百字前後で経験を一本通して書くとき
PREP 結論、理由、具体例、結論 面接で一分以内に答えるとき
課題と解決の二部 何が問題か、どう動いたか 二百字以内に収めるとき
社会人基礎力 三つの能力と十二の能力要素 書いた内容に何が含まれるか点検するとき

表の最後の行だけが、他と性格が違う。文章の順番には関わらず、内容の棚卸しに使う。配列の枠を一つ選び、点検の枠を重ねる。この二段構えにすると、書き直しの的が絞れる。

配列の枠を選ぶ基準は、設問の字数にある。二百字なら区切りを四つ置くだけで説明が足りなくなるので、問題と対応の二部に割り切る。四百字あれば四区切りが機能し、六百字を超えるなら行動の内側をさらに分けられる。先に字数を見て枠を決めると、書いたあとで大幅に削る手間が減る。

STARは、書く順番より思い出す順番として効く

四つの区切りを章立てとして使うと、どうしても説明が間延びする。状況の描写に字数を取られ、肝心の行動が二行で終わる。配分の目安としては、状況と課題を合わせて三割、行動に五割、結果に二割あたりが収まりがよい。

それより有効なのは、下書きの前に記憶を引き出す道具として四つを使うやり方だ。あの活動のとき周りはどんな状態だったか、自分は何を解くべき問題と見なしたか、そのために最初にしたことは何か、終わってみて何が変わったか。順に自問すると、漠然と覚えていた経験が場面として戻ってくる。

行動の欄は、さらに割る価値がある。何を考えたか、誰に働きかけたか、途中で何を変えたか。この三つに分けると、深掘りの質問に対する答えが先に手元にそろう。面接で崩れるのは、結論だけを覚えて過程を再現できないときだ。構成そのものの型をもう一段詳しく確かめたいなら、STAR法と六要素テンプレートの使い方が参考になる。

中身の点検には、国が整理した十二の能力要素が使える

書いた文章に何が含まれているかを外側から見る枠として、経済産業省の社会人基礎力が使いやすい。職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力として2006年に提唱されたもので、三つの能力と十二の能力要素で構成されている。

三つの能力 十二の能力要素
前に踏み出す力 主体性、働きかけ力、実行力
考え抜く力 課題発見力、計画力、創造力
チームで働く力 発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力

使い方は単純で、下書きを読みながら、十二のうちどれが具体的な記述として現れているかに印をつける。多くの場合、実行力と主体性だけに印が集まる。頑張ったという話は書けていて、何をどう考えたか、周囲をどう動かしたかが落ちている状態だ。印のつかない要素は、思い出せていないか、言葉にできていないかのどちらかである。

印が偏っていても、十二すべてを詰め込む必要はない。一本のガクチカで厚く書けるのは二つか三つで、それ以上は散らかる。大切なのは、偏りを自分で把握したうえで選ぶことだ。応募先が重視しそうな要素を知らないまま、たまたま書けた要素で勝負するのは心もとない。

印をつける作業は、紙に書き出したほうが効く。画面で読み返すと全体の調子に引きずられ、書けているつもりになりやすい。十二の語を余白に並べ、該当する記述に線を引く。線が引けない語が目に入る状態をつくることが、この点検の肝心なところだ。

三つの視点を足すと、経験が過去の話で終わらない

十二の能力要素には続きがある。経済産業省は平成29年度の研究会で、これまで以上に長くなる個人と企業や社会との関わりを踏まえ、人生100年時代の社会人基礎力という定義を新たに置いた。三つの能力と十二の能力要素を内容としつつ、自己を認識してリフレクションしながら、目的、学び、統合のバランスを図ることが必要だとする考え方である。

この三つは、就職活動の文章にそのまま当てられる。目的はどう活躍するかという向きの話で、その経験を通じて何を実現したかったのかに対応する。学びは何を学ぶかで、経験から取り出した知識や技能にあたる。統合はどのように学ぶかで、別の場面で得たものを組み合わせた筋道を指す。

三つを意識すると、文章の結びが変わる。結果の報告で終わる書き方から、その経験が次の行動をどう変えたかという話に接続できる。面接官が確かめたいのは過去の出来事そのものではなく、入社後に同じ動き方ができるかどうかだ。視点を足すことは、過去形の文章を現在形につなぐ作業でもある。

三つの視点は、複数の経験を扱うときにも手がかりになる。学業と課外活動のように別の場面で得たものを、どんな目的に向けて組み合わせたのか。統合という言い方が指しているのはこの筋道で、経験の数ではなく、つなぎ方が語れるかどうかが問われる。

型に合わせて経験を削らないために

枠組みを使う危うさは、枠に収まらない部分を切り落としてしまうところにある。四つの区切りに当てはまらない迷いや失敗は、たいてい最初に削られる。ところが面接で印象に残るのは、うまくいかなかった局面で何を考え直したかという話だったりする。型は材料を並べる棚であって、材料を選ぶ基準ではない。

実際の手順としては、まず型を忘れて経験を書き出し、次に配列の枠で並べ替え、最後に十二の能力要素で点検する。この順にすると、削る判断が最後に来るので、取り返しがつく。書き出す段階でつまずくなら、六ステップで組み立てる書き方をたどって材料を集め、面接用に短く言い直す練習には結論から話すPREP法が役立つ。

点検して空欄が多く残るなら、文章の問題ではなく経験の側に伸ばす余地がある。課題発見力や働きかけ力は、与えられた役割をこなすだけでは記述になりにくい。FLASPOのように学生が企業や自治体の課題に実際に関わる場では、自分で問いを立てて人を動かす局面が避けられないので、空欄のまま残っていた要素に中身が入る。

よくある質問

フレームワークは一つに絞るべきですか。配列の枠は一つに決めたほうが文章が安定する。そのうえで点検の枠を別に持つ形が扱いやすい。並べる役と確かめる役を同じ枠に兼ねさせると、どちらの働きも鈍る。

型に沿って書くと不自然な文章になってしまいます。区切りの名前を見出しのように文中へ出していないか確かめてほしい。状況としましては、といった言い方は不要で、区切りは書き手の設計図として裏に置いておけばよい。読み手に見えるのは、ひと続きの話であるほうが自然に伝わる。

十二の能力要素のうち、どれを書けば有利ですか。応募先の求める人材像や事業の性格によって変わるので、一律の正解はない。ただし主体性と課題発見力は、どの枠組みでも軸になりやすい。自分で問いを立てた場面があるなら、そこを厚く書くのは外しにくい選択である。

点検しても書ける要素が二つしか見つかりません。それで足りている。一本の文章に二つか三つの要素が具体的に書かれていれば、読み手は人物像をつかめる。複数のガクチカを用意するときに、別の要素が出ている経験を選んで組み合わせるほうが、全体として幅が伝わる。


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